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教育条件整備・3千万署名 ブログトップ

2011-12-09 [教育条件整備・3千万署名]

明日、12月10日(土)は、満月  そして久しぶりの  皆既月食  だそうです。
夜 9時前から始まるそうですよ。

さて、教育全国署名を県に提出してきました。

教育全国署名2011年県・県議会要請 報告

署名は 47,407筆       

2011年12月7日(水)
 全教静岡、高教組などでつくる「子どもと教育を考える静岡県民会議(教育県民会議)」は12月7日(水)、8月から集めた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名)47,407筆を県議会に提出しました。あわせて、議長、副知事、教育次長に直接会って、要請しました。要求内容は末尾。


県議会議長に要請

11.12.7教育全国署名県議会提出.JPG
 はじめに植田徹議長に要請しました。議長の机の前に47,407筆の署名を積み上げながら次のことを要請しました。


 私教連(私学);国の就学支援金や県の授業料減免の措置は、家計援助に役立っていてありがたいが、一方私学経営は厳しく、教育の室の面で苦しくなっており、しわよせは子どもたちに来るので、公私が不平等にならないようにお願いします。


 全教静岡(義務制);文科省の少人数学級施策と静岡式35人学級を一刻も早く実現し、さらに30人学級に広げてください。また、老朽化した校舎は窓が落ちたり壁にひびが入っていたりで、子どもや教職員の安全及び避難所としても心配。県として市町への取り組みを進めてください。


 高教組(高校、特別支援学校);授業料「無償化」になったが、諸会費の負担も大きく、夜間定時制では納められずに退学していく生徒もいます。減額を。また給付制奨学金を拡充し安心して高校に通えるようにしてください。また、夜間定時制でも非常勤教職員が増えています。特別支援学校では、25%という実態です。これでは、子どもたちに目が届かず、単年度の見通ししか持てません。是非人的増員をお願いします。


 教育県民会議事務局; 静岡県の教育費は全国でも下の方です。静岡県の財政力に見合う教育費の増額をお願いします。


 それに対して、議長は、「毎年恒例で要請していただいているということで、陳情を受けました。内容は、ごもっともなことばかりです。なにせ、3・11震災などもあって県の財政も厳しい。しかし、この多くの署名、たくさんのみなさんの声を県議会に報告します。」と答えました。


◆ 12月県議会の開会中で本会議が始まっており、副知事と県教育長に会うために、県庁東館のロビーなどで終了を待ちました。教員の不祥事問題も焦点の一つであったようです。県議会のテレビ放映中で質問と答弁を見て待ちながら、「なんとか委員会」を立ち上げて云々する前に、教職員の多忙を何とかした方が、不祥事根絶になるのに、ということで一同一致していました。


副知事に要請

11.12.7教育全国署名副知事要請.JPG
 さて、大村副知事とは、東館5階の副知事室で。はじめに副知事が要求項目に対して次のように話されました。


 副知事;要求はいずれも重要なものだと思います。全体的に厳しい財政事情だが、その中でもメリハリを考えて、拡充しているつもりです。○ 特別支援教育の需要は高いので、新しい特別支援学校を増やしていく計画もあり、予算を充実させていくつもりです。○ 私学助成については、一時「事業仕分け」にかかったが、今適正規模で来ていると思います。○ 少人数学級については、国の動向を見ながら、現場でうまくいくよう調整中です。静岡式35人学級きっちりワークするようにするつもりです。○ 「無償化」については国の支援や公私の金額的バランスを考えて実施。生活面考えて一定の手当を上乗せしています。国の動向を見ながら、なるべく負担のかからないようにしたいです。奨学金はきちんと維持したいです。○ 地震対策は大きなテーマ。今年の夏から秋にかけ、市町や学校を含め、津波対策緊急のアクションプランとして、沿岸部の学校に屋上のフェンスや屋上階段設置など6月、9月の補正で当座できることをやりました。今後3連動地震など被害想定を来年度にかけて行い、もう一度対策を見直します。住民含め訓練が重要で、まめにやりたいと考えています。○ 原発対策では当座、現状の放射性物質や水などの定点観測をしており、また県下をメッシュに区割りして県立校20校の線量を測りました。問題はありませんでした。安全性を確認していきます。○ 雇用については、高校生、大学生など若年者雇用は、最終的にはうまくいくようですが、就職率は厳しい状況です。平成26年度までの3万人雇用増のアクションプランをつくろうとしており、その中で若い雇用を増やす産業政策を考えています。また知られていない中小企業への雇用も。障害のある方の雇用も、各部局と連携して行いたいと考えています。○ 学校へのエアコン設置については、できるところはやっていますが、普通教室については、OBの方の力も借りてやっている状況です。環境を見ながら、特別教室など優先順位を考えて行っています。○ 安全については、スクールガード事業もありますが、街づくり全体の問題として、防犯対策、警察との連携などエリア全体の安全確保を考えています。○ 校舎の耐震性では、神奈川県を抜いて1位98%になりました。満足せず、新しい被害想定を見て充実させていきます。
 
 それに対して、参加者は次のように要請しました。

 教育県民会議事務局; 県の教育予算は、財政力10位の静岡県として、県民一人当たりでも、生徒一人当たりでも大変低い実態です。全体の教育予算を増やす方向をお願いします。


 高教組(高校・特別支援学校); ○ 教員の不祥事を見ても、県のアンケートでも、教員のストレスや多忙が原因の上位に上げられています。5時から仕事が始まるような多忙がストレスの原因です。学習指導要領の問題もあります。不祥事なくす近道は、この多忙をなくすことです。○ 特別支援学校では25%が非正規(臨時)教員と、大変な状況です。他でも10%以上です。正規教職員を是非増やしてください。○ 所得の低い人の就学援助はできていると副知事は言いますが、高校では諸会費を払えない生徒・家庭も多くなっています。ここへの援助の拡充や、給付制奨学金の拡充もお願いします。


 全教静岡(義務制); 就学援助は一定の水準と言われましたが、静岡県の就学援助率は全国でも最低レベルです。全国平均14%台なのに、県は数%です。この差は大きいと思います。周知の仕方の不徹底などの問題を何とかしてください。


 大村副知事; 地域差はあると思いますが、制度があって使われていないのはおかしいので、周知徹底させたいと考えます。


 新婦人; 来年度から中学校の学習指導要領で、武道が必修化されます。その中の柔道は、重篤な事故が多く、1983年~2010年の28年間で中高の死亡事故が114件、障害事故は27年間で275件も起きています。施設も指導者も不十分な状況を是非改善してください。


県教委に要請
 さて、次は県教育委員会です。議長室や副知事室と違って、県庁西館7階のふつうの会議室でした。議会対応などあって、対応は教育次長でした。
11.12.7教育全国署名教育次長要請.JPG
 県教委; ○ 教育予算については、重要性を優先して充実させたいと考え、財政当局と交渉中です。○ 静岡式35人学級は、課題もいくつか出ていますが、当初目途どおり小3まで平成25年度までに完成させたいと考えています。○ 特別支援学校の大規模化・狭隘化、障害の重度化・多様化、東西に長い静岡県の中での遠距離通学の負担など考慮し、学校づくり等優先して考えています。その中で、ソフト面も充実を、と考えています。○ 「無償化」については、教科書費用援助、遠距離通学援助などあります。所得や学力による奨学金はありますが、国の動向を見て給付制も考えます。小中の就学援助率の低さについては、制度の周知など徹底を、と考えています。○ 震災対策では、県立校の避難経路の緊急点検、暫定版津波対策マニュアル、県の防災教育推進委員会開催など行っています。学校の津波対策は、屋上避難の学校の視察などしました。総合的に緊急に検討していきます。浸水域の3階建て高校の避難階段設置、第3次被害想定域の学校や安政地震被害想定域の高校の整備を6月と9月補正で行いました。第4次被害想定が出たところで、アクションプランを考えていきます。○ 放射能については、県下を緯度経度でメッシュに区割りし、グランド、プール水など調査し、線量は基準以下、放射性物質の不検出で、県のHPで公表しています。文科省モニタリングポスト4カ所の結果を十分注視し、対応していきます。○ 高校生の雇用確保は、雇用アクションプランとして、昨年度から就職支援コーディネーターやジョブサポートティーチャーを置き、また静岡労働局といっしょに企業への雇用要請を拡大していく予定です。○ エアコン設置については、限られた予算の中で点検基準に基づき緊急の場合を優先し、体温調節困難児の所に設置するなどしています。高校では職員室、保健室、パソコン室などの設置が現状です。市町については、国の交付金制度などの周知を行っていきます。○ 通学路の安全確保は、PTAやボランティアと連携して行っています。高校では、自転車マナー作戦として、交通安全指導員配置などを行っています。○ 学校の耐震化については、平成21年度までに校舎・体育館、平成23年度までにその他完了を目途として実施しています。安全点検、法定点検、維持管理手引きなど活用して日常的に行っています。市町の耐震化は最重要課題ですが、平成22年度末に98.2%と神奈川県を抜いて1位となりました。施設の安全など文科省のガイドブックを周知させていきます。市町にも、国の交付金の周知や技術面での支援をしていきます。


 高教組(高校・特別支援学校); 生徒の家庭は大変です。単位制・通信制高校では、生徒がアルバイトをしてやりくりしている状況です。そのため必要な学習時間や環境も確保しにくいのです。折角入学してもやむなく退学する生徒も多くいます。また、そんな状況ですから卒業しても、安定した就職先もなく、生活力を養って自立していくのは困難です。まさに負の連鎖です。採用募集も条件の良いところは来ません。3万人雇用と言いますが、若い人が就職できるよう県の方で対策を取ってほしいです。


 全教静岡(義務制); ○ 就学援助率は、静岡県は5%台です。全国平均は14.57%、大変低い実態です。静岡市は、就学援助申請の通知の仕方を改善したため、就学援助率が5%台から今年当初申請時で7%台まで伸びました。周知の仕方の改善が大事です。○ 校舎の老朽化では、東豊田中の1985年(昭和60年)施工の外壁が昨年9月、1tも落下しました。文科省から『学校トイレ改善の取組事例集』が各学校に届きました。その送付通知に「既存の学校施設は、昭和40年代から50年代の児童生徒急増期に建築されたものが多く、その老朽化が課題となっています。」とあるように、校舎の老朽化の改善は急務です。


 新婦人・事務局; 中学校の武道必修化については、特に柔道で「急性硬膜下血腫」「セカンド・インパクト症候群」などで、死亡などの重篤な事故が多いという結果が出ており、柔道人口が日本の3倍のフランスでは指導者養成がしっかりしていて死亡事故がないと言われてもおり、早急な指導者確保、施設充実を対処してほしいと思います。市町教委へのアンケートでは、専用の武道館を持っているのは55%で、空き教室に畳を敷いて実施する予定の学校もあるとのことです。武道対象の柔道、剣道、相撲の中で実施予定は、ほとんど柔道となっています。施設に対する補助金を県の方で考えるべきです。また、市町教委は100%静岡県教委の指導者講習会に頼っているという結果も出ています。是非県教委で力を入れてください。


 教育県民会議事務局; 今日も県議会で不祥事について問われていました。私たちは、その解決には、多忙解消・人を増やすなど教育予算を増やすことが大事だと思っています。その点で、県教委が財政当局とわたりあって、是非がんばってほしい、心から応援しますから。  
 
《 署名および当日の申し入れ内容は、以下の通りです。》
2011年12月7日
静岡県知事 川勝平太 様


子どもと教育を考える静岡県民会議

世話人
小和田哲男(静岡大学名誉教授)
三橋良士明(静岡大学名誉教授)
大野木龍太郎(浜松学院大学教授)
大橋昭夫(弁護士)
福地絵子(弁護士)

「誰でも楽しく安心して学べる学校」を実現するための申し入れ書

申し入れ趣旨 (略)

申し入れ項目

1. 県の教育予算(私学助成も含む)を増額し、教育条件を整備拡充してください。
2. 小中高30人以下学級(専門学科25人、定時制20人)を完全実施し、特別支援学校の学級規模の定数を縮小し、正規の教職員を増やしてください。
3. 教育費の無償化をめざし、就学援助制度並びに奨学金制度を拡充してください。
4. 地震・津波に対する避難路の整備、原発事故に対する放射能対策を提示してください。
5. 高校生並びに若者の雇用確保のために、県並びに教育委員会は雇用市場の開拓に取り組んでください。
6. 子どもの学習する教室の環境整備のために、空調設備(エアコン等)を配備してください。
7. 通学路に、子どもたちの安全を守る専門の人を配置し、制度化してください。また、耐震性など学校建物や施設・設備の安全点検をおこない、必要な補修・改築などおこなってください。


以上
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教育全国署名 12月7日 県議会提出・要請 [教育条件整備・3千万署名]

8月から取り組んできた教育全国署名


静岡県議会の分は、12月7日に提出し、要請します。

県議会議長、県副知事、県教育長に要請します。

ご協力できる方は、是非送ってください。

尚、国への署名は、まだまだ間に合います。
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教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名のお願い [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名ご協力のお願い

 この署名は、1989年から始まり、22年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名、旧称3千万署名)です。
10.8.5署名用紙表.JPG
「40人学級」からなかなか進まなかった学級編成基準

 戦後10数年ごとに、50人学級→45人学級→40人学級と学級編成基準が改善されてきました。50年前、1958年に義務制第1次定数法「50人学級」が実現した際、当時の文部省局長は「欧米各国は大体30人から35人の範囲でございます。我が国でもできるだけ生徒数を低くしたい」と答弁していました。
 ところが、1980年義務制第5次定数法により小中が「40人学級」に、1993年高校第5次定数法により高校が「40人学級」になっていきましたが、その後改善されなくなってきました。
 同じく養護学級(特別支援学級)の定数は、1993年の「8人学級」から改善がありません。

 「40人学級」(定数)とは、40人を超えると学級を2学級に分けることができる(教員も増員でき
 る)という「定数法」(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)に基づく
財政措置です。従って、例えば40人の学級では、1学級のままです。41人になれば、1学級から2
0人、21人の2学級になります。40人ずつ3学級ある学年が1人増えて121人になったら、30
人~31人の4学級になるといった具合です。養護学級や複式学級もこの定数法によります。

子どもたちによりゆきとどいた教育をするために、「この定数を減らしてほしい(「定数法」を改正してほしい)」「国の責任で少人数学級を」「せめて35人学級を」「欧米のように25人学級を」と訴えてきました。

国の措置を待てずに地方が少人数学級に動き出す

 そんな中で、国の措置を待っていられないと、1990年代に多くの自治体が独自に「少人数学級」実施の措置を取り始めました。一部町名役職は当時のものです。

 長野県小海町教育長1998年  「道路は1年や2年遅れても、その時みんながちょっと我慢すればすむが、学校や子どものことは、今やらなければ6年生は卒業してしまうし…、教育というのは1年も猶予がないもの」

 山梨県鰍沢町1998年 「過疎の町の町おこしを考えると、『自然のある町』だけでは、人は来ない。『子どもたちのいる町づくり』にして、子どものいる大人を誘致しよう」

 埼玉県志木市教育委員会2001年 小学校低学年25人学級に。「一人の担任の目が、気持ちが行き届きます。教室も広く使えます。個別指導を中心にしっかり学習を見ます。個人の発表や活躍の機会が多く取れます。…」

 山形県知事2002年 「何よりも私は、子どもたちの未来を開くことに、未来への責任を最も強く感じております。次代を担う子どもたちが生き生きと元気に育ってほしい、持てる能力・才能を十分に伸ばしてほしいと思うのであります。『子育てするなら山形県』を目指します。少人数学級の実現は、その大きな柱になるものであります。」

 山形県の教師の報告  山形県で、小学校全学年に「さんさんプラン」のネーミングで30人学級が実現しています。 「さんさんプラン」で一番喜んでいるのは子どもたち。「先生がね、ぼくの話を最後までよく聞いてくれるよ」「わかるまでていねいに教えてくれるよ」「友達が増えて、みんなと遊べるようになった」「毎日の勉強が楽しくて」と学校大好きになっているんです。先生方は、毎日の教育活動に自信を取り戻し、子どもたちに寄り添う活動を進めています。「気持ちにゆとりが生まれ、常に焦りがなくなった」「子どもたちをしかる場面がぐんと減ってきた」「あの子にも、この子にも、今日もしっかり教えることができた」「(山形弁)こごわがんねっていわっちえも、ゆどりもっておしぇでやれる」。

岩手県の少人数学級の調査報告  平成19年度岩手県の小学校第1・2学年での35人学級の効果と課題調査報告はでは次のように述べています。「『総じて児童生徒の学力が向上した』と回答した校長の割合は96%(そう思う44%,どちらかといえばそう思う52%,昨年度91%)である。また,『授業につまずく児童生徒が減った(学力の底上げが図られた)』と『児童生徒が授業中に発言・発表する機会が増えた』の項目において効果があると回答している割合が,98%であることをはじめ,『児童生徒の学習に対する意欲・興味・関心が高まった』(96%),『活動スペースの確保により,児童生徒の学習活動(体験型学習)の幅が広がった』(90%)等,ほとんどの項目においてその割合が90%を超えている。」「生活面の効果としては、『児童生徒の基本的な生活習慣が身についた』『学級集団としてのまとまりがみられるようになった』という質問に対し『そう思う』『どちらかといえばそう思う』と回答している割合が96%であることをはじめ,すべての質問項目で90%を超えている。」

磐田市の少人数学級の調査報告  静岡県磐田市は平成17年度から35人学級編成を行っています。その『35人学級制度導入効果に関する検証報告』では、例えば、保護者へのアンケートでは「40人編制と35人編制のどちらがよいかについては、ほぼ100%の保護者が35人編制を望んでおり、年度ごとの割合に大きな変化はない。35人学級制度を他学年に広めたいかについては、ほぼ9割の保護者が拡大を望んでおり、年度ごとの割合に大きな変化はない。」としています。

最後に残った東京都も
 こうして、現在国の財政措置が不十分な中でも、東京都を除く46道府県で何らかの「少人数学級」が実現するようになり、ついにこの4月から最後に残った東京都でも、「39人学級」を導入するようになりました。頑なに拒んでいた東京都教委(実は石原都政)でしたが、世論の動向や学校現場からの悲鳴の中で、少人数学級に踏み込まざるを得なくなってきたのです。

静岡県では…

 2002年9月当時の静岡県知事は「本県自身が数十年にわたってそのような単独の負担に耐え切れるかどうかというような観点の発想も必要でありますし、 加えてまた、 単純に40人学級が達成したから30人学級でいいのか、 …言葉は悪いんですが単細胞的な議論ではなくて、 本当に教育の実を上げるためには…多様な手段、 手法、 それの組み合わせの中でいかによい教育、 実効ある教育活動が実践されるか、 これが問題だと思うのであります。 」と答えていました。こういう理屈を唱える方はまだ多いですが。
 しかしさすがに学校現場・保護者からの声を受け、また全国の運動の流れの中で、2004年から中1支援プログラムという形で、(学校の希望選択による)中1だけの「35人学級」を始めざるを得なくなりました。学校の希望選択になっているのは、国の制度が変わっていないので、正規教員が増やされず、学級数が増えると持ち授業時数が増えて、教材研究やノートを見る時間などが削られ、教員の負担が増すことになるためです。
 2008年10月静岡県「理想の学校教育具現化委員会」が、「静岡式30人学級」などを県に提言しました。ようやく静岡県も、と喜んだのですが、結局財政難を理由に、「静岡式35人学級」となり、2009年に中2に、そして今年中3と小6に拡大しました。順次小3まで実施すると言っています。但し、私たちが早くから要求してきた小学校低学年に対しては、「支援事業」にとどまっています。 
 小学校低学年支援事業(昨年まで小1だけが対象)は、「34人以上の多人数学級2クラスに1人の割合で配置」されて一定の効果を上げています。しかしこれは、雇用交付金を使った「担任の補助」をする(授業をやってはいけない)「学習支援員」の配置です。少人数学級にはほど遠いものです。

「30~35人学級」への動きが見え始めた

 ここに来て、文科相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会が、新たな動きを見せ始めています。既に教育関係諸団体などから意見を聞き始めていましたが、「30人または35人に見直すべきとの意見が大勢」だったと、提言をまとめ、7月26日に文科相に提出しました。その際、提出代表者は「人の面の充実にはお金もかかるが、思い切ってやらなくてはいけない。」と国の積極的な取り組みを要請しました。
 その中身は、「新学習指導要領の円滑な実施、生徒指導面の課題等への対応、教員が子どもと向き合う時間の確保」などの観点から、公立小中学校の学級編制の標準を、現行の40人から引き下げる必要がある、というものです。
 これを受けて、文科相は「財政的に極めて厳しい状況だが、教育の充実は国の大きな責任。最大限努力したい」と応じたそうです。そして来年度予算概算要求に教職員増を盛り込む意向と報道されています。
 小川正人・放送大学教授(中教審委員)は、30人学級を小中学校の全学年で一気に実施するには、約11万人の教員増が必要で、国と地方合わせて7300億円、35人学級の場合は約4万6000人増、3100億円が必要と試算しています。「40人学級」実施の際は、全学年一気に実施したわけでなく、10年をかけて実現しました。たとえ「財政難」であっても、実現できない額ではないのです。
 この署名運動などで追い風を吹かせたいものです。

教育予算:日本、OECDの中でも、ワースト2

 OECD「図表で見る教育09年版」によると日本の2006年の教育予算のGDP比は3・3%で、OECD加盟国28カ国中27位ワースト2です。OECD平均は4・9%。3・3%は88年の調査開始以来、最低の数字です。※OECD「図表で見る教育09年版」は文科省のHPで見ることができます。「文部科学省」→「統計情報」→「その他の統計データ」「図表でみる教育」→「2009年版(概要)」
 財務省はこれに、「わが国はOECD諸国の中で人口比の生徒の割合が最も少ない」「わが国の生徒一人当たり教育支出は米英独仏日の主要五カ国の平均並みの水準」などと弁解しています。しかし、日本の教育支出に占める私費負担の割合の高さは突出しています。またそれが、「少子化」の大きな原因にもなっています。
 日本の教育費に占める「私費負担」の割合がとても高いことは、先の文科省HPからも分かります。例えば、【就学前教育】では、日本の私費負担は56.6%、OECD平均は19.3%です。また【高等教育】にいたっては、67.8%にものぼっています。OECD平均は27.4%です。この数字は、今年度の「公立高校授業料無償化」により、一定の改善がはかられるでしょう。しかし静岡市内の高校生の4割を占める私学の高校生は、国からの就学支援金を差し引いても平均年額20数万円の授業料を払うことには変わりがありません。また大学まで無償化しているノルウェー、フィンランド、フランスなどと比べ、日本の教育費が、家庭の支出に依存していることは変わりません。この不況の中で、日本の子どもたちが格差の影響をまともに受けることへの心配の声が上がっています。

教育格差は子どもの「自己責任」とされてしまう

昨年厚生労働省は、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を07年で15.7%と初めて発表しました。その中で、子どもの貧困率も示しました。それによると、17歳以下の子どもの貧困率は、98年13.4%、01年14.5%、04年13.7%、そして07年14.2%という深刻なものです。
 全国私教連の調査では、経済的理由で中退した生徒のいる高校は26.6%、3カ月以上滞納を抱えている生徒のいる高校は67.0%、経済的理由による中退生徒数は、回答した282校で200人もいるということです。私学だからといって家庭の所得が高いという訳ではありません。むしろ逆の傾向も出ています。
 このような数字は、子どもの教育を受ける権利が、家庭の経済によって影響されてしまうことを示しています。

国も県も、教育予算を増やしてほしい!

このような中では、やはり多くの皆さんの声が、国会や県議会に届けられることが重要になっています。是非署名という形でご協力いただければ幸いです。
 昨年度も、このような不躾なお願いにもかかわらず市内10数校のPTAの方々から、ご協力をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。今年もよろしくお願いします。
 また、意外に学校現場の実状が知られていない、知らされていません。上記のような実態をお知り合いの方々にも知らせていただきたいと願います。
 「学校や子どものことは、今やらなければ…、教育というのは1年も猶予がないもの」ですから。

 尚、署名について下記までご連絡ください。
 静岡市教職員組合〒420-0004静岡市葵区末広町1-4 電話054-271-8438
 
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教育全国署名にご協力ください その5 [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名にご協力ください その5

 1989年から始まり、21年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名)のお願いです。


静岡県への要請内容

請願趣旨

 現在、家庭の経済格差が広がり、子どもの修学や進学ができない家庭が増えています。

 どの子にもゆきとどいた教育ができ、楽しくゆとりある学校にしてください。学級規模を小さくする、教育費の父母負担を軽減する、障がい児教育を充実する、などのために教育予算を大幅に増やしてください。
請願項目

1.県の教育予算を増やしてください。

  (ア) 年収500万円以下の家庭の高校・大学の授業料を無償とする制度を実現してください。

  (イ) 児童・生徒への就修学援助・授業料減免、奨学金制度などを充実してください。

  (ウ) 義務教育費国庫負担制度の堅持ならびに負担率の復元を国に働きかけてください。

2.小中高30人以下学級(専門学科25人、定時制20人)を全面実施し、正規の教職員を増やしてください。

3.私学助成の国庫補助制度を堅持してください。また私学への経常費2分の1助成を実現し、施設設備補助、授業料軽減補助を拡充してください。

4.障がいがあるすべての子どもたちに、ゆきとどいた教育を保障してください。

5.地域の学校をなくさないように、公立学校の統廃合・学級減・学区撤廃はおこなわないでください。また定時制高校をなくさないでください。

6.子どもたちのいのちと安全を守るために、学校建物の耐震性・老朽化などについて安全点検を行い、必要な補修・改築をおこなってください。そのための県からの補助を増やしてください。また、通学路の安全を確保するための措置を講じてください。

※ご協力いただける方は、下記までご連絡ください。

       全教静岡・静岡市教組

         054-271-8438

       静岡高教組

         054-254-6900
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教育全国署名にご協力ください その4 [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名にご協力ください その4

1989年から始まり、21年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名・旧略称3千万署名)のお願いです。


**校舎の「耐震性・老朽化」について
 今年7月静岡新聞に『危険校舎7千棟 子どもの命を金と秤にかけるのか』という署名記事が載りました。その翌月に8月11日の駿河湾での地震がありました。今年度耐震化終了予定の静岡市内の小中学校でも、静岡市教委の発表によると、市内130余の小中学校の内、38校でなんらかの被害が確認されています。あわせて、校舎の老朽化が進んでいることに懸念の声があがっています。古いサッシの窓が落下した、壁のひび割れから漏水があるなどの事例が報告されています。請願項目に「学校建物の耐震性」とともに「老朽化」の安全点検を入れたのは、そういう事情があります。身近な学校では、どうでしょうか。

**署名へのご賛同・ご協力をよろしくお願いします
このような中では、やはり多くの皆さんの声が、国会や県議会に届けられることが重要になっています。「学校や子どものことは、今やらなければ…、教育というのは1年も猶予がないもの」ですから。よろしくお願いします。

※ 署名にご協力いただける方は、下記までご連絡ください。
         全教静岡・静岡市教組 054-271-8438
         静岡高教組      054-254-6900 
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教育全国署名にご協力ください その3 [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名ご協力のお願い その3

 1989年から始まり、21年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名・旧略称3千万署名)のお願いです。

**静岡県では…

 2002年9月当時の石川知事は「本県自身が数十年にわたってそのような(少人数学級)単独の負担に耐え切れるかどうかというような観点の発想も必要でありますし、 加えてまた、 単純に40人学級が達成したから30人学級でいいのか、 …言葉は悪いんですが単細胞的な議論ではなくて、 本当に教育の実を上げるためには…多様な手段、 手法、 それの組み合わせの中でいかによい教育、 実効ある教育活動が実践されるか、 これが問題だと思うのであります。 」と答え、県単独の措置を拒否してきました。
 しかしさすがに全国の運動の中で、2004年から中1支援プログラムという形で(学校の希望による)、中1だけの「35人学級」を始めました。尚、小学校には小1学級支援事業が「34人以上の多人数学級2クラスに1人の割合で配置」されて一定の効果を上げています。しかしこれは、「担任の補助」をする(授業をやってはいけない)非常勤講師であり、少人数学級にはほど遠いものです。
 昨年静岡県「理想の学校教育具現化委員会」が、「静岡式30人学級」などを10月に県に提言しました。ようやく静岡県も、と喜んだのですが、結局、財政難を理由に、「静岡式35人学級」となり、今年中2に拡大しただけでした。全国では当たり前になってきた小学校低学年からの少人数学級の実現が望まれています。 

**でも、やっぱり国の責任で少人数学級を

最後に残った東京都でも、少人数学級実現へ都教委の姿勢が変わりつつあるようです。
静岡県や政令・静岡市など自治体でも、もっと頑張って欲しいと思います。
 しかし、9月に日本PTA全国協議会や全国市町村教育委員会連合会など教育関係23団体が、全国紙に少人数学級の実現を求める意見広告を出しているように、少人数学級などの教育条件整備は、国の施策こそが基本です。同じ日本で、県や市町村によって教育条件がちがうなどはおかしなことだと思います。
 現場でも矛盾が大きいのです。静岡県の場合、折角中1、中2で35人以下になっても次の中3では教室いっぱいの机が並ぶことになります。また、学級が増えても必要な教員が配置されないので、教材研究の時間(空き時間)などを削って授業に行くことになっています。あるいは、「臨時講師」でまかなっている自治体もあります。
 定数法を変えて、国の責任でゆとりのある少人数学級を実現してほしいのです。

**総選挙の中で各政党が「少人数学級」を公約した、今こそ

先の総選挙では、ようやく自民党まで「少人数学級実現」を公約しました。
 今までは、議会に請願に行くと、個人としては「自分の子ども(孫)のことを考えると、よくわかります。」など好意的な受け答えをされる議員も多くおられました。しかし、「党の公約とは違うので」と、結局議会で採択されることがなかったのです。
 今後は、大きな期待が持てそうです。今までも請願が採択されなくても、行政当局を動かし、一定の前進もありました。これからは、「公約を、早く、充実したものにして実現させてください」と訴えることができます。
 そのためには、このような署名が多ければ多いほど、力になると思います。


※教育全国署名にご協力いただける方はご連絡ください。
        全教静岡・静岡市教組
          054-271-8438
        静岡高教組
          054-254-6900
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教育全国署名にご協力ください その2 [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名ご協力のお願い  その2

 1989年から始まり、21年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名・旧略称3千万署名)のお願いです。

(前回の補足)
 日本PTA全国協議会の『教育に関する保護者の意識調査』(平成21年3月)でも、「学力格差に『親の経済力・学歴・教育熱心さ』などが大きく影響すると思っている保護者も3/4に近い
(72%)。…子どもの学力は、学校での教育指導のあり方によって左右されるだけでなく、親の経済力・学歴・教育態度などに大きく影響されるものであると、保護者自身が多く認識していることがわかる。」と指摘しています。→HP「日本PTA全国協議会」
 子どもの教育を受ける権利が、家庭の経済によって影響されてしまっていいわけがありません。前述のOECD調査でも、教育への公的負担は世界の流れであることは、明らかです。

国の措置を待てずに地方が少人数学級に動き出す

 そんな中で、国の措置を待っていられないと、1990年代に多くの自治体が独自に「少人数学級」実施の措置を取り始めました。(一部町名役職は当時のものです。)

長野県小海町教育長1998年  

 「道路は1年や2年遅れても、その時みんながちょっと我慢すればすむが、学校や子どものことは、今やらなければ6年生は卒業してしまうし…、教育というのは1年も猶予がないもの」

山梨県鰍沢町1998年 

「過疎の町の町おこしを考えると、『自然のある町』だけでは、人は来ない。『子どもたちのいる町づくり』にして、子どものいる大人を誘致しよう」

埼玉県志木市教育委員会2001年

小学校低学年25人学級に。「一人の担任の目が、気持ちが行き届きます。教室も広く使えます。個別指導を中心にしっかり学習を見ます。個人の発表や活躍の機会が多く取れます。…」

山形県知事2002年

「何よりも私は、子どもたちの未来を開くことに、未来への責任を最も強く感じております。次代を担う子どもたちが生き生きと元気に育ってほしい、持てる能力・才能を十分に伸ばしてほしいと思うのであります。『子育てするなら山形県』を目指します。少人数学級の実現は、その大きな柱になるものであります。」

山形県の教師の報告

  山形県で、小学校全学年に「さんさんプラン」のネーミングで30人学級が実現しています。 「さんさんプラン」で一番喜んでいるのは子どもたち。「先生がね、ぼくの話を最後までよく聞いてくれるよ」「わかるまでていねいに教えてくれるよ」「友達が増えて、みんなと遊べるようになった」「毎日の勉強が楽しくて」と学校大好きになっているんです。先生方は、毎日の教育活動に自信を取り戻し、子どもたちに寄り添う活動を進めています。「気持ちにゆとりが生まれ、常に焦りがなくなった」「子どもたちをしかる場面がぐんと減ってきた」「あの子にも、この子にも、今日もしっかり教えることができた」

「(山形弁)こごわがんねっていわっちえも、ゆどりもっておしぇでやれる」。

岩手県の少人数学級の調査報告

  平成19年度岩手県の小学校第1・2学年での35人学級の効果と課題調査報告はでは次のように述べています。「『総じて児童生徒の学力が向上した』と回答した校長の割合は96%(そう思う44%,どちらかといえばそう思う52%,昨年度91%)である。また,『授業につまずく児童生徒が減った(学力の底上げが図られた)』と『児童生徒が授業中に発言・発表する機会が増えた』の項目において効果があると回答している割合が,98%であることをはじめ,『児童生徒の学習に対する意欲・興味・関心が高まった』(96%),『活動スペースの確保により,児童生徒の学習活動(体験型学習)の幅が広がった』(90%)等,ほとんどの項目においてその割合が90%を超えている。」「生活面の効果としては、『児童生徒の基本的な生活習慣が身についた』『学級集団としてのまとまりがみられるようになった』という質問に対し『そう思う』『どちらかといえばそう思う』と回答している割合が96%であることをはじめ,すべての質問項目で90%を超えている。」

磐田市の少人数学級の調査報告

  静岡県磐田市は平成17年度から35人学級編成を行っています。その『35人学級制度導入効果に関する検証報告』では、例えば、保護者へのアンケートでは「40人編制と35人編制のどちらがよいかについては、ほぼ100%の保護者が35人編制を望んでおり、年度ごとの割合に大きな変化はない。35人学級制度を他学年に広めたいかについては、ほぼ9割の保護者が拡大を望んでおり、年度ごとの割合に大きな変化はない。」としています。


 こうして、現在国の財政措置が不十分な中でも、東京都を除く46道府県で何らかの「少人数学級」が実現するようになりました。

 ※教育全国署名(国と県の両方に請願する署名です)にご協力いただける方は、下記へご連絡ください。
   054-271-8438 静岡市教組、全教静岡
   054-254-6900 静岡高教組
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教育全国署名にご協力ください その1 [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名ご協力のお願い  その1


 1989年から始まり、21年目を迎えた『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』(教育全国署名)のお願いです。

40人学級からなかなか進まない学級編成基準

 戦後10数年ごとに、50人学級→45人学級→40人学級と学級編成基準が改善されてきました。50年前、1958年に義務制第1次定数法「50人学級」が実現した際、当時の文部省局長は「欧米各国は大体30人から35人の範囲でございます。我が国でもできるだけ生徒数を低くしたい」と答弁していました。
 ところが、1980年義務制第5次定数法により小中が「40人学級」に、1993年高校第5次定数法により高校が「40人学級」になっていきましたが、その後改善されなくなってきました。
 同じく養護学級(特別支援学級)の定数は、1993年の「8人学級」から改善があり
ません。
 「40人学級」(定数)は、40人を超えると学級を2学級に分けることができる(教員を加配でき
 る)という財政措置です。従って、例えば40人の学級では、1学級のままです。41人になれば、
 1学級から20人、21人の2学級になります。40人ずつ3学級ある学年が1人増えて121人に
 なったら、30人~31人の4学級になります。複式学級もこの定数が関わってきています。
子どもたちによりゆきとどいた教育をするために、この定数を減らしてほしいと、私たちをはじめ、多くの団体個人が、「少人数学級を」「せめて35人学級を」「欧米のように25人学級を」などと訴えてきました。しかし、国とりわけ財政当局はなかなか首を縦に振りません。

教育予算:日本、最低の3.4% (GDP比、OECD28カ国中)

 2008年9月10日に、「日本の2005年の教育予算のGDP比は3・4%で、OECD加盟国中最低となったことが、OECDが9日公表した『図表で見る教育08年版』で分かった。04年はワースト2だったが、今回は前回最下位のギリシャにも抜かれた。OECD平均は前年と同じ5・0%。3・4%は88年の調査開始以来、日本として最低の数字。」と報道されました。※OECD「図表で見る教育08年版」は文科省のHPで見ることができます。「文部科学省」→「統計情報」→「その他の統計データ」「図表でみる教育」
 財務省はこれに、「わが国はOECD諸国の中で人口比の生徒の割合が最も少ない」「わが国の生徒一人当たり教育支出は米英独仏日の主要五カ国の平均並みの水準」などと弁解しています。しかし、日本の教育支出に占める私費負担の割合の高さは突出しています。またそれが、「少子化」の大きな原因にもなっています。
 日本の教育費に占める「私費負担」の割合がとても高いことは、先の文科省HPからも分かります。例えば、【就学前教育】では、日本の私費負担は55.7%、OECD平均は19.8%です。また【高等教育】にいたっては、66.3%にものぼっています。OECD平均は26.9%です。
 日本の教育費が、家庭の支出に依存していることが分かります。この不況の中で、日本の子どもたちが格差の影響をまともに受けることへの心配の声が上がっています。

教育格差は子どもの「自己責任」とされてしまう

雑誌『教育』8月号の“扉のことば”は、次のように指摘していました。
「(貧困の)不幸は自己責任だとされてしまう。子どもにたいしては、学力というものが、決定的に自分の弱さを自分の責任だと考えさせる。その結果。排除された弱者は自分を責め、いらだちと攻撃性は自分自身に向かう。自分に依拠して自分の未来を切り開くことができない絶望が弱者を襲う。」
 実際、全国私教連の調査では、経済的理由で中退した生徒のいる高校は42.5%、3カ月以上滞納を抱えている生徒のいる高校は66%、経済的理由による中退生徒数は、回答した315校で513人もいるということです。私学だからといって家庭の所得が高いという訳ではありません。むしろ逆の傾向も出ています。
 子どもの教育を受ける権利が、家庭の経済によって影響されてしまっていいわけがありません。

つづく

※教育全国署名にご協力いただける方は、ご連絡ください。
054-271-8438 静岡市教組・全教静岡
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教育全国署名にご協力を! [教育条件整備・3千万署名]

教育全国署名ご協力のお願いです

 1989年から始まり、20年目を迎えた
『教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める署名』
のお願いです。

40人学級からなかなか進まない学級編成基準

 戦後10数年ごとに、50人学級→45人学級→40人学級と学級編成基準が改善されてきました。50年前、1958年に義務制第1次定数法「50人学級」が実現した際、当時の文部省局長は「欧米各国は大体30人から35人の範囲でございます。我が国でもできるだけ生徒数を低くしたい」と答弁していました。

 ところが、1980年義務制第5次定数法により小中が「40人学級」に、1993年高校第5次定数法により高校が「40人学級」になっていきましたが、その後改善されなくなってきました。

同じく養護学級(特別支援学級)の定数は、1993年の「8人学級」から改善がありません。

 「40人学級」(定数)は、40人を超えると学級を2学級に分けることができる(教員を加配できる)という財政措置です。従って、例えば40人の学級では、1学級のままです。41人になれば、1学級から20人、21人の2学級になります。40人ずつ3学級ある学年が1人増えて121人になったら、30人~31人の4学級になります。複式学級もこの定数が関わってきています。

子どもたちによりゆきとどいた教育をするために、この定数を減らしてほしいと、私たちをはじめ、多くの団体個人が、「少人数学級を」「せめて35人学級を」「欧米のように25人学級を」などと訴えてきました。しかし、国とりわけ財政当局はなかなか首を縦に振りません。

教育予算:日本、最低の3.4% GDP比、OECD28カ国中

 9月10日に、「日本の2005年の教育予算のGDP比は3・4%で、OECD加盟国中最低となったことが、OECDが9日公表した「図表で見る教育08年版」で分かった。04年はワースト2だったが、今回は前回最下位のギリシャにも抜かれた。OECD平均は前年と同じ5・0%。3・4%は88年の調査開始以来、日本として最低の数字。」と報道されました。※OECD「図表で見る教育08年版」は文科省のHPで見ることができます。

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/08092602.htm

 財務省はこれに、「わが国はOECD諸国の中で人口比の生徒の割合が最も少ない」「わが国の生徒一人当たり教育支出は米英独仏日の主要五カ国の平均並みの水準」などと弁解しています。しかし、日本の教育支出に占める私費負担の割合の高さは突出しています。またそれが、「少子化」の大きな原因にもなっています。

国の措置を待てずに地方が少人数学級に動き出す

 そんな中で、国の措置を待っていられないと、1990年代に多くの自治体が独自に「少人数学級」実施の措置を取り始めました。そのころの記録を再現してみます。町名役職は当時のものです。

 長野県小海町教育長1998年  「道路は1年や2年遅れても、その時みんながちょっと我慢すればすむが、学校や子どものことは、今やらなければ6年生は卒業してしまうし…、教育というのは1年も猶予がないもの」

 山梨県鰍沢町1998年 「過疎の町の町おこしを考えると、『自然のある町』だけでは、人は来ない。『子どもたちのいる町づくり』にして、子どものいる大人を誘致しよう」

 埼玉県志木市教育委員会2001年 小学校低学年25人学級に。「一人の担任の目が、気持ちが行き届きます。教室も広く使えます。個別指導を中心にしっかり学習を見ます。個人の発表や活躍の機会が多く取れます。…」

 山形県知事2002年 「何よりも私は、子どもたちの未来を開くことに、未来への責任を最も強く感じております。次代を担う子どもたちが生き生きと元気に育ってほしい、持てる能力・才能を十分に伸ばしてほしいと思うのであります。『子育てするなら山形県』を目指します。少人数学級の実現は、その大きな柱になるものであります。」

 山形県の教師の報告  山形県で、小学校全学年に「さんさんプラン」のネーミングで30人学級が実現しています。 「さんさんプラン」で一番喜んでいるのは子どもたち。「先生がね、ぼくの話を最後までよく聞いてくれるよ」「わかるまでていねいに教えてくれるよ」「友達が増えて、みんなと遊べるようになった」「毎日の勉強が楽しくて」と学校大好きになっているんです。先生方は、毎日の教育活動に自信を取り戻し、子どもたちに寄り添う活動を進めています。「気持ちにゆとりが生まれ、常に焦りがなくなった」「子どもたちをしかる場面がぐんと減ってきた」「あの子にも、この子にも、今日もしっかり教えることができた」「(山形弁)こごわがんねっていわっちえも、ゆどりもっておしぇでやれる」。

 こうして、現在国の財政措置が不十分な中でも、東京都を除く46道府県で何らかの「少人数学級」が実現するようになりました。

静岡県では…
 ここ静岡県でも、全国から比べると遅かったのですが、2004年から中1支援プログラムという形で(学校の希望による)、中1だけの「35人学級」が始まっています。しかし中2以後は「検討中」のままで現在に至っています。小学校には小1学級支援事業が「34人以上の多人数学級2クラスに1人の割合で配置」されています。しかしこれは、「担任の補助」をする非常勤講師であり、少人数学級にはほど遠いものです。

 昨年から始まった静岡県「理想の学校教育具現化委員会」が、「静岡式30人学級」などを10月27日に県教育長に提言しました。ようやく静岡県も、と喜んだのですが、提言では「一度にすべて実現していくのは難しい状況」のため、「施策の優先順位」に中学校の定数改善、小学校高学年の教科担任制などをあげるにとどまっています。しかも、県教委当局は「新聞でも報道されたように(ふだんは新聞報道を根拠にはしないのですが)、県は歳入不足で、空港問題もあるし…」と、さらにトーンダウンした発言をし始めました。 

国の教育予算を増やしてほしい!でも、県だって単独でも、もっとやってほしい!
このような中では、やはり多くの皆さんの声が、国会や県議会に届けられることが重要になっています。是非署名という形でご協力いただければ幸いです。「学校や子どものことは、今やらなければ…、教育というのは1年も猶予がないもの」ですから。

 ご賛同いただけるようでしたら、連絡をください。早速署名用紙を返信用封筒付きで送らせていただきます。
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3千万署名 静岡県議会へはあと1カ月余! [教育条件整備・3千万署名]

 教育予算を削減しよう、というのは、小泉構造改革で「大胆に」進められました。「米百俵」の
精神で、と、小泉前首相が言ったのは、苦しくても子どもたちに、明日を支える若者たちに金を使おう…ということではなく、子どもも青年も国民も、がまんしなさい。痛みを分かち合おう、アメリカや大企業・大銀行に「米百俵」の精神を!だったのでした。
 それでも、地方自治体は、国にそっぽを向かれても、石原東京都政を除く46道府県で独自の少人数学級実現の施策を始めました。静岡県でも、少し…。もっと県にがんばってほしい!さらには、
国や文科省こそ、少人数学級をはじめとする教育条件整備を進めてほしい!これは要求であり、応援でもあります。

 是非、3千万署名にご協力いただき、子どもたちが安心して学ぶことのできる学校、教育の条件整備が少しでも進展するように、力を貸してください。

署名についての問い合わせは、 静岡市教組 tel054-271-8438 fax054-271-1114


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