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全教が 17年度政府予算案の閣議決定に対して 談話 [教育予算]

【全教談話】
2017年度政府予算案の閣議決定にあたって
2017年1月11日
全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子


(1) アメリカや大企業に奉仕し、福祉・教育など国民生活を抑制する予算案
 2016年12月22日、政府は5年連続で過去最大となる総額97兆4547億円(前年度当初比0.8%増)の2017年度予算案を閣議決定しました。16年度の第3次補正予算案とともに通常国会に提出します。
 「アベノミクス」が破綻して税収が伸び悩む中、大企業に対しては研究開発減税の拡充、5年連続の公共事業費増額により「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりを推進します。聖域扱いの軍事費は5年連続増額の5兆1251億円(同1.4%増)の計上となり、過去最高額を3年連続で更新しました。大学などでおこなわれる研究を武器開発に活用する「安全保障技術研究推進制度」を18倍増の110億円とし「軍学共同」を加速します。第3次補正予算への「ミサイル防衛」1706億円の計上とあわせた異常なまでの軍拡予算で「アメリカとともに戦争する国」づくりを推し進めようとしています。その一方、毎年1兆円近い自然増がある社会保障費を、一部の高齢者や現役世代の負担増等により4997億円増に抑制しています。概算要求段階で削られた自然増分をさらに1400億円も削減しました。国民の生活に密着した医療・介護・年金は改悪し、教育・農林水産・中小企業等の予算も軒並みマイナス予算としています。その結果、国の一般歳出に占める文教予算の比率は、2012年度7.9%だったものが、第二次安倍政権の発足以降毎年減り続け、17年度には6.9%となってしまいます。


(2) 競争と管理、格差づくりをさらにすすめる、安倍「教育再生」のための予算
① 文部科学省の一般会計は5兆3183億円、文教関係予算は4兆428億円と、ともに前年度当初比0.2%減となっています。35人以下学級の推進や教職員定数改善には背を向けて、グローバルな競争社会を勝ち抜く一部のエリート人材育成のために小学校から大学までの公教育を総動員し、多くの子どもたちを競争と管理に駆りたてる安倍「教育再生」をさらに押しすすめる教育予算案となっています。
② 教職員定数については、加配措置してきた発達障害等の児童生徒への「通級による指導」や、外国人児童生徒教育の充実等のための定数を基礎定数化したり、小学校専科指導の充実などの新たな加配定数の改善により868人の定数増を計上していますが、少子化や学校統廃合による自然減が4150人あるため、教職員定数は差し引き3282人の削減となります。また、「通級による指導」の基礎定数化に伴う「政策減」として、「特別支援学級から通級指導への移行」による150人の減を見込んでいることも大きな問題です。国民的願いである35人学級の前進については一言も触れておらず、高等学校や障害児学校の定数改善にも背を向けるものであり、容認できるものではありません。
③ 競争主義に拍車をかけ、正常な学校教育に支障を来している全国学力テストについては、国語、算数・数学の悉皆調査に加え、抽出による中学校英語の予備調査の準備を含め53億円を計上しています。「道徳の教科化」の18年度実施に向け、小学校教科書の無償給与等に5億円増の20億円を投じます。小学校からの英語教育の強化事業、外部試験団体と連携して中学生1.5万人・高校生1万人の英語力調査事業を実施します。
④ グローバル人材の育成を目的とする高大接続改革に関しては、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の2019年度導入にむけて実現可能性を確認するためのプレテスト実施、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の2020年度実施に向けた準備等に5億増の57億円を計上しています。国立大学の運営費交付金については0.2%増の1兆971億円を確保していますが、人件費など基盤的経費にかかる基幹経費は21億円減少しています。「国立大学法人機能強化促進費」など新たなる再配分ルールの導入等により、大学の3類型化などの財界・政府のねらいに沿った「大学改革」をおしすすめる大学に優先的に再配分するためです。
⑤「特別支援教育関連予算」では、深刻な障害児学校の過大・過密状況を根本的に改善する施策は全くありません。


(3) 教育の無償化を前にすすめる教育予算を
① 幼稚園・保育所の保育料については、市町村民税非課税世帯の第2子の保護者負担を無償化し、年収360万円未満のひとり親世帯の第1子の負担軽減(年額9万1000円→3万6000円)等をおこないます(第2子以降はすでに無償化)。貧困と格差が拡大するなか、貧困の連鎖を断ちきり権利としての教育を保障するため、就学前から高等教育までの無償化を進める必要があります。高すぎる保育料基準を引き下げ、すべての子どもの保育料を早期に無償とすることが求められます。
② 非課税世帯の生徒に支給される「奨学給付金」については、第1子の給付額が増額されます(国公立5万9500円→7万5800円、私立6万7200円→8万4000円)。実質的な給付制奨学金となっていますが、その財源は、年収910万円以上程度の世帯の高校生から徴収した授業料であり、「権利」としての教育が「施し」に変質させられてしまうことは大きな問題です。「高校無償化」の復活と予算を増やした上での給付制奨学金を創設すべきです。
③ 私立学校等の経常費助成費等に対する補助総額は、前年度当初比で12億9700万円増の1036億4600万円、高校生一人あたり単価で486円(0.9%)増となりました。各学校種の総額においては、中学校(及び中等教育学校前期)で生徒数減を理由に減額となっています。小学校、幼稚園では高校と同様に0.9%増となっています。今回初めて私立小中学校等で学ぶ低所得世帯の授業料負担軽減のため、年収400万円未満の世帯へ年額10万円を支援します(2017~21年度の実証事業)。
④ 大学生等への奨学金について、返還不要の「給付型奨学金」制度の18年度導入をはじめて決定しました。住民税非課税世帯のうち1学年2万人に月額2万~4万円を支給し、児童養護施設出身者には入学金相当額(24万円)を別途支給します。17年度は私立の自宅外生など約2800人に先行実施するとしています。これは、世界でも異常な高学費の保護者負担軽減と教育の機会均等の保障を求めて長年にわたって展開されてきた国民的運動と世論の力によるものであり、国の制度として初めて「給付型奨学金」が導入されることを歓迎したいと思います。しかしながらその対象人員は極めて限定的な数であり、現在の日本学生支援機構の奨学金を利用している約130万人の大学生等の圧倒的多数が対象外とされてしまいます。また、住民税非課税世帯や生活保護世帯、児童養護施設などの子どもが1学年15.9万人であることを考えれば、「経済的事情で進学を断念せざるを得ない者を後押しする」という制度にはほど遠いものと言わざるを得ません。さらに、全国約5000校の高校に1人以上を割り振り、学習成績や部活動などの成果などを基準に選ぶとしていますが、経済的困難の度合いが高い生徒ほど不利なものとなる恐れがあります。そして、「毎月の渡し切りの給付とすることを基本」としながら、毎年度学業の状況等を確認した上で給付を確定することとなっており、「適格性」を欠くと判断されれば返還義務が生じることになります。
無利子奨学金については、貸与人員の増員により、貸与基準を満たす希望者全員への貸与を実現して残存適格者を解消するとともに、低所得世帯の生徒の成績要件を実質的に撤廃します。これにより無利子奨学金の貸与者は4.4万人増の51.9万人となりますが、有利子奨学金の貸与者は依然として81.5万人(2.9万人減)も存在することになります。貸与奨学金の即時無利子化と、支給段階から返還を求めない、本物の給付制奨学金を創設・拡充していくことが重要です。


(4) すべての子どもや青年の学び・成長する権利を保障する教育予算への抜本的転換を
OECD諸国の中で最低水準となっているGDP比の公財政教育支出をOECD平均並みに段階的・計画的に引き上げて、すべての子どもや青年の学び・成長する権利を保障することが切実に求められています。
全教は、国民的願いであり国際的常識でもある、小学校から高校までの35人以下学級の早期実現、「設置基準」策定による障害児学校の大幅増設、公私ともに高等教育までの学費の無償化、給付制奨学金の創設・拡充を可能とする政府予算案への抜本的転換を強く求め奮闘する決意です。

                        以 上

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今だからこそ、国民の生活、教育のために [教育予算]

【全教談話】
財政制度等審議会の「平成29年度予算の編成等に関する建議」について

  2016年11月29日
全日本教職員組合(全教) 
書記長 小畑 雅子


1.11月17日、財政制度等審議会は、2017年度予算編成に向けて歳出削減を求める「建議」を麻生太郎財務相に提出しました。歳出削減の最大の課題を社会保障費の抑制とし、高齢化の進展や技術の進歩に伴う自然増が年間8000億~1兆円とされるものを「5000億円に確実に抑制すべき」と強調しています。2017年度概算要求で厚労省が6400億円に圧縮した自然増分をさらに1400億円も削減しようとするものです。財政健全化を強調しながら、大企業・富裕層優遇税制の是正などの歳入改革には触れず、軍事費の拡大を容認する一方で、医療・福祉・教育などの国民生活を犠牲にしようとするものであり、断じて容認できません。


2.小中学校の教職員定数については、平成に入って児童生徒数は約30%減少した一方、教職員定数は9%の減少にとどまり、結果として児童生徒40人当たりの教職員数は約40%増加したとしています。そして、現在の教育環境である「10クラス当たり約18人(基礎定数16.2人、加配定数1.6人)」を維持したとしても、今後10年間で、少子化により基礎定数4.4万人、加配定数0.5万人の計4.9万人の削減が可能としています。
 児童生徒1人あたり教職員定数がこの27年間で約40%増加していることの内訳は、10年以上前に終了した第5次・6次・7次定数改善計画実施によるものが27%、障害児学校・学級に通う児童生徒の増加によるものが11%の合計38%を占めています。この10年間は教職員定数改善計画が実施されておらず、小中学校の通常学級に通う児童生徒1人あたりの教職員定数の増加は、通級やいじめ等の教育課題に対する加配定数の拡充による2%分(児童生徒40人あたり0.04人)でしかありません。「建議」は、障害児学校・学級が増加することを前提とした試算としていますが、通級による指導を受けている児童生徒数はこの10年で2.3倍、日本語指導が必要な外国人の子どもの数は1.45倍となるなど、「特別な指導が必要な児童生徒数」の増加傾向は反映されていません。


3.「加配定数の充実により、現在の水準を超えて教職員を増加させることを一概に否定しているわけではない」としながら、「『通級による指導』及び外国人児童生徒への対応に重点を置いて基礎定数化及び増員を要求」するのであれば、「科学的なエビデンス」を提示することを求めています。そして、通級指導に関する教員一人当たりの児童生徒数が都道府県ごとに最大15倍もの差がある、通級指導教室を設けずに外部の支援員や副担任などで対応しているなどの現状をあげ、教員の「数」ではなく、ICTなどを活用した知識・技能こそが重要としています。そもそも通級指導教室は現在加配定数で対応しているために、あらかじめ決められている数以上の教員配置はなく、一人の教員で20人も30人も担当しています。また、指導を受けたくても受けられない子どもたちが多数存在しています。教員一人当たりの児童生徒数の都道府県格差は、その実態の反映であり、効果があるから支援員や副担任で対応しているわけでもありません。


4.日本の教員が「主要先進国の中でも特に多忙である」ことを認めながら、教員の数を増やそうとせず、「チーム学校」の観点から、授業以外の仕事を担う「多様な外部人材の活用」という安上がりな「代替策」で、「今いる教員が授業を含め必要とされる指導力向上に専念できる環境を整備していく」としています。
 日本の教員は、教科の授業以外にも学級経営や児童会・生徒会指導、部活動指導、さらには進路指導や児童・生徒指導など多岐にわたる教育活動に携わっており、そのことが総合的に児童・生徒の人格形成に寄与しているのです。スクールソーシャルワーカーなどの専門職員の配置をすすめることは一定の意義あることですが、教員と特定の業務に携わる専門職員とではそれぞれの職務内容・専門性が異なっており、教員の役割を単純に「代替」できるものではありません。


5.世界で最も多忙な日本の教員の状況を改善して、子どもの教育に専念できるために最も効果を発揮するのは、OECD平均より小学校で6人、中学校で9人多い1学級当たりの生徒数を減らすことです。さらに、「教育に穴があく」という状況を生み出している臨時教職員の異常なまでの増加を早急に解消する必要があります。不安定な加配措置ではなく、基礎定数を充実させた標準法の抜本的改正をおこなうべきです。


 全教は、少子化を教育条件向上のチャンスに変え、国民的願いであり国際的常識でもある、小学校から高校までの35人以下学級の早期実現、高等教育までの学費の無償化、給付制奨学金の創設・拡充のための財政措置をおこなうことを強く求めるものです。
                                       以上

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今、教育予算を増やすことこそ 政府の仕事! [教育予算]

【全教談話】財政制度等審議会の「平成28年度予算の編成等に関する建議」について
                   2015年12月2日
                    全日本教職員組合(全教)
                    書記長 小畑 雅子

1.11月24日、財政制度等審議会は、2016年度予算編成に向けた「建議」(意見書)を麻生太郎財務相に提出しました。2016年度概算要求では高齢化に伴う社会保障費の伸びを15年度概算要求より1600億円も減額した6700億円の増加しか認めていませんが、「建議」ではこの伸びをさらに削り、5000億円弱の増加に抑えるよう要求しています。財政健全化を強調しながら、大企業・富裕層優遇税制の是正などの歳入改革には触れず、医療・福祉・教育などの国民生活を犠牲にしようとするものであり、容認できるものではありません。


2. 小中学校の教職員定数については、少子化の進展により2024年度までに児童・生徒数が94万人減り、学級数も2万1000減ると想定し、現行の10学級当たり平均18人(基礎定数16.3人、加配定数1.6人)の教職員の配置割合を維持した場合、2024年度までの9年間で3万7000人の削減が可能とし、2016年度予算では3479人(基礎定数3100人、加配定数379人)の削減を想定しています。さらに、12学級未満の学校(小学校の46.5%,中学校の51.6%)の統廃合を加速させることを求めています。
 また、現在の教育環境をベースラインとして設定し、それ以上に教職員定数の配置が必要な場合は、いじめ・不登校、学力向上などの効果について、確かなエビデンス(根拠)に基づく議論を予算編成のプロセスの中で行うとしています。これは、特別な支援を必要としている生徒が年々増加していることや、いじめ・校内暴力の深刻化、過去最高水準にある不登校、貧困と格差の拡大などの課題が山積した深刻な状態の学校の現状を放置しようとする暴論であり、断じて認めることはできません。


3.国際調査で日本の教員が世界で最も多忙な状況に置かれていることは財務省も認めています。しかし、「授業の専門家」である教員数を増やすことよりも、部活動指導ができるコーチ、カウンセラー、ソーシャルワーカー、外国語やICTの専門家、等多様な協力者の参画により、教員が授業に専念できる環境を整えるとしています。しかしながら日本の教員は、授業以外にも学級経営や児童会・生徒会等の各種の委員会活動、部活動指導、さらには進路指導や生徒指導など多岐にわたって児童・生徒の教育活動に携わっているのであり、特定の業務に携わる職員を配置したからといって教員の業務が単純に減り、授業にだけ専念できるというものではありません。
 世界で最も多忙な日本の教員の状況を改善して、一人ひとりの子どもにゆきとどいた教育条件を保障するためには、OECD平均より小学校で6人、中学校で9人多い1学級当たりの生徒数を減らすことが重要です。衆議院での「35人学級の実現に向けて鋭意努力していきたい」との安倍首相答弁を引き出した国民的世論に応え、不安定な加配措置ではなく、標準法の抜本的改正にもとづいた35人学級の確実な前進を今こそ行うべきです。


4.国立大学についても、18歳人口の減少に応じて「適正規模」とすべきことや「運営費交付金の削減を通じた財政への貢献」を求め、「授業料の引き上げについても一定の議論が必要」「民間資金の導入などを進め、今よりも国費に頼らずに自らの収益で経営を強化していくことが必要」としています。
 大学運営費交付金は2004年に国立大学法人化された後、12年間で1470億円(11.8%)も削減されています。審議の過程において、今後15年間、交付金を毎年1%削減することで、授業料引き上げや産学連携などによる毎年1.6%の自己収入増を求めています。産学連携を進めることは、本来の大学教育・研究をゆがめ、軍産学連携へとつながる危険性があります。  そもそも産学連携による収入増には限界があり、交付金削減は授業料の大幅引き上げを招きかねません。現在でも高すぎる学費のため、大学生の2人に1人が奨学金という名のローンに頼らざるを得ず、その返済に苦しんでいます。高等教育における私費負担が65.7%(OECD平均30.3%)と異常に高い日本の実態を改善するどころか、さらに高めようとする財務省の姿勢は許されるものではありません。OECDのシュライヒャー教育・スキル局長は「日本では大学教育への家庭の負担が大きい。米、英などのように奨学金を活用するなど負担の軽減が課題だ」と述べています。


5.全教は、学校教育に対して、工場の生産品のごとく数値化した目標や成果を要求する財務省や、学校教育が抱える深刻な課題に対して単年度措置の加配定数で対応し続けようとする文科省の姿勢を厳しく批判するものです。OECDが11月24日に発表した調査結果によれば、2012年の日本のGDPに占める教育機関(就学前教育を除く)への公的支出の割合は3.5%(OECD平均4.7%)で、6年連続の最下位となっています。安倍政権は、自己責任に基づく教育政策を直ちに中止し、OECD平均並みに教育予算を増やし、国民的願いであり国際的常識でもある、小学校から高校までの35人以下学級の実現、高等教育までの学費の無償化、「設置基準」策定による障害児学校の大幅増設、給付制奨学金の創設のための財政措置をおこなうことを強く求めるものです。                                                        
以上

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財政制度等審議会は、学校現場を見においで! [教育予算]

【全教談話】財政制度等審議会の「財政健全化計画等に関する建議」について-
                                         
2015年6月17日
                                     
全日本教職員組合(全教)
                                        
書記長 小畑 雅子
                                
1. 6月1日、財務相の諮問機関である財政制度等審議会は、2020年度までの「財政健全化計画に向けた建議」を麻生太郎財務相に提出しました。
名目3%以上の経済成長率を毎年実現しても2020年度の基礎的財政収支が9.4兆円の赤字になるとの内閣府の試算に基づき、歳出の伸びを毎年5000億円程度に抑えるため、社会保障費の大幅削減と、教育、科学分野等の歳出増の抑制を主張しています。
大企業・富裕層優遇税制の是正などの歳入改革には触れず、軍事費も聖域扱いとしながら、医療・福祉・教育などの国民生活を犠牲にしようとするものであり、断じて認めることはできません。


2. 教職員定数については、少子化が進展し、2024年度までに標準学級数の減少等による基礎定数の自然減3万7700人に加え、標準学級当たりの加配定数4214人減とする「合理化」を「当然減」とみなして、計4万1914人減とすることが可能としています。
昨年度財務省は、「35人学級に明確な効果があったとは考えにくい」として、公立の小学校1年生で導入されている35人学級を従来の40人学級に戻せという主張を展開しました。
今年度は、地方自治体独自の35人学級については現在の教員定数でも担任外教員を活用すれば実施できるなどと国の責任を放棄し、学校現場の実態を無視した主張を展開しています。
地方自治体では、加配定数を活用した少人数学級が進められているため、実際の学級数は標準学級数より多くなっています。
そのため、加配定数の「当然減」が強行されれば、加配定数も活用しながら実施している地方自治体独自の少人数学級が維持できなくなってしまいます。
もともと加配措置は単年度予算で措置されるため、その多くが不安定な臨時教職員での配置になってしまいます。
多様な課題を抱え、特別な支援を必要とする子どもたちが年々増加するなか、各自治体は子どもたちの学び・成長を保障するために、独自の少人数学級を前進させ続けています。
通級指導教室については殆どが加配定数で対応しているのが実態であり、ますますニーズは高まっています。
こうした自治体の努力と工夫を真摯に受けとめ、衆議院での「35人学級の実現に向けて鋭意努力していきたい」との、国民的要求を背景にした安倍首相答弁を積極的に受けとめ、不安定な加配措置ではなく、基礎定数を充実させた標準法の抜本的改正にもとづいた35人学級の確実な前進を今こそ行うべきです。


3. 教育予算増額の国民的要求の声に対しては、
「児童生徒一人当たりの公財政支出額はOECD諸国と比べて遜色はない」としていますが、公財政支出は国と地方公共団体の支出合計であり、国のみの支出の比較ができるものではなく、国の責任を免れることはできません。
また、「義務教育関係予算のうち、教職員人件費が約90%を占めており」「教職員人件費に配分が偏っているという問題がある」としていますが、小泉内閣の「三位一体改革」により、人件費以外の国庫支出の地方交付税化がすすめられたことによるものであり、資本的支出(施設費など)を含めた総教育支出に占める教員給与の割合は諸外国と同水準になっています。
さらに、「その結果、児童生徒1人当たり教員給与支出は国際的にも高い水準となっている」と、あたかも日本の教員給与が国際的に高い水準にあるかのように述べていますが、「図表で見る教育2012」は、日本の教員の実質的給与は2000年から2010年の間に9%も低下しており、「日本の初等・中等教育の教員の初任給はOECD平均を下回っており、このことは、日本が優秀な高等教育修了者を教職に誘致するにあたって課題となっている」と指摘しています。


4.大学教育については、大学卒業者がより高い賃金を取得するなど、大学教育から受ける恩恵が大きいから国公立大学の授業料を私立大学並みに引き上げて、所得水準の低い家庭の学生を中心に負担軽減などの優遇措置を講ずる取組が必要としています。
高等教育における私費負担が64.5%(OECD平均30.8%、「図表で見る教育2014」)と異常に高い日本の実態を改善するどころか、さらに高めようとする財務省の姿勢は厳しく批判されなければいけません。
OECDの半数の国が大学授業料を無償としており、大学の授業料が有償でありながら給付制奨学金がないのは日本だけという状況を一刻も早く改善すべきです。


5. 全教は、教育予算の削減を無理矢理に導き出すために、机上の空論ともいうべき論理と恣意的な数字の操作を繰り返す財務省の姿勢を許さず、教育現場が抱えるさまざまな課題を解決するため、教育費の父母負担を軽減し、義務標準法を改正して国の責任で35人学級の前進と教職員定数を充実させることを強く求め、父母・地域住民とともにとりくみを強化していく決意です。                                
                           以上
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えがお署名にご協力を! [教育予算]

「えがお署名」を集めています。

7月18日までに集めて、文科省へお願いします。

2015年度(来年度)の政府予算に向けて、

夏に各省庁が予算案を出します。=概算要求

そこに、国の責任でゆきとどいた教育を前進させる施策の推進と大幅な予算増を求めるものです。


「かがやけ!みんなのえがお」

国の責任で30人学級を!

「教育費の無償化」前進を!

震災復興のための教育予算増を!

・・・と署名運動をしています。


ご協力ください。

署名用紙は、下記へ。すぐ送ります。

静岡市教職員組合(静岡市教組)

電話・FAX 054-271-8438
sikyoso@quartz.ocn.ne.jp


または、全静岡教職員組合 (全教静岡)

電話 054-253-3331

FAX 054-270-7802

zenkyoshizuoka@dream.ocn.ne.jp

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文科省の概算要求について全教が談話発表 [教育予算]

【全教談話】2014 年度政府予算に対する文部科学省概算要求について


OECD諸国並みの教育予算に増やし、30 人学級の実現、「高校無償化」の所得制限導入撤回など、教育条件整備
をすすめることを強く求めます


2013 年9 月4 日
全日本教職員組合(全教)
書記長 今谷賢二


1、2014 年度政府予算に対する各省庁からの概算要求が8 月30 日に締め切られました。各省庁あわせると、一般会計の要求額は99 兆2 千億円に達し過去最大規模の概算要求となり、さらに「東日本大震災復興特別会計」を加えると合計103 兆円となる見通しです。
 その中で文部科学省概算要求額は、2013 年度予算の10.2%(5477 億円)増で5 兆9035 億円となっています。「日本再興戦略」(6 月14 日閣議決定)などを踏まえた諸課題について「要望」できる「新しい日本のための優先課題推進枠」では、「教育再生」の実現などに8402 億円を「要望」しています。
 文教関係予算については同7.9%(3213 億円)増の4 兆3874 億円となっています。ここでは、「第2 期教育振興基本計画等に基づき世界トップレベルの学力、規範意識、歴史や文化を尊重する態度を育むため『教育再生』を実行する」とし、「少人数教育の推進」や「道徳教育の充実」、「高校授業料の無償化の見直し」、「奨学金事業の充実」、「グローバル人材の育成」などを重点化するとしています。そのために「優先課題推進枠」で5143 億円を「要望」しています。


2、2014 年度予算は、2012 年度総選挙で再び政権についた安倍政権が編成する予算としては、初めての本格予算といえるものです。「教育再生」を柱に据えている安倍政権が、今後の教育をどのように方向づけようとしているのか、文教政策にはその特徴が強く打ち出されています。
 

 それは、第一に、全国一斉学力テストをものさしに教育効果を検証し、施策を選択する「学テ体制」ともいうべき競争主義・「学力」主義に立った教育政策です。父母・国民が切実に求めている「30 人学級実現」については、2013年度全国学テの結果(速報)を活用した効果検証によって「『少人数学級の推進』と『チーム・ティーチング(T・T)や習熟度別指導の推進』を市町村の裁量で選択的に実施」するとしています。これは、2013 年度概算要求で「少人数学級の推進など計画的な教職員定数の改善」を求めていたことから後退するもので、国民的な願いにこたえるものではありません。
 

 第二に、自民党が掲げる「自助・自立を基本に共助、公助で支える」方向性が色濃く反映している点です。「高校無償化」に所得制限を導入し、奨学金についても「『有利子から無利子へ』の流れを加速する」としながらも「給付制奨学金」創設には踏み込まず、高校生や大学生の学びを社会全体で支えるしくみをつくる気がないことを示しています。これは権利としての教育を保障する理念からの後退であり、国際人権規約留保撤回という国際公約にも反するものです。

 
 第三に、特定の価値観や歴史認識を押しつける政策を前面に押し出している点です。「道徳教育の教科化」については、「少人数教育」の目的に「規範意識を育むため」とわざわざ書き込み、教職員定数改善をはじめ「心のノート」の活用や指導の推進などを、より具体的に示しています。


 第四に、企業・財界が求める「グローバル化」を子どもたちや教職員に強く押しつけている点です。「優先課題推進枠」には、「世界に勝てるグローバル人材の育成」「世界トップレベルの学力の実現」などの言葉が並び、小・中・高校・大学すべての段階で英語教育の「抜本的強化」をはかるとしています。「スーパー・グローバル・ハイスクール」など一部の学校のみ優遇し、子どもたちの学ぶ条件に格差をつけることは、教育の機会均等を保障する点からも重大な問題です。
 

 第五に、教職員の人事管理の強化による管理・統制を徹底する点です。新たな計画である「教師力・学校力向上7か年戦略」を示し、少人数学級や教職員定数改善を「メリハリある教員給与」「教員の資質向上」「厳格な人事管理」等とセットですすめるとしています。


 以上のような問題点は、教育条件整備が教育の機会均等を保障し、ゆきとどいた教育を実現するためにおこなわれるという基本原則を逸脱するものです。こうしたやり方では父母・国民の支持を得られないばかりか、教育の充実につながらず、子どもたちや学校が抱える困難を打開することにも背を向けることにもなります。


3、全教は、2014 年度予算編成にあたって、ゆきとどいた教育への条件整備と切実な国民要求の実現を強く政府に求めます。同時に、国の責任による30 人学級を実現し、「高校無償化」への所得制限導入を許さず教育費無償化を前進させるため、「教育全国署名」や「地方議会での意見書採択のとりくみ」などを中心に、年末の2014 年度政府予算編成に向けて、全国の教職員・父母・地域住民のみなさんとともに全力を尽くして奮闘する決意を表明するものです。


以 上


国と静岡県への教育全国署名に取り組んでいます。
1筆1筆が、力です。あなたの1筆を是非!
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