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静岡市教職員評価制度検討委員会での市教組の意見発表 [教職員評価の問題]

07年1/30、なんと午前9時から、第5回静岡市教職員評価制度検討委員会が開催されました。

今回は、関係諸団体の意見聴取というものです。10団体は、発表順に市校長会、市教頭会、園長会、県教組静岡支部、同清庵支部、静岡市教組、がくろう静岡、市立高教組、清商教組、市労連幼稚園支部です。前五者の話は公の場で初めて聞くことができました。「給与への連動」に反対もしくは慎重に、ということで一致点が確認できました。後四者は現場の様子が生々しく語られて、こんなに現場が苦労しているのに、「教職員評価制度」に力を入れている暇はないんじゃないの!と感じられるものでした。
 市教組の発言骨子を紹介します。10分という短い時間で、最後ははしょっちゃいました。
 詳細は後日…

□静岡市教職員評価制度に対する意見
2007年1月30日 静岡市教職員組合書記長 富田倫弘
◆「教職員評価制度」は、導入すべきではない
(1)「自己目標管理シート」導入の際の不信感
 ・ 05年3/18の校長会で市教委が指示。4/1職員会議で校長から職員に指示。
    校長はまともに説明できないでやらせた。
 ・ トップダウンで通そうとする姿勢に不信感。
 ・ それを「はいそうですか」と受け入れる学校現場の「資質」でいいのでようか。
(2)制度導入の「大義」や「現状認識」が説明されていない
・ 「大義」(第4回検討委員会委員の発言)が説明されていない
  「教職員評価制度」導入が「資質向上」「学校活性化」にどうつながるのか
 ・ 「やれ」と言ったらやる教職員の「資質」を求めているのか
 ・ 「ほとんどの教職員はまじめにやっていると思っている。」(第4回で市教育長)
     では、何が足りないと考えているのか?
(3)「教職員を育てるシステムが」「機能しにくくなっている」と言うのなら
   以前から行ってきたことを、どう「評価」しているのか?
     ~学校ではこんなにやってきている。
 ・ 「学校経営案」「学年・学級経営案」「教科・教科外・分掌ごとの取り組み方針や行事計画」、  「研修方針」などを検討。
 ・ 職員会議、学年部会、毎月の生徒指導・生活指導部会や研修部会、「行事ごとの反省」
 ・ 年1回全員の公開研究授業、指導主事訪問と授業公開(研修部、学年部の関わり)
 ・ 参観会と懇談会、面接、教育相談、通知票や所見    
 ・ 保護者や子どもへのアンケート
 ・ 地域公開参観日         等々
(4)地公法(勤務成績の評定)が今回の制度導入の根拠にはなり得ない
 ・ 地方公務員法「第40条  任命権者は、職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置を講じなければならない。」とあるから今回の教職員評価制度導入の根拠となるとは、とうてい読み取れない。
(5)検討委員会について
 ・ 教員代表、保護者代表などが委員に入ったことを評価。
   しかし…
 ・ 静岡県教委 教員人事管理システム研究協力者会議は3年前立ち上がって05年7月に『最終報告』。その後、06年度一部試行。06年2月、7月、12月に職員団体に説明会。「交渉」2回行われている。
 ・ 長野県では代表に教組が入り、2年間23回行い、「ランク付けしない」、「給料にも反映しない」という結論で「最終報告」
 ・ これらに比べても、静岡市の場合  6回、短期間で結論を出すのは、拙速。
(6)はじめから結論ありきの懸念が払拭されない 給与への連動、新職制、人事活用
 ① 文科省の委嘱事業であること
・ 文科省の『学校の組織運営に関する調査研究実施要綱』によれば、その委嘱内容について「(2)新たな職制の整備も含めた教員評価の在り方 ・ 教員評価の結果を給与等の処遇に反映させるなど、新しい教員評価システムの一層の改善 ・高い指導力のある優れた教師を位置づけるものとして、スーパーティーチャーなどのような新しい職の設置等」とある。
 ② 静岡県教委の場合
 ・ 「人事異動や管理職選考の資料の一つ」「新しい職制の創設」
 ・ 「将来的には評価を給与に反映させていく方向で研究」
 ③ 東京都の例
 ・ 00年人事考課制度(事務職には86年から)を「資質能力の向上」「学校組織の活性化」等を目的に導入。06年本格的に賃金に反映する昇給制度へ。
④ 「総賃金抑制」「目標管理の手法」
  「働いただけ報われる」のではなく、総賃金が抑制される中で、「誰かが上がれば、その分誰かを下げる」やり方
  …はじめからゴールが見えている。危惧している。
(7)先行県の実態を明らかにすべき
 ・ 都高教発表「人事考課制度黒書Ⅲ」05年度の調査(06年8月発表) ・マイナスの影響がある86.5%  ・意欲がわくようになった0.3%。5カ年たって制度的には定着のようすが見られる時期におけるこの結果。さらに学校の活性化に役立っているは0人(母集団2000人) 
(8)県教委の試行校の実態を明らかにすべき
 ・ 本年度本校で行われている「教職員評価」について 反対66.7%(高教組調査)
 ・ 「評価制度が十分に理解された上で行われたものではなかった。」「教職員はやる気になってはいなかった。」
   …いい声は上がってきていない。
(9)民間の「成果主義」「評価制度」の実態を明らかにすべき
 ・ 社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所のアンケート調査「心の病の増加の背景に成果主義あり:個人の仕事が増加し横のつながりが薄くなったこと」(06年9月)、 
・ 経済産業省の「人材マネジメント研究会」・・・「成果主義に構造欠陥。労働者の意欲低下、職場疲弊」(06年8月)
  …明らかに弊害が生まれている。
 ・ イギリスの公務労働者の例や、アメリカのメリットペイなども調査すべき。
(10)世界的に、「評価制度」で成功した例はあるのか。教育論的にはどうか
 ・ 佐藤学氏は「ほとんどない」と言っている。
(11)教職員は「教育に専念できる」環境には置かれていない
…やるべきことは、ここの解決から
・ 文科省「教員勤務実態調査」7・8月分超過勤務約80時間
 ・ 静岡県教委・静岡市教委「勤務状況調査」2時間後残業40~60%、休憩時間が取れない80数%、
 ・ 労働科学研究所「学校も先生も、今のままで大丈夫?」
 ・ 国立教育政策研究所「学校・学級経営の実態に関する調査」 「学校で仕事をする時間9時間42分、自宅持ち帰り仕事時間1時間17分」
・ 05年度全国公立小中高など病気休職者7017人。そのうち4178人は精神疾患による休職、59.5%。文科省発表。10年間で3倍以上に。
 ・ 労働安全衛生法改正法附帯決議「(略)学校教育の現場においても労働安全衛生の必要性について指導の徹底を図ること」これは、労安体制が学校現場で非常に遅れていることへの警鐘として出されたもの
 ・ とにかく忙しい教頭、教務主任。目の前には書類の山。
(12)トップダウンが横行の教育現場
 ・ 東大基礎学力研究開発センター調査
    「教育改革が早すぎて現場がついていけない」の問いに、「強く」「そう思う」あわせて84.9%(全国の校長を含む教職員4748人)
    「教員評価」賛成は、46.2%
国立教育政策研究所からも同様の調査が出ている。
 ・ ある中学校長「教育基本法がどう変わったのか、実はこれから勉強」横で教務主任頷く。
 ・ 学習指導要領に基づくことがほとんどの教育内容
     …現場が反対しているのに、下ろしてくる。
    「3割の子がわかればいい」と文部省の役人の発言
    小学校6年間で1006字(3、4年生は、200日余で200字の新出漢字)
    大事だと言っても、5日制で、機械的に3割削減 
(13)教職員の仕事は自主的・創造的・協同的なもの
 ・ かつては「市民権」がなかった教育実践 時には校長が止めさせたことも。
    「学級だより」「百マス計算」「タイル」「教室はまちがうところだ」等々
 ・ 民間教育サークル、休み中の歴史めぐり、メダカとり等々
 ・ 「困った子」は「困っている子」の視点を。今、県教委も取り上げている。
・ 特別支援教育 人も金も来ないのに、特別支援教育コーディネーター、校内委員会、
  個人支援計画…と現場はがんばっている。
・ 老若男女がいり混ざっての教職員集団
 ・ 「一人職」で、がんばる事務職、養護教諭、用務員など。
 ・ 学校司書、支援員、ボランティア
     …大勢が手を結んで学校をつくっている。
(14)教育条件の整備が重要
 ・ 特別支援教育 せっかく培ってきたのに、学級減で先生が減らされる。そうなると、級外が減って、今までやってきた「取り出し授業」等ができなくなる。
 ・ 「欧米では35人学級」と文部省の役人が答弁したのは1958年のこと。
 ・     
(15)日常的にほしい相談(校長との面接など)体制
 ・ 年3回面接するのでさえ、大変。学校行事にいない校長。
 ・ 「困っているときの校長頼み」にしたいのに。「問題起こさないで」
      校長との「面談」はふだんの日常的な教育活動の中で必要。
 ・ 教育はイベントだけではなく、日常的で視野を長~くして見るものだから。
(16)ILO・ユネスコ「共同専門家委員会」(CEART)勧告」
 ・ 「給与決定を目的としたいかなる勤務評定制度も、関係教員団体との事前協議およびその承認なしに採用し、あるいは適用されてはならない。」

(※)「子どもの心の育ちには、雑談が必要です。学校の先生たちには雑談する力がいります」(あるスクールカウンセラー)
  …そんな時間がほしいのです。
                                              以上


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