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尾崎裁判支援のお願い・9/14(木)13:10静岡地裁へ [尾崎裁判]

   尾崎善子さんの公務災害認定(裁判)のための支援のお願い

標記の件ですが、裁判は6月15日に第11回口頭弁論が行われ、前段の文書交換(お互いの主張・反論等)が一段落しつつあります。
今後は証人尋問など本格的な論戦が始まるだろうと思われます。後述するように、被告の「基金」側は「この程度の仕事で、うつ病・自死するなら、誰にでも公務災害補償をすることになり、税金の無駄遣いになる」という基調で通してきています。
 また裁判所にも、教員の仕事の中身や密度などはなかなか理解されていないようにも見えます。
 つきましては、本裁判支援のために下記のようなご協力をいただきたく、お願いするものです。また、あわせて裁判闘争におけるご助言・ご指導もいただけるとありがたいと思っています。
                       記
    お願いしたいこと

(1) 一言意見書の提出(書式等は自由です。)
     ・ 養護学級・学校教員の仕事の実態や苦労、悩み。
     ・ 一般的に教員としての仕事の実態や苦労、悩み。
     ・ 保護者、一市民から見ての教員の仕事の過重性。
     ・ その他 教育の営みで当事者でないとなかなか理解できない仕事の中身。
(2) 支援する会への加入 会費年1000円
(3) 個人署名の提出
(4) 支援する会の事務局会議、対策会議へのご助言・ご指導
(5)  9月14日(木)13:10~16:30 静岡地裁 第6法廷 に傍聴に来てください。
(6) その他 情報提供 等

  お問い合わせ・送付先は

    尾崎善子さんの公務災害認定を支援する会 事務局
〒420-0004 静岡市葵区末広町1―4 静岡市教組会館内
TEL、 FAX 054-253-3331 (全教静岡)
TEL    054-271-8438 (静岡市教組)
電子メールアドレス:zenkyoshizuoka@dream.ocn.ne.jp (全教静岡)
shikyoso@quartz.ocn.ne.jp (静岡市教組)

  概略と訴え
  ~ 2週間の体験入学受け入れが ~

 2000年1月、静岡県小笠郡(現・掛川市)の小学校に勤務していた尾崎善子先生(当時48歳)は養護学級担任中、養護学校から養護学級へ転入したいと希望した多動性障害のA君(教育委員会の就学指導では、入学時、養護学校がふさわしい とされていた)の2週間にわたる「体験入学」を受け入れました。
 実は養護学級に在籍していた2名の児童は、就学前にこのA君と幼児期を共に過ごしており、特に一人はA君からいじめや暴力による精神的・肉体的な被害を受ける経験を持っていました。そのため在籍児童の保護者は、例え2週間であっても体験入学が行われることに反対していました。尾崎さんも保護者の意を受け入れ、また就学前の様子を知る中で「体験入学」に反対しました。しかし「A君の両親に、養護学級転入をあきらめさせるための体験入学だから」との町教委等の無責任な判断で「体験入学」は強行されたのです。
  心配したとおり、A君の体験入学によって授業が成りたたなくなり、在籍児童と築き上げてきた学級体制も崩されます。そして尾崎さんは、これによる著しい心身の負担から「うつ病」を発症してしまいました。
 その後、体調が思うように回復しないため、4月から休職し、症状の回復に専念しました。しかし、それから4カ月後の8月2日、志半ばにして「苦しい。もうこれ以上生きていけない」と自ら命を絶ちました。
 ご遺族は、この件で「公務災害の認定申請」をしたところ、地方公務員災害補償基金静同県支部(支部長は県知事)から「公務外」とされてしまいました。
 そこで、支部審査会に審査請求しましたが棄却。その後、中央審査会に審査請求したものの3ヵ月経っても採決がないため、2004年8月、静岡地方裁判所に公務外認定処分の取り消しを求めて提訴したのです。
  * 地方公務員のいわゆる「労災」認定はこのような段階で行われます。一般の労災に比べ、    非常に狭き門になっています。
 私たちは、「尾崎善子さんの公務災害認定を支援する会」をつくって、支援を始めています。裁判は現在、書類の提出( 準備書面 等 )がほば終わり、いよいよ中身に入っていくところまで、進んできています。

  教員の精神疾患の増加

 2004年1月に、高裁で逆転勝利判決を勝ちとった大阪の「鈴木裁判」も、同年9月に逆転認定された京都の「荻野裁判」も過労死に対する判決でした。「尾崎裁判」のような自死に対する「公務災害認定」は全国の中でもまだありません。(注 ;岩手地裁での勝利判決があるようですが、高裁で棄却されたと聞いています。)
 いま、教育現場では、教員の精神疾患が激増しています。文科省の調査によると、2003年度に病気で休職した公立学校の教員は、全国で5017人にのぼり、そのうち精神疾患による休職者は3194人、全体の53%をしめ、この10年間で2.7倍になったとされています。静岡県内では精神疾患がこの 10年間で約4倍に増えているという県教委の報告もあります。「教員特有の理由としては保護者や子どもとの関係が複雑化していることが一因と考えられる」と県教委は語っています。
 尾崎先生の事例は、けっして特例ではなく、いつでも、どこでも起こり得る事例なのです。

   ところが、基金(地方公務員災害補償基金=行政・県)は公務災害と認めない

 最近提出された基金側の準備書面を読み、基金側の言いたいことがはっきりしてきました。「尾崎先生の精神疾患は本人の弱さにあった」「体験入学は過重なものではなかった」「(わずか2名の生徒しか受け持たない養護学級の担任であれば、わずか1枚程度の簡単な学級通信を作成する)時間は、勤務時間中にいくらでもあるはず」の3点がそれです。

  まず、1点目。「公務起因性は、当該職員と職種等が同等程度の職員との対比において、同様の立場にある者が一般的にはどう受け止めるかという客観的な基準によって評価する必要がある」「客観的にさほど大きなストレスではないにもかかわらず、当該固体に精神疾患が発症した場合には、その原因は本人の脆弱性にあると結論せざるをえない」としています。
  書面では、「家族の精神疾患による入院歴」「高校時代に不登校の時期があり、もともと精神面の脆弱性を有していた」「入院歴をみると、環境の変化に影響を受けやすいことがうかがわれ、ストレスに対して耐性が弱い」等々、家族や故人の病歴を都合のいいように利用したり、解釈したりした上で、「2週間の体験入学が客観的にみて精神疾患を発症させるほどのものではなかった」「公務起因性の認定基準には該当せず、本人の脆弱性にある」と決めつけているのです。
 
 2点目については、「就学判定時と比較すると、A君の問題行動は大きく改善されていた」「体験入学は慎重な教育的配慮に基づいてされた」ことで、あり、「体験入学中、いくつかの問題行動はみられたものの、A君の行動は障害のある児童の行為としてはあり得る範囲内」「期間中は関係機関の支援体制もとられていた」「A君と尾崎さんはずっと一緒ではなく、相手をしていない時間が相当あった」等とし、「体験入学は精神障害を発症させる程度に過重であったとは認められない」と論じ
ています。
  例えば「体験入学期間中は、殆ど母親が付き添ったのみならず、校長、教頭、教員のほか、東遠学園、養護学校、児童相談所、町教委の職員も適宜授業に参加するなどの支援体制がとられた」「問題行動としては、唾吐き、失便、失尿、粗暴行為等が見られたが、障害のある児童の行為としてはありうる範囲の出来事であり、いずれも他の教職員等が対応できる範囲のもの」

 また3点目は、私たちが尾崎さんの持ち帰り残業等を調べたものに対して、最近被告基金側から出された反論です。学級通信や体験入学中の記録などについて、持ち帰り残業の「証拠として特定されていない」「自宅で作成されたという証拠もない」「主張するほどの時間がかかったという証拠もない」とし、体験授業の記録は「分量はわずかなものであり、実際にあった出来事を記載するだけであるから、作成にさほどの時間を要するとは思われない」ので、「時間・内容全てにわたって誇張があると言わざるを得ない。」と一蹴しているのです。

 いくら裁判の被告とはいえ、あまりにも冷たい断じ方だとは思いませんか。このような、「本人の脆弱牲に問題があった」などとする基金側の結論は、到底認めることはできません。
 しかも、これを言わせているのが、尾崎さんのそして私たちの使用者である県知事 ( 県教委と言ってもいいかもしれません ) なのです。
 また、学校現場の現実を知らなすぎる、あるいは理解しようとしていないことが明らかです。

 静岡県の養護教育(障害児教育)の立ち遅れも指摘されつつあります。現場の声が反映されない「就学指導(委員会)」の体制、学校内での養護学級の位置づけの弱さ、養護学級のある学校の校長でさえ養護教育のことを理解していない(理解しようとしていない)問題等が裁判でも明らかにされようとしています。
  「多動」の子と自閉症の子を一緒に一人の担任が受け持つことは、教育的なことなのか、という疑念も出ています。子どもの状況に合わせた教育的・専門的配慮はほとんどなしと言っても過言ではありません。通常の養護学級でもそうなのです。ましてこの「体験入学」の際に、そういうことが検討された形跡はありません。

  尾崎先生の弟さんは、「姉の死を無駄にはしたくない」「姉と同じような犠牲者を出してはいけない」と声を大にしで叫んでいます。私たち「支援する会」ではその声をしっかりと受け止め、同じような事態を引き起こさないためにもがんばっています。

  裁判は、次回 9月15日(木)13時10分から16時30分 第12回口頭弁論、静岡地裁です。
     ついに、証人尋問が 始まります。 証人は次の方です。
        浦岡前全教障害児教育部長、当時の校長、当時の福祉事務所担当職員

       次次回は10月26日(木)時刻未定

 傍聴に是非来てください。現職は年休を取って。で、OBの方も是非お願いします。あなたの傍聴が力になります。尚、途中での入退場もできるようです。

 みなさんに前述の大きな支援を要請します。現場の実態を伝えて頂くだけでも結構です。私たちにぜひ力をお貸しください。


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コメント 8

しきょーそ

本当に人ごととは思えないです。氷山の一角。これも多忙だからですよね。人が現場にはほしいです!
by しきょーそ (2006-06-13 23:12) 

seikyoru

静岡市教組さんのブログが始まりましたね。
きっと、ここからいろいろな情報が発信されていくのだろうと思いました。応援させていただきます。
by seikyoru (2006-06-14 20:16) 

しきょーそ

seikyouroさん、ありがとうございます。
共に頑張りましょう!
by しきょーそ (2006-06-14 22:03) 

支援する会事務局から

尾崎裁判第11回口頭弁論 2006年6月15日
 16時15分に、静岡地裁第6法廷で開会されました。3人の裁判官が入廷すると、「起立」の号令がかかります。すぐに、裁判官と尾崎さん側弁護士の塩沢さん(原告)、地公災基金側弁護士(被告)のやり取りが始まりました。「甲137号証」などの専門用語が飛び交い、しかも三者間では了解している人名も出る、裁判長は優しい声…、というわけで、傍聴席からは聞き取りにくい場面が多々ありました。教室と違って、「聞こえません。」とは言えません。でも毎回塩沢弁護士さんが事後に説明をしてくれますので、安心なのですが。今回は、事後説明会で証人を呼ぶことは「証人尋問」ということ、裁判は「口頭弁論」という名称で進むことなど初歩的なことも教えてもらいました。
 さてはじめに、原告側から体験入学当時の2/1に教室の様子を録音したテープが被告側にも渡されました。内容については、甲27号証に簡約な記録が出ているものです。「一応生の声も聞いてほしい。」と。
浦岡さん(元全教障害児教育部長)証人として採用される
 今回の焦点の一つは、浦岡さん(元全教障害児教育部長)の証人採用の件でした。
裁判長も被告側も、「当事者ではない」「長文の陳述書も出ている」「障害といってもいろんな違いがある。同じ障害の子を扱ったことのある人ではないから」等で証人採用に消極的でした。
 しかし塩沢弁護士は、「障害児教育の実態はよくわかっていない。普通の教師とも違う困難性も抱えている。準備書面(主張)として障害児教育の静岡県の実態についても用意しようとしている。(専門家としての)浦岡さんの証人尋問は欠かせない。」と食い下がりました。裁判官は別室での3人の合議を行い、「20分程度で行う」ことを認めました。もともと長くても30分くらいしか証人尋問は認められないようです。これで養護学級の担任の苦労や静岡県の障害児教育(養護教育)が全国的にもどんなに遅れているかが明らかになる可能性が出てきました。
被告側からは直接尾崎さんを診察したO医師の証人尋問を検討したい旨の話がありました。また原告からの主張に対する反論もする予定のようです。
次回、次々回の口頭弁論・証人尋問の日程決まる
その後次回、次々回の口頭弁論・証人尋問の日程が決まりました。以下の日程です。
  9月14日(木)13時10分~16時30分 第12回口頭弁論
証人尋問;浦岡さん、K校長(尾崎さん在職校の校長)、I福祉事務所所員(当時)
 10月26日(木)午前または午後、または一日 第13回口頭弁論
証人尋問; N医師(審査会から所見を依頼された)尾崎さんの弟さん、O医師
来年3月には判決または判決文が
 なお、裁判長から、年度末までには判決したい旨の「青写真」も示されました。今年中には結審しそうな勢いです。3月には裁判官の異動等があり、また裁判の長期化についていろいろ批判が出ていることもあるからだと考えられます。
 口頭弁論は10/26以降あるかもしれませんが、たたかいとしては9月、10月が大きな山場となりそうです。

署名第一次分を提出 
 これに先立って齋藤全教静岡執行委員長が、民事第2部に「公正な裁判を求める」団体署名350(全国から多数送られてきました。)個人署名2400筆を提出してきました。これは、まだ第一次分です。さらに多くの署名や一言意見書を集めたいと思っています。

支援する会総会・塩沢弁護士講演会7月2日(日)13時~島田で 
 尾崎善子さんの公務災害認定を支援する会では、7月 2日(日)13時から
15時30分まで島田市プラザおおるり(島田駅のそば)で総会と、塩沢弁護士の講演会『尾崎裁判の現状と今後の展望』を開きます。
 以前から働く人たち、社会的弱者のためにたたかってきた塩沢さんですが、尾崎裁判を担当してさらに全国の過労死や過労自殺事件を学ばれています。難しい裁判の話をいつもわかりやすく語ってくれていますが、今回支援する会のためにまとまって話をしてくれることになりました。支援する会の関係の方以外でも、傾聴にあたいする話を聞くことができると思います。
 都合の着く方は是非どなたかを誘って、参加できない方はどなたかに紹介してください。お待ちしています。

カンパにお茶を!
 支援するための活動資金を得るために、今お茶を売っています。菊川産の新茶『深むし煎茶』180gが、とってもおいしいのに何とたった1000円です。是非注文してください。

支援する会に加入を!
支援する会に是非積極的に加入してください。年会費1000円です。また会員の方は、06年度会費を集めていますので、ご連絡ください。
by 支援する会事務局から (2006-06-15 21:26) 

富田

トラックバックを「しない」にしなかったので、変なのが入っちゃいました。ごめん。無視して、とりあえず。やんなるね。
by 富田 (2006-06-15 21:27) 

前堀告予

新聞から23日に請求棄却の記事を切り抜いて初めてこの事件を知りました。私は浜松で発達学級の担任を長くしていて,今48才で,人ごとじゃないとネットに入り探し当てました。
二人なら過重じゃないとかそういうとんちんかんなことを言う裁判所もどうかしているが,親が言い出すと押し切られる教育委員会や児相のシステムも良く現れていますね。
浜松は拠点校方式という見通しを誤った施策のため,一校に山盛り子どもが集まり,私の勤務校も去年は3クラス24人でした。編成の都合上私の組はもぐりの9人学級でしたので,研修会のグループワークなどで9人よと言うと,「3人でも大変なのにどうやって9人を見るの?」「人間業じゃない」とか言われましたが9人は三回目ですと言うとさらに驚かれました。
by 前堀告予 (2007-03-24 08:31) 

尾崎裁判支援する会事務局 T

 9人は多すぎますよ。それは「前堀告予」さんにとっても、障害を持った子どもたちにとっても!保護者にとっても。教員一人の力を遙かに超えたエネルギーが必要ですね。教育以前に、「安全」確保だけで四苦八苦ではないでしょうか。
 それでも、基金や県教委は、「前に2回もやったんだから、3回目もできるはずだ。」なんて言うのかもしれませんね。とにかく、基金や県教委の主張は一般論・「平均」論で、具体的な教育実践、教育論には踏み込んでこないのです。「平均4人の学級人数より少ない2名の子ども」「2週間の体験入学の時、入れ替わり立ち替わり誰かが入ったじゃないか」なんてのが、有力な主張になるのです。
 是非、「発達学級」の生々しい実態を知らせてください。
 もっとも、先ずは「前堀告予」さんの健康を祈ります。
 
by 尾崎裁判支援する会事務局 T (2007-03-26 18:48) 

猫のmao

☆学校に殺される。こんな毎日を送っている教員です。死にたいです
by 猫のmao (2007-06-19 20:33) 

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