高校改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めます 全教談話 [学習指導要領]
【全教談話】
国・財界の求める「人材」育成をすすめる高校改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めます
〜憲法と子どもの権利条約にもとづき、すべての高校生が学ぶ権利を保障される教育への転換を〜
2018年4月4日
全日本教職員組合
書記長 小畑雅子
文部科学省は、3月30日、改訂された高等学校学習指導要領(以下、改訂学習指導要領)の官報告示をおこないました。改訂学習指導要領は2022年度から本格実施となります。1年前に改訂された幼稚園教育要領や小・中学校学習指導要領と同様に、改悪教育基本法(2006年)を全面的に具体化し、憲法改悪と一体に安倍「教育再生」を推進させるものです。
改訂学習指導要領は、高校生が身につけるべき「資質・能力」をはじめ指導方法や評価のあり方まで国が定め、高校生や教職員に対する管理統制をいっそう強めるものとなっています。
また、教科の新設や名称変更、科目の大幅な改変等がおこなわれています。
真理・真実にもとづく教育や科学的認識を育む教育を軽視し、国・財界の求める「人材」育成をめざす安倍政権の戦略に沿った教育を押しつけようとするものです。
改訂学習指導要領と一体ですすめられている「高大接続改革」は、高校生の基礎学力不足・学習意欲低下を強調し、これまでの高校教育に原因があると決めつけ、「改革」を口実にして高校に「全国学テ体制」を押しつけようとしています。
これまでも、高校では子どもたちや保護者、地域のニーズと乖離した再編・統合、多様化がすすめられ、高校生の選別がおこなわれてきました。
「高大接続改革」は、高校版「全国学テ」となる危険性をもつ「高校生のための学びの基礎診断」と、改訂学習指導要領の到達度を測る目的を強調する「大学入学共通テスト」の2つの新テストで、高校生を激しい競争に追い込み、篩にかけるものです。
現在、高校では、各学校が生徒や地域の実態に応じて、教職員が話し合い自主的な教育課程編成をおこなうことができます。
これに対し、改訂学習指導要領は、校長の「リーダーシップ」による上意下達の「カリキュラム・マネジメント」で教職員を管理統制しようとしています。その体制を支えるPDCAサイクルによって、高校生が否応なしに国の定める「資質・能力」を身につけることをねらっています。
改訂学習指導要領は、主権者教育についてほとんど触れていません。
憲法が位置づけられていた必履修科目「現代社会」がなくされ、それに替わるものとして「公共」がつくられます。
「公共」では、「規律ある生活」「社会の形成に参画する意欲と態度」「義務を果たし責任を重んずる態度」「伝統と文化」「我が国と郷土を愛する」などが強調され、自由・権利は責任・義務とセットで身につけるよう指導することが求められ、憲法の三原則(基本的人権・国民主権・平和主義)が後景に追いやられています。
国民の権利の保障より、愛国心など特定の価値観や規範意識を押しつける道徳教育を、小・中学校から高校まで貫こうとしています。
改訂学習指導要領が示す方向では、
高校生の成長・発達は歪められ、ごく一部の「グローバル人材」を育成する一方、多くの高校生が置き去りにされ、排除されることにつながります。
こうしたねらいを明らかにし、高校生の実態から出発する教育課程づくり、参加と共同の学校づくりをすすめる合意をつくり出していくことがきわめて重要です。
全教は、改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めるとともに、「戦争する国」「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりのための「人材」育成ではなく、
高校生が自主的・主体的で自由に学ぶ権利を保障するとりくみをすすめます。
高校生とともに全国の父母・保護者、国民、教職員と共同し、
すべての高校生が学ぶ喜びと希望をもつことのできる高校教育への転換に向けて奮闘するものです。
以 上
国・財界の求める「人材」育成をすすめる高校改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めます
〜憲法と子どもの権利条約にもとづき、すべての高校生が学ぶ権利を保障される教育への転換を〜
2018年4月4日
全日本教職員組合
書記長 小畑雅子
文部科学省は、3月30日、改訂された高等学校学習指導要領(以下、改訂学習指導要領)の官報告示をおこないました。改訂学習指導要領は2022年度から本格実施となります。1年前に改訂された幼稚園教育要領や小・中学校学習指導要領と同様に、改悪教育基本法(2006年)を全面的に具体化し、憲法改悪と一体に安倍「教育再生」を推進させるものです。
改訂学習指導要領は、高校生が身につけるべき「資質・能力」をはじめ指導方法や評価のあり方まで国が定め、高校生や教職員に対する管理統制をいっそう強めるものとなっています。
また、教科の新設や名称変更、科目の大幅な改変等がおこなわれています。
真理・真実にもとづく教育や科学的認識を育む教育を軽視し、国・財界の求める「人材」育成をめざす安倍政権の戦略に沿った教育を押しつけようとするものです。
改訂学習指導要領と一体ですすめられている「高大接続改革」は、高校生の基礎学力不足・学習意欲低下を強調し、これまでの高校教育に原因があると決めつけ、「改革」を口実にして高校に「全国学テ体制」を押しつけようとしています。
これまでも、高校では子どもたちや保護者、地域のニーズと乖離した再編・統合、多様化がすすめられ、高校生の選別がおこなわれてきました。
「高大接続改革」は、高校版「全国学テ」となる危険性をもつ「高校生のための学びの基礎診断」と、改訂学習指導要領の到達度を測る目的を強調する「大学入学共通テスト」の2つの新テストで、高校生を激しい競争に追い込み、篩にかけるものです。
現在、高校では、各学校が生徒や地域の実態に応じて、教職員が話し合い自主的な教育課程編成をおこなうことができます。
これに対し、改訂学習指導要領は、校長の「リーダーシップ」による上意下達の「カリキュラム・マネジメント」で教職員を管理統制しようとしています。その体制を支えるPDCAサイクルによって、高校生が否応なしに国の定める「資質・能力」を身につけることをねらっています。
改訂学習指導要領は、主権者教育についてほとんど触れていません。
憲法が位置づけられていた必履修科目「現代社会」がなくされ、それに替わるものとして「公共」がつくられます。
「公共」では、「規律ある生活」「社会の形成に参画する意欲と態度」「義務を果たし責任を重んずる態度」「伝統と文化」「我が国と郷土を愛する」などが強調され、自由・権利は責任・義務とセットで身につけるよう指導することが求められ、憲法の三原則(基本的人権・国民主権・平和主義)が後景に追いやられています。
国民の権利の保障より、愛国心など特定の価値観や規範意識を押しつける道徳教育を、小・中学校から高校まで貫こうとしています。
改訂学習指導要領が示す方向では、
高校生の成長・発達は歪められ、ごく一部の「グローバル人材」を育成する一方、多くの高校生が置き去りにされ、排除されることにつながります。
こうしたねらいを明らかにし、高校生の実態から出発する教育課程づくり、参加と共同の学校づくりをすすめる合意をつくり出していくことがきわめて重要です。
全教は、改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めるとともに、「戦争する国」「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりのための「人材」育成ではなく、
高校生が自主的・主体的で自由に学ぶ権利を保障するとりくみをすすめます。
高校生とともに全国の父母・保護者、国民、教職員と共同し、
すべての高校生が学ぶ喜びと希望をもつことのできる高校教育への転換に向けて奮闘するものです。
以 上
改訂学習指導要領の抜本的な見直しを求めます [学習指導要領]
【全教談話】
国や財界のための人材育成をめざす改訂学習指導要領の抜本的な見直しを求めます
〜憲法と子どもの権利条約にもとづき、学ぶ喜びと希望を育む教育への転換を〜
2017年4月6日
全日本教職員組合
書記長 小畑雅子
文部科学省は、3月31日、改訂された幼稚園教育要領、小学校及び中学校の学習指導要領(以下、改訂学習指導要領)を発表しました。幼稚園教育要領は2018年度、小学校学習指導要領は2020年度、中学校学習指導要領は2021年度から本格実施となります。
改訂学習指導要領は、2月に公表された改訂案を一部手直ししたものの、グローバル大企業に奉仕する人材の育成、「愛国心」の押しつけなど国や財界への奉仕者を育成することをめざすものとなっていることは変わっていません。
公表されたパブリックコメントの結果では、全教が指摘してきたものも含め、少なくない懸念や反対意見が寄せられたことが明らかになっています。しかし、「指摘はあたらない」との回答で退ける一方、これまでの研究・科学の到達を踏まえた内容を後退させる内容が持ち込まれるとともに、中学校の武道に、事実上自衛官の競技である銃剣道を追加するなど、子どもたちを戦場に送るための教育につくり変えようとするねらいが際立つものとなっています。教え子を再び戦場に送らないと誓った戦後教育の原点を覆そうとするものであり、断じて容認できません。
今、安倍政権は、教育勅語の活用を容認する閣議決定を繰り返し、防衛大臣が「(教育勅語の)核の部分は取り戻すべき」と答弁し、文科大臣も教材としての使用を是認、官房長官が、「教育上支障のないことを取り扱うことまでは否定しない」と記者会見で答えるなど、危険な姿勢がいっそう明らかになっています。教育勅語は、12の徳目の最後を「一旦緩急あれば、義勇公に奉じ」と、天皇のために命を賭して戦うことを国民に求め、子どもたちを侵略戦争に駆り立てる精神的支柱としての役割を果たしました。同時に、国民を天皇=国に奉ずる臣民として扱い国家主義の根幹をなすものでした。そのため憲法・教育基本法の制定時に衆院で排除、参院で失効確認が決議されています。教育勅語を肯定しようとすることは、「愛国心」の押しつけをすすめる改訂学習指導要領とあいまって、「戦争する国」づくりをいっそうすすめるものです。
改訂学習指導要領が示す方向では、子どもたちの成長・発達はいっそう歪められ、ごく一部のグローバル人材育成の一方で、大多数の子どもが取り残され、排除されることにつながります。こうしたねらいを明らかにし、改訂学習指導要領の抜本的見直しと子どもの実態から出発する教育課程づくりをすすめる合意をつくり出していくことが求められています。
全教は、改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めるとともに、国や財界への奉仕者の育成をめざし、子どもたちを追いつめる教育から、学ぶ喜びと希望を育む教育への転換のため、子どもの声をいかし、全国の父母・保護者、国民、教職員との共同を強め奮闘するものです。
以上
国や財界のための人材育成をめざす改訂学習指導要領の抜本的な見直しを求めます
〜憲法と子どもの権利条約にもとづき、学ぶ喜びと希望を育む教育への転換を〜
2017年4月6日
全日本教職員組合
書記長 小畑雅子
文部科学省は、3月31日、改訂された幼稚園教育要領、小学校及び中学校の学習指導要領(以下、改訂学習指導要領)を発表しました。幼稚園教育要領は2018年度、小学校学習指導要領は2020年度、中学校学習指導要領は2021年度から本格実施となります。
改訂学習指導要領は、2月に公表された改訂案を一部手直ししたものの、グローバル大企業に奉仕する人材の育成、「愛国心」の押しつけなど国や財界への奉仕者を育成することをめざすものとなっていることは変わっていません。
公表されたパブリックコメントの結果では、全教が指摘してきたものも含め、少なくない懸念や反対意見が寄せられたことが明らかになっています。しかし、「指摘はあたらない」との回答で退ける一方、これまでの研究・科学の到達を踏まえた内容を後退させる内容が持ち込まれるとともに、中学校の武道に、事実上自衛官の競技である銃剣道を追加するなど、子どもたちを戦場に送るための教育につくり変えようとするねらいが際立つものとなっています。教え子を再び戦場に送らないと誓った戦後教育の原点を覆そうとするものであり、断じて容認できません。
今、安倍政権は、教育勅語の活用を容認する閣議決定を繰り返し、防衛大臣が「(教育勅語の)核の部分は取り戻すべき」と答弁し、文科大臣も教材としての使用を是認、官房長官が、「教育上支障のないことを取り扱うことまでは否定しない」と記者会見で答えるなど、危険な姿勢がいっそう明らかになっています。教育勅語は、12の徳目の最後を「一旦緩急あれば、義勇公に奉じ」と、天皇のために命を賭して戦うことを国民に求め、子どもたちを侵略戦争に駆り立てる精神的支柱としての役割を果たしました。同時に、国民を天皇=国に奉ずる臣民として扱い国家主義の根幹をなすものでした。そのため憲法・教育基本法の制定時に衆院で排除、参院で失効確認が決議されています。教育勅語を肯定しようとすることは、「愛国心」の押しつけをすすめる改訂学習指導要領とあいまって、「戦争する国」づくりをいっそうすすめるものです。
改訂学習指導要領が示す方向では、子どもたちの成長・発達はいっそう歪められ、ごく一部のグローバル人材育成の一方で、大多数の子どもが取り残され、排除されることにつながります。こうしたねらいを明らかにし、改訂学習指導要領の抜本的見直しと子どもの実態から出発する教育課程づくりをすすめる合意をつくり出していくことが求められています。
全教は、改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めるとともに、国や財界への奉仕者の育成をめざし、子どもたちを追いつめる教育から、学ぶ喜びと希望を育む教育への転換のため、子どもの声をいかし、全国の父母・保護者、国民、教職員との共同を強め奮闘するものです。
以上
学習指導要領の案に、意見(パブコメ)を送ろう! [学習指導要領]
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0
この学習指導要領案で、教科書が変わる、教育が変わる
こうしてほしい!の意見を送ろう。
子どもに豊かな教育を!
この学習指導要領案で、教科書が変わる、教育が変わる
こうしてほしい!の意見を送ろう。
子どもに豊かな教育を!
次期学習指導要領← 中教審答申 [学習指導要領]
昨年12月21日、中央教育審議会(中教審)が答申を出しました。
これからの、(先行実施とも言っているので、すぐかも)
学校教育、教育実践に大きく影響します。
何となく押し切られないように、一緒に学習してみませんか?
↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm
これからの、(先行実施とも言っているので、すぐかも)
学校教育、教育実践に大きく影響します。
何となく押し切られないように、一緒に学習してみませんか?
↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm
教育は、全体の奉仕者としての教員が、国民に対し直接責任を負っておこなうもの [学習指導要領]
【全教談話】次期学習指導要領に向けた中教審「答申」について
~国と財界のための人づくりでは子どもたちの未来は開けない~
2016年12月22日
全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子
中央教育審議会(以下、中教審)は、12月21日総会を開催し、次期学習指導要領の改訂に向け「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策等について(答申)」(以下、「答申」)を文科大臣に提出しました。
「答申」は、2006年に改悪された教育基本法を全面的に具体化するもので、先行実施される義務制での「道徳の教科化」と一体に「公共(仮称)」の新設など高校における道徳教育の具体化をはかること、グローバル人材育成に向けた英語教育の強化、とりわけ小学校での教科化などをめざすものです。
また、個人の尊重、国民主権、基本的人権の保障などを基調とする憲法と子どもの権利条約の理念に反するものです。
「答申」にもとづき学習指導要領が策定され、学校現場での教育活動が具体化されることになれば、子どもたちに多くの困難をもたらすこととなり、その成長・発達をいっそうゆがめるものとなることが懸念されます。
「答申」は、子どもたち一人ひとりの成長・発達を保障する権利としての教育ではなく、「戦争する国」を主体的に支える人材とグローバル大企業の世界戦略を支える人材づくりをめざすものです。
そのために「資質・能力」を国が規定し、そこに向かって教育内容、教育方法、評価のあり方まで管理・統制することをめざしたものです。
それは、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」を目標としていることにも現われているように、国や財界のための人づくり方針にもとづき教育をつくりかえようとするものです。
国連子どもの権利委員会が「高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する」と指摘するように、学区拡大などによる高校の受験競争の激化、「全国一斉学力テスト」の結果公表など、競争主義的な教育のあり方が子どもたちを苦しめています。「学力テスト」対策のためのドリルや大量の宿題が子どもたちに押しつけられ、「○○県に学べ」などの「学力向上策」のもとで、画一的で子どもたちの実態を無視した指導も押しつけられています。こうした結果、学ぶ喜びを奪われ、学習への意欲を無くしている子どもも少なくありません。さらには、貧困と格差の広がり、子どもや教育を営利の対象とする企業活動なども子どもたちの成長・発達に否定的な影響を与えています。
こうした現状を踏まえるならば、子どもたちが学ぶ喜びを抱くことができるような学校と教育、社会をどうつくりだしていくのかについての真摯な分析・検討と国民的な議論が求められています。
同時に、過去の学習指導要領をはじめ、国の教育政策についての総括や検証、その上にたった新たな方針が求められます。
しかし、「答申」はこうした課題に向き合わず、国が示す「資質・能力」を身につけさせるために「何をするのか」だけを、子ども、父母・保護者、国民、教職員や学校に押しつけようとするものです。
これでは、「主体的・対話的で深い学び」を実現するどころか、諸困難を解決・軽減できず、いっそう子どもたちを追いつめるものとなってしまいます。
教育は本来、全体の奉仕者としての教員が、国民に対し直接責任を負っておこなうものであり、国や財界に責任を負っておこなうものでありません。
全教は、学習指導要領の策定作業を中止し、憲法と子どもの権利条約にもとづき、「答申」を抜本的に見直すことを求めます。そして、子ども、父母・国民、教職員との共同の力で、子どもたち一人ひとりの成長・発達をささえる権利としての教育を確立するため、全力で奮闘することを決意するものです。
以上
~国と財界のための人づくりでは子どもたちの未来は開けない~
2016年12月22日
全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子
中央教育審議会(以下、中教審)は、12月21日総会を開催し、次期学習指導要領の改訂に向け「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策等について(答申)」(以下、「答申」)を文科大臣に提出しました。
「答申」は、2006年に改悪された教育基本法を全面的に具体化するもので、先行実施される義務制での「道徳の教科化」と一体に「公共(仮称)」の新設など高校における道徳教育の具体化をはかること、グローバル人材育成に向けた英語教育の強化、とりわけ小学校での教科化などをめざすものです。
また、個人の尊重、国民主権、基本的人権の保障などを基調とする憲法と子どもの権利条約の理念に反するものです。
「答申」にもとづき学習指導要領が策定され、学校現場での教育活動が具体化されることになれば、子どもたちに多くの困難をもたらすこととなり、その成長・発達をいっそうゆがめるものとなることが懸念されます。
「答申」は、子どもたち一人ひとりの成長・発達を保障する権利としての教育ではなく、「戦争する国」を主体的に支える人材とグローバル大企業の世界戦略を支える人材づくりをめざすものです。
そのために「資質・能力」を国が規定し、そこに向かって教育内容、教育方法、評価のあり方まで管理・統制することをめざしたものです。
それは、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」を目標としていることにも現われているように、国や財界のための人づくり方針にもとづき教育をつくりかえようとするものです。
国連子どもの権利委員会が「高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する」と指摘するように、学区拡大などによる高校の受験競争の激化、「全国一斉学力テスト」の結果公表など、競争主義的な教育のあり方が子どもたちを苦しめています。「学力テスト」対策のためのドリルや大量の宿題が子どもたちに押しつけられ、「○○県に学べ」などの「学力向上策」のもとで、画一的で子どもたちの実態を無視した指導も押しつけられています。こうした結果、学ぶ喜びを奪われ、学習への意欲を無くしている子どもも少なくありません。さらには、貧困と格差の広がり、子どもや教育を営利の対象とする企業活動なども子どもたちの成長・発達に否定的な影響を与えています。
こうした現状を踏まえるならば、子どもたちが学ぶ喜びを抱くことができるような学校と教育、社会をどうつくりだしていくのかについての真摯な分析・検討と国民的な議論が求められています。
同時に、過去の学習指導要領をはじめ、国の教育政策についての総括や検証、その上にたった新たな方針が求められます。
しかし、「答申」はこうした課題に向き合わず、国が示す「資質・能力」を身につけさせるために「何をするのか」だけを、子ども、父母・保護者、国民、教職員や学校に押しつけようとするものです。
これでは、「主体的・対話的で深い学び」を実現するどころか、諸困難を解決・軽減できず、いっそう子どもたちを追いつめるものとなってしまいます。
教育は本来、全体の奉仕者としての教員が、国民に対し直接責任を負っておこなうものであり、国や財界に責任を負っておこなうものでありません。
全教は、学習指導要領の策定作業を中止し、憲法と子どもの権利条約にもとづき、「答申」を抜本的に見直すことを求めます。そして、子ども、父母・国民、教職員との共同の力で、子どもたち一人ひとりの成長・発達をささえる権利としての教育を確立するため、全力で奮闘することを決意するものです。
以上
教育は、誰かのための「人材」育成、では ない! [学習指導要領]
全国学テに関わって、その順位などがマスコミをにぎわしました。
県教委や市町教委、管理職なども振り回されています。
でも、もともとの学習指導要領の問題に目が行っていないように思います。
教科書や授業のもとになる学習指導要領の問題が論議されなければ、いつまでたっても、子どもや保護者、教職員は振り回されるだけです。
以下、長文が2つですが、是非読んでおいてください。
1.全教談話 「次期学習指導要領の改訂に向けた中教審での審議入りにあたって」
2.文科相の中教審への諮問 「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」
【全教談話】
次期学習指導要領の改訂に向けた中教審での審議入りにあたって
2014年12月16日
全日本教職員組合(全教)書記長 今谷賢二
12月4日、下村文科大臣が11月20日に中央教育審議会(以下、中教審)に諮問した「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」を受け、中教審初等中等教育分科会教育課程部会において、次期学習指導要領の全面改訂をめざして審議がはじまりました。
今回の諮問は、10年ごとの改訂期にあたって、学習指導要領の全面的な改訂を行おうとするものであり、改悪教育基本法とその具体的方策としての教育振興基本計画を教育課程等に具体化するものです。
その根底にすえたのは、今の子どもたちが成人する頃には「生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新」などによって、子どもたちの職業の在り方が様変わりしていること、こうした「変化を乗り越え、伝統や文化に立脚し、高い志や意欲を持つ自立した人間」が求められるとの認識です。こうした認識に立って、教育課程について「新たな在り方を構築していく」とし、(1)これからの時代に必要な「資質・能力」、それらを育むための指導方法や評価の在り方、(2)育成すべき「資質・能力」を育むための教科・科目等の目標や内容の見直し、(3)そうした学習指導要領の理念を実現するためのカリキュラムマネジメントや指導方法や評価方法の「改善を支援する方策」などについての審議を求めています。
とりわけ、育成すべき「資質・能力」にかかわって「特に」検討する事項のなかで、英語教育と高校における教育課程について踏み込んだものとなっています。
英語教育については、「外国語で躊躇せず意見を述べ他者と交流していく」として、小学校の中学年から英語活動、高学年で教科とすること、中学校で授業を英語で行うこと、高校で「発表・討論・交渉などを行う能力を高める」ことなど、学校段階での目標を例示しています。
高校教育については、「国民投票の投票権年齢が満18歳以上となる」などを踏まえて、「国家及び社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や、主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を実践的に身に付けるための新たな科目等の在り方」、「日本史の必修化の扱い」、「総合的な学習の時間」の「改善」などを例示しています。
こうした一方で、日本の子どもたちの「自己肯定観や学習意欲、社会参画の意識等が国際的に見て低い」ことを課題としていますが、国連子どもの権利委員会からの再三にわたる勧告で指摘されている「高度に競争主義的な教育環境」の問題には一言も触れていません。また、PISA 調査をめぐって世界中の教育学者から指摘されている「学力テスト」の在り方やその問題点にかかわる懸念も一顧だにしないものです。
このように、今回の諮問は、教育の目的を人格の完成や平和で民主的な社会の形成者におくのではなく、財界や時の為政者が考える人材育成を求めるものとなっており、憲法にも教育の条理にも反するもので、諮問の内容そのものが問題です。
また、指導方法や評価の在り方、その方法まで踏み込んでの答申を求めていることは、学習指導要領によって教育内容のみならず、教育活動全体を統制しようとするものとなっており問題です。全国一斉学力テストによって、指導方法や指導内容の画一化や押しつけが強まっていますが、そうした実態を学校教育全体に押し広げ、教育への国家統制を強化しようとするものです。
そのことは、諮問の標題そのものが「初等中等教育における教育課程の基準等」となっていることにも表れています。これまで学習指導要領は、戦後「試案」とついていたものを1950年代後半に官報告示によって「法的拘束力がある」と改悪されたものの「大綱的基準」とされ、子どもたちの実態に合わせて学校で教育課程を編成するものとし、教材の選択や指導方法については現場の裁量が幅広く認められてきました。戦後、自民党政権の下で、こうした裁量の幅を狭め、国や行政による統制を強化してきましたが、前回の改訂においても「基準性」として、「大綱的基準」とする見地を堅持していました。
しかし、今回の諮問では明確に基準としてその拘束力を強化しようとするもので、重大な問題です。
旭川学テ訴訟の最高裁判決は、教育は「専ら子どもの利益のために行われるべきもの」であり、教育内容に対する「国家的介入についてはできるだけ抑制的であること」とし、国の行政権力が教育内容や方法をすべて決定し、現場に押しつけることを否定しています。また、現憲法下では教育に関して地方自治の原則が採用されているとし、「(地教委の)権限にたいする国の行政機関である文部大臣の介入、監督の権限に一定の制約が存する」ことにも言及しています。今回の諮問は、この最高裁の判決にも背くものです。
今後、文科省は2020年度からの小学校での全面実施を想定し、2018年度内の答申と学習指導要領の改訂をめざして、中教審での審議をすすめる構えです。
全教は、中教審での議論を注視するとともに、今回の諮問とそれにもとづく学習指導要領の改訂の問題点を明らかにし、学校現場において憲法と子どもの権利条約、教育の条理に裏打ちされた子どもたちの実態から出発する教育課程編成が尊重されるよう奮闘するものです。そのため、全国の学校現場で子どもの実態からはじまる教育課程づくりを参加と共同の学校づくりに位置づけ、とりくみを強化することをよびかけるものです。
以上
初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
26文科初第852号
平成26年11月20日
中央教育審議会
次に掲げる事項について,別添理由を添えて諮問します。
初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について
文部科学大臣 下村博文
(理由)
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は,厳しい挑戦の時代を迎えていると予想されます。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく変化し,子供たちが就くことになる職業の在り方についても,現在とは様変わりすることになるだろうと指摘されています。また,成熟社会を迎えた我が国が,個人と社会の豊かさを追求していくためには,一人一人の多様性を原動力とし,新たな価値を生み出していくことが必要となります。
我が国の将来を担う子供たちには,こうした変化を乗り越え,伝統や文化に立脚し,高い志や意欲を持つ自立した人間として,他者と協働しながら価値の創造に挑み,未来を切り開いていく力を身に付けることが求められます。
そのためには,教育の在り方も一層の進化を遂げなければなりません。個々人の潜在的な力を最大限に引き出すことにより,一人一人が互いを認め合い,尊重し合いながら自己実現を図り,幸福な人生を送れるようにするとともに,より良い社会を築いていくことができるよう,初等中等教育における教育課程についても新たな在り方を構築していくことが必要です。
幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の教育課程の基準となる学習指導要領等については,これまでも,時代の変化や子供たちの実態,社会の要請等を踏まえ,数次にわたり改訂されてきました。平成二十年及び平成二十一年に行われた前回の改訂では,教育基本法の改正により明確になった教育の理念を踏まえ,子供たちの「生きる力」の育成をより一層重視する観点から見直しが行われました。特に学力については,学校教育法第三十条第二項に示された「基礎的な知識及び技能」,「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力」及び「主体的に学習に取り組む態度」の,いわゆる学力の三要素から構成される「確かな学力」をバランス良く育てることを目指し,教育目標や内容が見直されるとともに,学級やグループで話し合い発表し合うなどの言語活動や,各教科等における探究的な学習活動等を重視することとされたところです。
これを踏まえて各学校では真摯な取組が重ねられており,その成果の一端は,近年改善傾向にある国内外の学力調査の結果にも表れていると考えられます。
その一方で,我が国の子供たちについては,判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることについて課題が指摘されることや,自己肯定感や学習意欲,社会参画の意識等が国際的に見て低いことなど,子供の自信を育み能力を引き出すことは必ずしも十分にできておらず,教育基本法の理念が十分に実現しているとは言い難い状況です。また,成熟社会において新たな価値を創造していくためには,一人一人が互いの異なる背景を尊重し,それぞれが多様な経験を重ねながら,様々な得意分野の能力を伸ばしていくことが,これまで以上に強く求められます。
こうした状況も踏まえながら,今後,一人一人の可能性をより一層伸ばし,新しい時代を生きる上で必要な資質・能力を確実に育んでいくことを目指し,未来に向けて学習指導要領等の改善を図る必要があります。
新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関連して,これまでも,例えば,OECDが提唱するキー・コンピテンシーの育成に関する取組や,論理的思考力や表現力,探究心等を備えた人間育成を目指す国際バカロレアのカリキュラム,ユネスコが提唱する持続可能な開発のための教育(ESD)などの取組が実施されています。さらに,未曾有(みぞう)の大災害となった東日本大震災における困難を克服する中で,様々な現実的課題と関わりながら,被災地の復興と安全で安心な地域づくりを図るとともに,日本の未来を考えていこうとする新しい教育の取組も芽生えています。
これらの取組に共通しているのは,ある事柄に関する知識の伝達だけに偏らず,学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行い,子供たちがそうした教育のプロセスを通じて,基礎的な知識・技能を習得するとともに,実社会や実生活の中でそれらを活用しながら,自ら課題を発見し,その解決に向けて主体的・協働的に探究し,学びの成果等を表現し,更に実践に生かしていけるようにすることが重要であるという視点です。
そのために必要な力を子供たちに育むためには,「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています。
また,こうした学習・指導方法の改革と併せて,学びの成果として「どのような力が身に付いたか」に関する学習評価の在り方についても,同様の視点から改善を図る必要があると考えられます。
以上のような問題意識の下,今般,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の在り方について諮問を行うものであります。
具体的には,以下の点を中心に御審議をお願いいたします。
第一に,教育目標・内容と学習・指導方法,学習評価の在り方を一体として捉えた,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方についてであります。
これからの学習指導要領等については,必要な教育内容を系統的に示すのみならず,育成すべき資質・能力を子供たちに確実に育む観点から,そのために必要な学習・指導方法や,学習の成果を検証し指導改善を図るための学習評価を充実させていく観点が必要であると考えられます。このように,教育内容,学習・指導方法と学習評価の充実を一体的に進めていくために求められる学習指導要領等の在り方について,御検討をお願いします。
その際,特に以下のような視点から,御検討をお願いします。
○ これからの時代を,自立した人間として多様な他者と協働しながら創造的に生きていくために必要な資質・能力をどのように捉えるか。その際,我が国の子供たちにとって今後特に重要と考えられる,何事にも主体的に取り組もうとする意欲や多様性を尊重する態度,他者と協働するためのリーダーシップやチームワーク,コミュニケーションの能力,さらには,豊かな感性や優しさ,思いやりなどの豊かな人間性の育成との関係をどのように考えるか。また,それらの育成すべき資質・能力と,各教科等の役割や相互の関係はどのように構造化されるべきか。
○ 育成すべき資質・能力を確実に育むための学習・指導方法はどうあるべきか。その際,特に,現行学習指導要領で示されている言語活動や探究的な学習活動,社会とのつながりをより意識した体験的な活動等の成果や,ICTを活用した指導の現状等を踏まえつつ,今後の「アクティブ・ラーニング」の具体的な在り方についてどのように考えるか。また,そうした学びを充実させていくため,学習指導要領等において学習・指導方法をどのように教育内容と関連付けて示していくべきか。
○ 育成すべき資質・能力を子供たちに確実に育む観点から,学習評価の在り方についてどのような改善が必要か。その際,特に,「アクティブ・ラーニング」等のプロセスを通じて表れる子供たちの学習成果をどのような方法で把握し,評価していくことができるか。
第二に,育成すべき資質・能力を踏まえた,新たな教科・科目等の在り方や,既存の教科・科目等の目標・内容の見直しについてであります。中でも特に以下の事項について,御検討をお願いします。
○ グローバル化する社会の中で,言語や文化が異なる人々と主体的に協働していくことができるよう,外国語で躊躇(ちゅうちょ)せず意見を述べ他者と交流していくために必要な力や,我が国の伝統文化に関する深い理解,他文化への理解等をどのように育んでいくべきか。
特に,国際共通語である英語の能力について,文部科学省が設置した「英語教育の在り方に関する有識者会議」の報告書においてまとめられた提言も踏まえつつ,例えば以下のような点についてどのように考えるべきか。
・小学校から高等学校までを通じて達成を目指すべき教育目標を,「英語を使って何ができるようになるか」という観点から,四技能に係る一貫した具体的な指標の形式で示すこと
・小学校では,中学年から外国語活動を開始し音声に慣れ親しませるとともに,高学年では,学習の系統性を持たせる観点から教科として行い,身近で簡単なことについて互いの考えや気持ちを伝え合う能力を養うこと
・中学校では,授業は英語で行うことを基本とし,身近な話題について互いの考えや気持ちを伝え合う能力を高めること
・高等学校では,幅広い話題について発表・討論・交渉などを行う能力を高めること
○ 高等学校教育について,中央教育審議会における高大接続改革に関する議論や,これまでの関連する答申等も踏まえつつ,例えば以下のような課題についてどのように改善を図るべきか。
・今後,国民投票の投票権年齢が満18歳以上となることや,選挙権年齢についても同様の引下げが検討されるなど,満18歳をもって「大人」として扱おうとする議論がなされていることも踏まえ,国家及び社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や,主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を,実践的に身に付けるための新たな科目等の在り方
・日本史の必修化の扱いなど地理歴史科の見直しの在り方
・より高度な思考力・判断力・表現力等を育成するための新たな教科・科目の在り方
・より探究的な学習活動を重視する視点からの「総合的な学習の時間」の改善の在り方
・社会的要請を踏まえた専門学科のカリキュラムの在り方など,職業教育の充実の在り方
・義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための教科・科目等の在り方
○ 子供の発達の早期化をめぐる現象や指摘及び幼児教育の特性等を踏まえ,幼児教育と小学校教育をより円滑に接続させていくためには,どのような見直しが必要か。
○ 子供の体力等の現状を踏まえつつ,2020年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会開催を契機に,子供たちの運動・スポーツに対する関心や意欲の向上を図るとともに,体育・健康に関する指導を充実させ,運動する習慣を身に付け,健康を増進し,豊かな生活を送るための基礎を培うためには,どのような見直しが必要か。
○ 障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ,全ての学校において,発達障害を含めた障害のある子供たちに対する特別支援教育を着実に進めていくためには,どのような見直しが必要か。
その際,特別支援学校については,小・中・高等学校等に準じた改善を図るとともに,自立と社会参加を一層推進する観点から,自立活動の充実や知的障害のある児童生徒のための各教科の改善などについて,どのように考えるべきか。
○ 社会の要請等を踏まえ,教科等を横断した幅広い視点からの取組が求められる様々な分野の教育の充実のための方策について,関係する会議等におけるこれまでの議論の状況等を踏まえつつ,どのように考えるべきか。
○ 各教科等の教育目標や内容を,初等中等教育を通じて一貫した観点からより効果的に示すためにどのような方策が考えられるか。また,学年間や学校種間の教育課程の接続の改善を図ることについて,現在中央教育審議会で御議論いただいている小中一貫教育に関する検討状況も踏まえつつ,どのように考えるべきか。
第三に,学習指導要領等の理念を実現するための,各学校におけるカリキュラム・マネジメントや,学習・指導方法及び評価方法の改善を支援する方策についてであります。特に以下のような視点から,御検討をお願いします。
○ 学習指導要領等に基づき,各学校において育成すべき資質・能力を踏まえた教育課程を編成していく上で,どのような取組が求められるか。また,各学校における教育課程の編成,実施,評価,改善の一連のカリキュラム・マネジメントを普及させていくためには,どのような支援が必要か。
○ 「アクティブ・ラーニング」などの新たな学習・指導方法や,このような新しい学びに対応した教材や評価手法の今後の在り方についてどのように考えるか。また,そうした教材や評価手法の更なる開発や普及を図るために,どのような支援が必要か。
以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが,審議に当たっては,学校と家庭や地域の連携強化の在り方など学習指導要領等の改善に関連する事項にも御留意の上,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の在り方に関し,必要な事項について御検討をお願いします。
県教委や市町教委、管理職なども振り回されています。
でも、もともとの学習指導要領の問題に目が行っていないように思います。
教科書や授業のもとになる学習指導要領の問題が論議されなければ、いつまでたっても、子どもや保護者、教職員は振り回されるだけです。
以下、長文が2つですが、是非読んでおいてください。
1.全教談話 「次期学習指導要領の改訂に向けた中教審での審議入りにあたって」
2.文科相の中教審への諮問 「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」
【全教談話】
次期学習指導要領の改訂に向けた中教審での審議入りにあたって
2014年12月16日
全日本教職員組合(全教)書記長 今谷賢二
12月4日、下村文科大臣が11月20日に中央教育審議会(以下、中教審)に諮問した「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」を受け、中教審初等中等教育分科会教育課程部会において、次期学習指導要領の全面改訂をめざして審議がはじまりました。
今回の諮問は、10年ごとの改訂期にあたって、学習指導要領の全面的な改訂を行おうとするものであり、改悪教育基本法とその具体的方策としての教育振興基本計画を教育課程等に具体化するものです。
その根底にすえたのは、今の子どもたちが成人する頃には「生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新」などによって、子どもたちの職業の在り方が様変わりしていること、こうした「変化を乗り越え、伝統や文化に立脚し、高い志や意欲を持つ自立した人間」が求められるとの認識です。こうした認識に立って、教育課程について「新たな在り方を構築していく」とし、(1)これからの時代に必要な「資質・能力」、それらを育むための指導方法や評価の在り方、(2)育成すべき「資質・能力」を育むための教科・科目等の目標や内容の見直し、(3)そうした学習指導要領の理念を実現するためのカリキュラムマネジメントや指導方法や評価方法の「改善を支援する方策」などについての審議を求めています。
とりわけ、育成すべき「資質・能力」にかかわって「特に」検討する事項のなかで、英語教育と高校における教育課程について踏み込んだものとなっています。
英語教育については、「外国語で躊躇せず意見を述べ他者と交流していく」として、小学校の中学年から英語活動、高学年で教科とすること、中学校で授業を英語で行うこと、高校で「発表・討論・交渉などを行う能力を高める」ことなど、学校段階での目標を例示しています。
高校教育については、「国民投票の投票権年齢が満18歳以上となる」などを踏まえて、「国家及び社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や、主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を実践的に身に付けるための新たな科目等の在り方」、「日本史の必修化の扱い」、「総合的な学習の時間」の「改善」などを例示しています。
こうした一方で、日本の子どもたちの「自己肯定観や学習意欲、社会参画の意識等が国際的に見て低い」ことを課題としていますが、国連子どもの権利委員会からの再三にわたる勧告で指摘されている「高度に競争主義的な教育環境」の問題には一言も触れていません。また、PISA 調査をめぐって世界中の教育学者から指摘されている「学力テスト」の在り方やその問題点にかかわる懸念も一顧だにしないものです。
このように、今回の諮問は、教育の目的を人格の完成や平和で民主的な社会の形成者におくのではなく、財界や時の為政者が考える人材育成を求めるものとなっており、憲法にも教育の条理にも反するもので、諮問の内容そのものが問題です。
また、指導方法や評価の在り方、その方法まで踏み込んでの答申を求めていることは、学習指導要領によって教育内容のみならず、教育活動全体を統制しようとするものとなっており問題です。全国一斉学力テストによって、指導方法や指導内容の画一化や押しつけが強まっていますが、そうした実態を学校教育全体に押し広げ、教育への国家統制を強化しようとするものです。
そのことは、諮問の標題そのものが「初等中等教育における教育課程の基準等」となっていることにも表れています。これまで学習指導要領は、戦後「試案」とついていたものを1950年代後半に官報告示によって「法的拘束力がある」と改悪されたものの「大綱的基準」とされ、子どもたちの実態に合わせて学校で教育課程を編成するものとし、教材の選択や指導方法については現場の裁量が幅広く認められてきました。戦後、自民党政権の下で、こうした裁量の幅を狭め、国や行政による統制を強化してきましたが、前回の改訂においても「基準性」として、「大綱的基準」とする見地を堅持していました。
しかし、今回の諮問では明確に基準としてその拘束力を強化しようとするもので、重大な問題です。
旭川学テ訴訟の最高裁判決は、教育は「専ら子どもの利益のために行われるべきもの」であり、教育内容に対する「国家的介入についてはできるだけ抑制的であること」とし、国の行政権力が教育内容や方法をすべて決定し、現場に押しつけることを否定しています。また、現憲法下では教育に関して地方自治の原則が採用されているとし、「(地教委の)権限にたいする国の行政機関である文部大臣の介入、監督の権限に一定の制約が存する」ことにも言及しています。今回の諮問は、この最高裁の判決にも背くものです。
今後、文科省は2020年度からの小学校での全面実施を想定し、2018年度内の答申と学習指導要領の改訂をめざして、中教審での審議をすすめる構えです。
全教は、中教審での議論を注視するとともに、今回の諮問とそれにもとづく学習指導要領の改訂の問題点を明らかにし、学校現場において憲法と子どもの権利条約、教育の条理に裏打ちされた子どもたちの実態から出発する教育課程編成が尊重されるよう奮闘するものです。そのため、全国の学校現場で子どもの実態からはじまる教育課程づくりを参加と共同の学校づくりに位置づけ、とりくみを強化することをよびかけるものです。
以上
初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
26文科初第852号
平成26年11月20日
中央教育審議会
次に掲げる事項について,別添理由を添えて諮問します。
初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について
文部科学大臣 下村博文
(理由)
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は,厳しい挑戦の時代を迎えていると予想されます。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく変化し,子供たちが就くことになる職業の在り方についても,現在とは様変わりすることになるだろうと指摘されています。また,成熟社会を迎えた我が国が,個人と社会の豊かさを追求していくためには,一人一人の多様性を原動力とし,新たな価値を生み出していくことが必要となります。
我が国の将来を担う子供たちには,こうした変化を乗り越え,伝統や文化に立脚し,高い志や意欲を持つ自立した人間として,他者と協働しながら価値の創造に挑み,未来を切り開いていく力を身に付けることが求められます。
そのためには,教育の在り方も一層の進化を遂げなければなりません。個々人の潜在的な力を最大限に引き出すことにより,一人一人が互いを認め合い,尊重し合いながら自己実現を図り,幸福な人生を送れるようにするとともに,より良い社会を築いていくことができるよう,初等中等教育における教育課程についても新たな在り方を構築していくことが必要です。
幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の教育課程の基準となる学習指導要領等については,これまでも,時代の変化や子供たちの実態,社会の要請等を踏まえ,数次にわたり改訂されてきました。平成二十年及び平成二十一年に行われた前回の改訂では,教育基本法の改正により明確になった教育の理念を踏まえ,子供たちの「生きる力」の育成をより一層重視する観点から見直しが行われました。特に学力については,学校教育法第三十条第二項に示された「基礎的な知識及び技能」,「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力」及び「主体的に学習に取り組む態度」の,いわゆる学力の三要素から構成される「確かな学力」をバランス良く育てることを目指し,教育目標や内容が見直されるとともに,学級やグループで話し合い発表し合うなどの言語活動や,各教科等における探究的な学習活動等を重視することとされたところです。
これを踏まえて各学校では真摯な取組が重ねられており,その成果の一端は,近年改善傾向にある国内外の学力調査の結果にも表れていると考えられます。
その一方で,我が国の子供たちについては,判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることについて課題が指摘されることや,自己肯定感や学習意欲,社会参画の意識等が国際的に見て低いことなど,子供の自信を育み能力を引き出すことは必ずしも十分にできておらず,教育基本法の理念が十分に実現しているとは言い難い状況です。また,成熟社会において新たな価値を創造していくためには,一人一人が互いの異なる背景を尊重し,それぞれが多様な経験を重ねながら,様々な得意分野の能力を伸ばしていくことが,これまで以上に強く求められます。
こうした状況も踏まえながら,今後,一人一人の可能性をより一層伸ばし,新しい時代を生きる上で必要な資質・能力を確実に育んでいくことを目指し,未来に向けて学習指導要領等の改善を図る必要があります。
新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関連して,これまでも,例えば,OECDが提唱するキー・コンピテンシーの育成に関する取組や,論理的思考力や表現力,探究心等を備えた人間育成を目指す国際バカロレアのカリキュラム,ユネスコが提唱する持続可能な開発のための教育(ESD)などの取組が実施されています。さらに,未曾有(みぞう)の大災害となった東日本大震災における困難を克服する中で,様々な現実的課題と関わりながら,被災地の復興と安全で安心な地域づくりを図るとともに,日本の未来を考えていこうとする新しい教育の取組も芽生えています。
これらの取組に共通しているのは,ある事柄に関する知識の伝達だけに偏らず,学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行い,子供たちがそうした教育のプロセスを通じて,基礎的な知識・技能を習得するとともに,実社会や実生活の中でそれらを活用しながら,自ら課題を発見し,その解決に向けて主体的・協働的に探究し,学びの成果等を表現し,更に実践に生かしていけるようにすることが重要であるという視点です。
そのために必要な力を子供たちに育むためには,「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています。
また,こうした学習・指導方法の改革と併せて,学びの成果として「どのような力が身に付いたか」に関する学習評価の在り方についても,同様の視点から改善を図る必要があると考えられます。
以上のような問題意識の下,今般,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の在り方について諮問を行うものであります。
具体的には,以下の点を中心に御審議をお願いいたします。
第一に,教育目標・内容と学習・指導方法,学習評価の在り方を一体として捉えた,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方についてであります。
これからの学習指導要領等については,必要な教育内容を系統的に示すのみならず,育成すべき資質・能力を子供たちに確実に育む観点から,そのために必要な学習・指導方法や,学習の成果を検証し指導改善を図るための学習評価を充実させていく観点が必要であると考えられます。このように,教育内容,学習・指導方法と学習評価の充実を一体的に進めていくために求められる学習指導要領等の在り方について,御検討をお願いします。
その際,特に以下のような視点から,御検討をお願いします。
○ これからの時代を,自立した人間として多様な他者と協働しながら創造的に生きていくために必要な資質・能力をどのように捉えるか。その際,我が国の子供たちにとって今後特に重要と考えられる,何事にも主体的に取り組もうとする意欲や多様性を尊重する態度,他者と協働するためのリーダーシップやチームワーク,コミュニケーションの能力,さらには,豊かな感性や優しさ,思いやりなどの豊かな人間性の育成との関係をどのように考えるか。また,それらの育成すべき資質・能力と,各教科等の役割や相互の関係はどのように構造化されるべきか。
○ 育成すべき資質・能力を確実に育むための学習・指導方法はどうあるべきか。その際,特に,現行学習指導要領で示されている言語活動や探究的な学習活動,社会とのつながりをより意識した体験的な活動等の成果や,ICTを活用した指導の現状等を踏まえつつ,今後の「アクティブ・ラーニング」の具体的な在り方についてどのように考えるか。また,そうした学びを充実させていくため,学習指導要領等において学習・指導方法をどのように教育内容と関連付けて示していくべきか。
○ 育成すべき資質・能力を子供たちに確実に育む観点から,学習評価の在り方についてどのような改善が必要か。その際,特に,「アクティブ・ラーニング」等のプロセスを通じて表れる子供たちの学習成果をどのような方法で把握し,評価していくことができるか。
第二に,育成すべき資質・能力を踏まえた,新たな教科・科目等の在り方や,既存の教科・科目等の目標・内容の見直しについてであります。中でも特に以下の事項について,御検討をお願いします。
○ グローバル化する社会の中で,言語や文化が異なる人々と主体的に協働していくことができるよう,外国語で躊躇(ちゅうちょ)せず意見を述べ他者と交流していくために必要な力や,我が国の伝統文化に関する深い理解,他文化への理解等をどのように育んでいくべきか。
特に,国際共通語である英語の能力について,文部科学省が設置した「英語教育の在り方に関する有識者会議」の報告書においてまとめられた提言も踏まえつつ,例えば以下のような点についてどのように考えるべきか。
・小学校から高等学校までを通じて達成を目指すべき教育目標を,「英語を使って何ができるようになるか」という観点から,四技能に係る一貫した具体的な指標の形式で示すこと
・小学校では,中学年から外国語活動を開始し音声に慣れ親しませるとともに,高学年では,学習の系統性を持たせる観点から教科として行い,身近で簡単なことについて互いの考えや気持ちを伝え合う能力を養うこと
・中学校では,授業は英語で行うことを基本とし,身近な話題について互いの考えや気持ちを伝え合う能力を高めること
・高等学校では,幅広い話題について発表・討論・交渉などを行う能力を高めること
○ 高等学校教育について,中央教育審議会における高大接続改革に関する議論や,これまでの関連する答申等も踏まえつつ,例えば以下のような課題についてどのように改善を図るべきか。
・今後,国民投票の投票権年齢が満18歳以上となることや,選挙権年齢についても同様の引下げが検討されるなど,満18歳をもって「大人」として扱おうとする議論がなされていることも踏まえ,国家及び社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や,主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を,実践的に身に付けるための新たな科目等の在り方
・日本史の必修化の扱いなど地理歴史科の見直しの在り方
・より高度な思考力・判断力・表現力等を育成するための新たな教科・科目の在り方
・より探究的な学習活動を重視する視点からの「総合的な学習の時間」の改善の在り方
・社会的要請を踏まえた専門学科のカリキュラムの在り方など,職業教育の充実の在り方
・義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための教科・科目等の在り方
○ 子供の発達の早期化をめぐる現象や指摘及び幼児教育の特性等を踏まえ,幼児教育と小学校教育をより円滑に接続させていくためには,どのような見直しが必要か。
○ 子供の体力等の現状を踏まえつつ,2020年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会開催を契機に,子供たちの運動・スポーツに対する関心や意欲の向上を図るとともに,体育・健康に関する指導を充実させ,運動する習慣を身に付け,健康を増進し,豊かな生活を送るための基礎を培うためには,どのような見直しが必要か。
○ 障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ,全ての学校において,発達障害を含めた障害のある子供たちに対する特別支援教育を着実に進めていくためには,どのような見直しが必要か。
その際,特別支援学校については,小・中・高等学校等に準じた改善を図るとともに,自立と社会参加を一層推進する観点から,自立活動の充実や知的障害のある児童生徒のための各教科の改善などについて,どのように考えるべきか。
○ 社会の要請等を踏まえ,教科等を横断した幅広い視点からの取組が求められる様々な分野の教育の充実のための方策について,関係する会議等におけるこれまでの議論の状況等を踏まえつつ,どのように考えるべきか。
○ 各教科等の教育目標や内容を,初等中等教育を通じて一貫した観点からより効果的に示すためにどのような方策が考えられるか。また,学年間や学校種間の教育課程の接続の改善を図ることについて,現在中央教育審議会で御議論いただいている小中一貫教育に関する検討状況も踏まえつつ,どのように考えるべきか。
第三に,学習指導要領等の理念を実現するための,各学校におけるカリキュラム・マネジメントや,学習・指導方法及び評価方法の改善を支援する方策についてであります。特に以下のような視点から,御検討をお願いします。
○ 学習指導要領等に基づき,各学校において育成すべき資質・能力を踏まえた教育課程を編成していく上で,どのような取組が求められるか。また,各学校における教育課程の編成,実施,評価,改善の一連のカリキュラム・マネジメントを普及させていくためには,どのような支援が必要か。
○ 「アクティブ・ラーニング」などの新たな学習・指導方法や,このような新しい学びに対応した教材や評価手法の今後の在り方についてどのように考えるか。また,そうした教材や評価手法の更なる開発や普及を図るために,どのような支援が必要か。
以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが,審議に当たっては,学校と家庭や地域の連携強化の在り方など学習指導要領等の改善に関連する事項にも御留意の上,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の在り方に関し,必要な事項について御検討をお願いします。
小学校で 英語? 10/4学習会案内 [学習指導要領]
10月4日(日)13時受付、13時30分開始
静岡労政会館5階
講演 瀧口 優さん
白梅学園短期大学教授、新英語教育研究会副会長
著書 『特区に見る小学校英語』『小学校英語の手引き』ほか
会費 300円
小学校の現場からの報告もあります
主催 憲法に根ざした教育をつくる静岡県連絡会
是非来て! 学びあいましょう!
静岡労政会館5階
講演 瀧口 優さん
白梅学園短期大学教授、新英語教育研究会副会長
著書 『特区に見る小学校英語』『小学校英語の手引き』ほか
会費 300円
小学校の現場からの報告もあります
主催 憲法に根ざした教育をつくる静岡県連絡会
是非来て! 学びあいましょう!
2月の案を1カ月間の密室でさらに改悪!学習指導要領 告示 [学習指導要領]
【全教談話】2008/03/28
『学習指導要領の官報告示について』
2008年 2月28日 全日本教職員組合 教文局長 山口 隆
文部科学省は3月28日、小中学校の改訂学習指導要領(以下、新学習指導要領)を官報告示しました。
この新学習指導要領は、マスコミからも、「異例の修正」(3月28日付「朝日新聞」)と報道されているように、2月15日に示された案の段階から、より踏み込んだ改悪を行っており、重大な問題を持つものです。
第1は、
より露骨な改悪教育基本法の具体化として「愛国心」押しつけをはじめ、国家主義的で復古的な内容を盛り込んでいることです。
新学習指導要領は、小中学校ともに、総則1の2において、案の段階では「伝統と文化を継承し」としていたものを「伝統と文化を尊重し」とし、その後に、案にはなかった「それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し」という文言を挿入しています。これは、明確に「愛国心」押しつけを意味するものであり、子どもたちの内心の自由を蹂躙するものといわなければなりません。
このことは教科の内容にも反映しています。たとえば小学校1・2年生の国語では、案では「昔話や伝説」とされていたものを「昔話や神話・伝承」として「神話」を新たに盛り込みました。また、音楽の「指導計画の内容と取扱い」では「君が代」について、案では「いずれの学年においても指導すること」としていたものを「歌えるよう指導すること」とし、無理やり歌わせようとしています。
第2は、
時の政府の政策に教育を従属させようとするものです。
中学校社会科では、案では、「我が国の安全と防衛の問題について考えさせる」としていたものを「我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせる」としています。この文脈での「国際貢献」という言葉は、自衛隊の海外活動を意味するものであり、きわめて政治的であり、重大です。
しかも、新学習指導要領は、総則1の1で「これらに掲げる目標を達成するよう教育を行う」という文言を挿入し、学校に対し、目標の達成を義務づけています。このことは、子どもたちに無理やり「愛国心」を持て「君が代」を歌え、自衛隊の海外派兵について考えよ、という指導とその結果の点検を意味し、憲法と教育の条理にそむく、きわめて反教育的なものといわなければなりません。
第3は、
子どもたちへのいっそうの学習負担を明記したことです。
新学習指導要領は、総則3の1で、案の段階では「学期の内外を問わず…授業を特定の期間に行うことができる」としていたものを、「夏季、冬季、学年末等の休業日の期間」と明記しました。つまり、夏休み、冬休み、春休みを短縮して授業を行えといっているのです。
案の段階でも私たちは、小学校1年生に毎日5時間授業など、子どもたちへの学習負担を強いるもの、と批判してきましたが、新学習指導要領は、そのことを反省するどころか、長期休業まで短縮して、子どもたちを勉強に追いたてるという大きな学習負担を強いるものです。
以上の重大な問題とともに、手続き的にも大問題を持っています。
文部科学省は、2月15日の案の提示の段階から、1カ月間のパブリックコメントを行ってきました。ところが、そのパブリックコメントの結果については、まったく明らかにしないまま、上記のような重大な変更を行ったのです。新聞報道では、寄せられたパブリックコメントは、5679件とされており、教職員をはじめ多くの国民の関心が寄せられたことが示されています。しかし、本日時点でも、まだその結果は公表されておらず、案からの変更は、まったくの密室で行われたとしか考えられません。
こうした改悪修正の背景には、政治的な圧力があったとしか考えられません。
改訂案には「日本会議国会議員懇談会の所属議員からの強い不満が上がっていた。」(3月28日付「朝日新聞」)と報道されており、結局、新学習指導要領は、文部科学省がこうした「靖国」派の圧力に屈した結果といわなければなりません。教育を政治の力でゆがめるなど、断じてあってはなりません。
政治介入に屈してつくられた学習指導要領など、断じて認めることはできません。
私たちは、文部科学省に対し、新学習指導要領を白紙撤回することを強く求めるものです。
『学習指導要領の官報告示について』
2008年 2月28日 全日本教職員組合 教文局長 山口 隆
文部科学省は3月28日、小中学校の改訂学習指導要領(以下、新学習指導要領)を官報告示しました。
この新学習指導要領は、マスコミからも、「異例の修正」(3月28日付「朝日新聞」)と報道されているように、2月15日に示された案の段階から、より踏み込んだ改悪を行っており、重大な問題を持つものです。
第1は、
より露骨な改悪教育基本法の具体化として「愛国心」押しつけをはじめ、国家主義的で復古的な内容を盛り込んでいることです。
新学習指導要領は、小中学校ともに、総則1の2において、案の段階では「伝統と文化を継承し」としていたものを「伝統と文化を尊重し」とし、その後に、案にはなかった「それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し」という文言を挿入しています。これは、明確に「愛国心」押しつけを意味するものであり、子どもたちの内心の自由を蹂躙するものといわなければなりません。
このことは教科の内容にも反映しています。たとえば小学校1・2年生の国語では、案では「昔話や伝説」とされていたものを「昔話や神話・伝承」として「神話」を新たに盛り込みました。また、音楽の「指導計画の内容と取扱い」では「君が代」について、案では「いずれの学年においても指導すること」としていたものを「歌えるよう指導すること」とし、無理やり歌わせようとしています。
第2は、
時の政府の政策に教育を従属させようとするものです。
中学校社会科では、案では、「我が国の安全と防衛の問題について考えさせる」としていたものを「我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせる」としています。この文脈での「国際貢献」という言葉は、自衛隊の海外活動を意味するものであり、きわめて政治的であり、重大です。
しかも、新学習指導要領は、総則1の1で「これらに掲げる目標を達成するよう教育を行う」という文言を挿入し、学校に対し、目標の達成を義務づけています。このことは、子どもたちに無理やり「愛国心」を持て「君が代」を歌え、自衛隊の海外派兵について考えよ、という指導とその結果の点検を意味し、憲法と教育の条理にそむく、きわめて反教育的なものといわなければなりません。
第3は、
子どもたちへのいっそうの学習負担を明記したことです。
新学習指導要領は、総則3の1で、案の段階では「学期の内外を問わず…授業を特定の期間に行うことができる」としていたものを、「夏季、冬季、学年末等の休業日の期間」と明記しました。つまり、夏休み、冬休み、春休みを短縮して授業を行えといっているのです。
案の段階でも私たちは、小学校1年生に毎日5時間授業など、子どもたちへの学習負担を強いるもの、と批判してきましたが、新学習指導要領は、そのことを反省するどころか、長期休業まで短縮して、子どもたちを勉強に追いたてるという大きな学習負担を強いるものです。
以上の重大な問題とともに、手続き的にも大問題を持っています。
文部科学省は、2月15日の案の提示の段階から、1カ月間のパブリックコメントを行ってきました。ところが、そのパブリックコメントの結果については、まったく明らかにしないまま、上記のような重大な変更を行ったのです。新聞報道では、寄せられたパブリックコメントは、5679件とされており、教職員をはじめ多くの国民の関心が寄せられたことが示されています。しかし、本日時点でも、まだその結果は公表されておらず、案からの変更は、まったくの密室で行われたとしか考えられません。
こうした改悪修正の背景には、政治的な圧力があったとしか考えられません。
改訂案には「日本会議国会議員懇談会の所属議員からの強い不満が上がっていた。」(3月28日付「朝日新聞」)と報道されており、結局、新学習指導要領は、文部科学省がこうした「靖国」派の圧力に屈した結果といわなければなりません。教育を政治の力でゆがめるなど、断じてあってはなりません。
政治介入に屈してつくられた学習指導要領など、断じて認めることはできません。
私たちは、文部科学省に対し、新学習指導要領を白紙撤回することを強く求めるものです。
しつこいですが、学習指導要領案のパブリックコメントを送って!再々 [学習指導要領]
締切まであと1日!
パブリックコメントに送った、とりあえずの例を紹介します。
下記の「件名」~「意見」までを「コピー」してから、
下のアドレスをクリックし、
そこに「貼り付け」てから、
必要なところを加除して送ってください。送った文をこちらにも教えてください。
To: mailto:kyokyo@mext.go.jp
Subject: 小学校学習指導要領について
注:他に、下記の「件名」があります。
「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案について」、
「幼稚園教育要領案について」、
「中学校学習指導要領案ついて」
のいずれかを明記して下さい。←と、文科省の「意見公募要領」にあります。
※ 複数の論点について御意見をお寄せいただく場合には、とりまとめの都合上、論点毎に別にお送り下さい。
(1メール1意見、1枚1意見としてください。)←これも文科省の「意見公募要領」から。
件名:「小学校学習指導要領案について」←上記参照
・氏名 □□□□
・性別 ○
・年齢 ○○才
・職業 □□
・住所
・電話番号 054-2**-****
・意見 授業時数増、外国語(英語)導入などは、学校の実態や子どもたちの成長に反しています。
1 実際の学校では、現行「標準時数」を超えて実施しています。さらに増やすとなれば、発表数字以上に増えることになります。
2 子どもの生活にとって大事な遊びの時間、友だちとふれ合う時間が、今でも足りないのに、ますます不足してきます。
3 時数増や外国語導入には、相当の準備が要ります。それに対応する施策が提起されていません。
・ 業務量の増に伴う正規教員の確保がされていません。これは労基法にもかかわる重要な問題です。
・ 時数増、外国語導入による根拠とメリットが示されていません。例えばフィンランドは日本より授業時数が少ないことが
知られています。英語導入については、鳥飼久美子さんをはじめ多くの専門家が反対または慎重論を唱えています。
・ 英語以前に、日本の学校の教室は、視聴覚等の施設・備品が整備されていません。今でも教える環境に苦慮している
のが実態です。英語導入には人材はもちろんですが、施設備品の整備は不可欠です。
内容以前に、今回の学習指導要領(案)は、実態を十分把握していない弱点が多くあります。
よって、今回の案に反対します。そして学校現場の要求や実態を十分把握されるよう要求します。
〈以下は、参考に〉
□ 改悪教育基本法を受けて、「伝統と文化云々」に関する「愛国心教育」の強化。
□ 「道徳教育」を全教科で実施、「道徳教育推進教師」配置
□ 総授業時間数を小学校で低学年週2時間、4年以上1時間増
中学校3年間で165時間増
□ 小学校高学年で外国語(英語)を週1回程度導入
□ 学習方法、学習指導方法の統制
□ 旧来の学習指導要領の反省なく、現場の意見を聞かず、でも責任は現場へ。
□ しかも授業に当たる正規の教員は増やすことなく、負担だけを増やす
…こんな学習指導要領を、3月末には告示しようとしています。
…少しでも、子どもたちに生きるものにするために、
…せめて、批判がいっぱいあったこと、問題点は多く指摘されていたことを残すためにも!
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?OBJCD=100185
↑
尚、文科省は「教育職員免許更新」に関しても、3/21締切でパブリックコメントを行っています。こちらも是非お願いします。
パブリックコメントに送った、とりあえずの例を紹介します。
下記の「件名」~「意見」までを「コピー」してから、
下のアドレスをクリックし、
そこに「貼り付け」てから、
必要なところを加除して送ってください。送った文をこちらにも教えてください。
To: mailto:kyokyo@mext.go.jp
Subject: 小学校学習指導要領について
注:他に、下記の「件名」があります。
「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案について」、
「幼稚園教育要領案について」、
「中学校学習指導要領案ついて」
のいずれかを明記して下さい。←と、文科省の「意見公募要領」にあります。
※ 複数の論点について御意見をお寄せいただく場合には、とりまとめの都合上、論点毎に別にお送り下さい。
(1メール1意見、1枚1意見としてください。)←これも文科省の「意見公募要領」から。
件名:「小学校学習指導要領案について」←上記参照
・氏名 □□□□
・性別 ○
・年齢 ○○才
・職業 □□
・住所
・電話番号 054-2**-****
・意見 授業時数増、外国語(英語)導入などは、学校の実態や子どもたちの成長に反しています。
1 実際の学校では、現行「標準時数」を超えて実施しています。さらに増やすとなれば、発表数字以上に増えることになります。
2 子どもの生活にとって大事な遊びの時間、友だちとふれ合う時間が、今でも足りないのに、ますます不足してきます。
3 時数増や外国語導入には、相当の準備が要ります。それに対応する施策が提起されていません。
・ 業務量の増に伴う正規教員の確保がされていません。これは労基法にもかかわる重要な問題です。
・ 時数増、外国語導入による根拠とメリットが示されていません。例えばフィンランドは日本より授業時数が少ないことが
知られています。英語導入については、鳥飼久美子さんをはじめ多くの専門家が反対または慎重論を唱えています。
・ 英語以前に、日本の学校の教室は、視聴覚等の施設・備品が整備されていません。今でも教える環境に苦慮している
のが実態です。英語導入には人材はもちろんですが、施設備品の整備は不可欠です。
内容以前に、今回の学習指導要領(案)は、実態を十分把握していない弱点が多くあります。
よって、今回の案に反対します。そして学校現場の要求や実態を十分把握されるよう要求します。
〈以下は、参考に〉
□ 改悪教育基本法を受けて、「伝統と文化云々」に関する「愛国心教育」の強化。
□ 「道徳教育」を全教科で実施、「道徳教育推進教師」配置
□ 総授業時間数を小学校で低学年週2時間、4年以上1時間増
中学校3年間で165時間増
□ 小学校高学年で外国語(英語)を週1回程度導入
□ 学習方法、学習指導方法の統制
□ 旧来の学習指導要領の反省なく、現場の意見を聞かず、でも責任は現場へ。
□ しかも授業に当たる正規の教員は増やすことなく、負担だけを増やす
…こんな学習指導要領を、3月末には告示しようとしています。
…少しでも、子どもたちに生きるものにするために、
…せめて、批判がいっぱいあったこと、問題点は多く指摘されていたことを残すためにも!
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?OBJCD=100185
↑
尚、文科省は「教育職員免許更新」に関しても、3/21締切でパブリックコメントを行っています。こちらも是非お願いします。
再・文科省にパブリックコメントを!3/16締切だよ [学習指導要領]
改訂学習指導要領(案)についてのパブリックコメントが実施されています。
□ 改悪教育基本法を受けて、「伝統と文化云々」に関する教育の強化。
□ 「道徳教育」を全教科で実施、「道徳教育推進教師」配置
□ 総授業時間数を小学校で低学年週2時間、4年以上1時間増
中学校3年間で165時間増
□ 小学校高学年で外国語(英語)を週1回程度導入
□ 旧来の学習指導要領の反省なく、現場の意見を聞かず、でも責任は現場へ。
□ しかも授業に当たる正規の教員は増やすことなく、負担だけを増やす
…こんな学習指導要領を、3月末には告示しようとしています。
…少しでも、子どもたちに生きるものにするために、
…せめて、批判がいっぱいあったこと、問題点は多く指摘されていたことを残すためにも、
パブリックコメントに、意見を出しましょう! 締切は3/16です。
パブリックコメントは下記へ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000297&OBJCD=100185&GROUP=
このブログに全教声明が載っています。参考にしてください。
送った内容を、コメントまたはメールで転送してください。
□ 改悪教育基本法を受けて、「伝統と文化云々」に関する教育の強化。
□ 「道徳教育」を全教科で実施、「道徳教育推進教師」配置
□ 総授業時間数を小学校で低学年週2時間、4年以上1時間増
中学校3年間で165時間増
□ 小学校高学年で外国語(英語)を週1回程度導入
□ 旧来の学習指導要領の反省なく、現場の意見を聞かず、でも責任は現場へ。
□ しかも授業に当たる正規の教員は増やすことなく、負担だけを増やす
…こんな学習指導要領を、3月末には告示しようとしています。
…少しでも、子どもたちに生きるものにするために、
…せめて、批判がいっぱいあったこと、問題点は多く指摘されていたことを残すためにも、
パブリックコメントに、意見を出しましょう! 締切は3/16です。
パブリックコメントは下記へ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000297&OBJCD=100185&GROUP=
このブログに全教声明が載っています。参考にしてください。
送った内容を、コメントまたはメールで転送してください。