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12/12 尾崎裁判 最高裁勝利集会 ご参加ください [尾崎裁判]

尾崎裁判・最高裁勝利集会

~引き続き木村裁判を支援しよう~

日 時    2009年12月12日(土)
        13時30分受付 14時00分開会(終了16時30分予定)

会 場  島田市 プラザおおるり 〒427-0042 島田市中央町5-1
      JR島田駅より北へ700m・島田市役所西
       ※交流会参加の方は、電車でお願いします。
内 容  

経過報告
ご遺族から
最高裁判決までの歩みとその意義 
(はままつ共同法律事務所)
発言;全国・県内の労災・公災認定の状況、
職場の実態
   木村裁判とその支援について  ほか

多くの方に呼びかけて、是非ごいっしょにご参加ください。 

尚、集会後交流会を予定しています。17時00分から2時間程度。ご出席できる方は、事前に事務局まで電話でご連絡ください。

尾崎善子先生の公務災害認定を支援する会
   問い合わせ  〒420-0004静岡市葵区末広町1-4 静岡市教組会館内
電話054-271-8438 FAX054-271-1114
shikyoso@quartz.ocn.ne.jp 

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最高裁勝訴で 支援する会が声明 [尾崎裁判]

最高裁でも勝利しました!~尾崎善子先生の公務災害認定を求める裁判

 2009年10月27日、最高裁は尾崎善子さん(静岡県小学校養護学級担任・静岡県教組小笠支部組合員)の公務災害認定を求める(公務外認定取り消し)裁判で、地方公務員災害補償基金(以下 基金)による上告を棄却する決定を行いました。これにより2008年4月24日の尾崎さんの公務外認定を取り消した(公務災害と認めた)東京高裁判決が確定しました。  

多くの皆様のご奮闘、ご支援に感謝

 「善子の死を無駄にはしたくない」「学校現場で同じような犠牲者を出したくない」の思いでたたかってきた尾崎さんの弟の正典さん、お父さん、お母さん、ご親戚の方の願いがやっと報われました。善子さんが亡くなられた直後から、学校へ、教育委員会へ、全教へ、無視されましたが尾崎さんが所属された県教組、同支部へと足を運ばれ、独自にも医療機関にも問い合わせ、うつ病についても学習されるなど、その奮闘ぶりには頭が下がる思いでした。安健センターを通じて静岡市教組にも訪れ、そこから支援する会が立ち上がることにもなりました。最近では高裁判決を多数印刷し、各地、各団体に届ける活動も精力的でした。
 地裁、高裁、そして最高裁と、塩沢弁護士をはじめとしたはままつ共同法律事務所の弁護士のみなさんは、理解しにくい学校現場の実態やうつ病治療等の状況、過去の判例などを丹念に調べ、また基金の準備書面や上告趣意書などを詳細に検討し、常に的確な反論(準備書面)を提出してくださいました。そして、法廷後の集会や事務局会議、対策会議等々で、進展状況のみならず難しい裁判の仕組みから懇切丁寧に私たちに説明していただいたことは、支援する運動の広がりへのエネルギーとなりました。さらに上告された段階からは過労死弁護団も加わっていただき知恵と力を与えてくれました。お忙しい中提出していただいた天笠医師の意見書は大きな力となったと同時に、私たちもうつ病に対する認識を新たにするなど、この裁判への確信を深める重要な契機となりました。
 静岡県働くものの安全と健康を守るセンター(安健センター)や静岡高教組、静岡県評は、基金への申請、審査請求の段階から先頭になって取り組んでいただきました。県内はじめ全国の労災、公災認定のたたかいと連携し、交流を深めることができたことは、運動への大きな励ましとなりました。ほぼ毎月、早朝からの最高裁宣伝・要請行動での全国からの連帯と励ましは、私たちを勇気づけました。
 弟の正典さんが、9年前に全教に相談したこと、これも重要な一歩でした。元全教役員の浦岡さんは、東京から浜松まで対策会議に駆けつけてくださり、意見書提出のみならず重要な証人の役まで引き受けてくださいました。情け容赦ない基金側弁護士とのやり取りの場で、誠実にかつ毅然と答える浦岡さんの姿に、傍聴した私たちが感動しました。
 全教や教組共闘、政令市教組の会合・集会の場などで支援を訴えたところ、県内をはるかにしのぐ団体署名、個人署名が届き、私たちが赤面する思いでした。また、鈴木裁判、大友裁判、荻野裁判、東條裁判など全国のたたかいから、直接間接の助言や激励をいただきました。最近は奈良や広島などからの連帯のメッセージもあり、私たちが身を引き締めたところでした。
 尾崎さんの地元小笠地区の教職員はじめ静岡県内の教職員、全教静岡も、9年におよぶたたかいで奮闘していただきました。ここ静岡で、署名や意見書を書くこともお願いすることも、なかなか困難な中で、運動を続け、広げてくださいました。地裁で14回、高裁は東京へ5回、日中の裁判傍聴は大変でしたが、退職教職員はじめ常に多くの方が駆けつけてくださいました。本当に心より感謝申し上げます。

確定した東京高裁判決の意義

 さて、確定した東京高裁の意義は次の点にあると考えます。

1.事実認定は同じながら基金の主張・静岡地裁判決を真っ向から否定

 2007年3月の静岡地裁判決は、
① 2週間の養護学級体験入学の受け入れは大変ではなかった。
② 4月に特休に入って3カ月半後の自殺は「職場復帰」へのストレスだった。
③ うつ病による自殺は尾崎さん個人の「脆弱性」の問題(平均的な教員なら罹患 しない =平均人基準説)。   
というものでした。つまり基金の主張を鵜呑みにしたものでした。
 しかし東京高裁は、事実認定はほとんど地裁判決と同じながら、全く正反対の観点で判決を出しました。
 基金が上告した主な理由の一つに、「高裁は…公務起因性を判断する事実認定については一審判決と同じなのに、結論が正反対になっている。それにもかかわらず、同じ事実認定を前提としながらも、なぜ結論が異なったのか、その理由を述べていない。明らかに理由不備がある。」としていたのですから、これが退けられたことになります。これは静岡地裁の判決・判断への批判ともなっているのです。

2.質的な業務の過重性(体験入学の過重性)を認める

 長時間残業などの時間的な過重性ではなく、質的な業務の過重性を認めた、恐らく初めての判決です。基金も地裁の判決も、尾崎さんが体験入学中も年休を取っていた、残業も多くなかったなどを公務災害否定の論拠にあげていました。
 ところが東京高裁判決は、異常な2週間の体験入学について「本件体験入学実施により、それまで経験していなかった尋常でない事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、…それまで20年間培ってきた教員としての存立基盤が揺らぎ…精神的に深刻な危機に陥って、気力を使い果たして疲弊、抑うつの状態になった」と、その質的な過重性を認めました。
 そして、「体験入学実施期間中に本件体験入学実施による精神的重圧によりうつ病に罹患し、復職間近になって重症化し、うつ病に基づく自殺企図の発作によって自殺したものとみとめられるのであり、」「本件体験入学の実施の公務としての過重性は優に肯定することができる」としたのです。

3.うつ病は「普通の体の病気」、個人的な「脆弱性」の問題ではない

 また気分障害(うつ病等)について、最近の医学的知見から「特殊な遺伝疾患ではなく普通の体の病気」「もともと周期性の病気」等、長い解説を加えています。
 基金や地裁判決は、尾崎さんの個人的な「脆弱性」をことさらに強調していたのですが、東京高裁判決は、「うつ病になりやすい性格とは、『問題のある性格傾向』という意味ではなく、むしろ、適応力のある誠実な気質と強く関係する」と明快です。
 さらに、「几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実という(うつ病に関係の深い)性格傾向を有していても、柔軟性にやや欠ける者であれば教職員として採用するにふさわしくないとは到底いえない」とし、尾崎さんの場合「20年間に及ぶ教員としての十分な勤務実績を上げたことによって裏付けられている」とも言っています。
 基金の上告理由の中には、「(東京高裁判決は)うつ病に関する医学的知見の認定についても、医学上の事実認定についても根拠を示さず結論を導き出しているのは理由齟齬ないし理由不備である」と言っていました。これが否定されたのですから、働く者にとってのうつ病の罹患(もちろん予防も)について、今後使用者の認識や対応が迫られることになります。

4.公務災害認定が法(地方公務員災害補償法)の趣旨

 基金や地裁は、「弱い人のために」税金を使うわけにはいかないと主張していました。東京高裁判決はその冷たさに対して、憤っているかのように次のように結んでいます。
 「当該公務員が几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実、柔軟性にやや欠けるという うつ病に関係の深い性格傾向を有していたことを理由に、当該公務員を公務災害の対象 としないことが 法の趣旨であるとは、到底理解することができない。」
地方公務員災害補償法の意義を明確に示した判決と言えると思います。

5.平均人基準説は、最高裁判例にないことが示された

 基金の「上告受理申立理由書」では、「公務起因性について、高裁の判決は最高裁の判例に相反している。今までの公務関係の最高裁判決は、公務に過重性が認められなければ、公務起因性がない、公務が単なる誘因に過ぎない場合には、公務起因性を否定、本人基準説は採用していない」とし、高裁の判決は最高裁判決に相反しているので、取り消しを免れない」と述べていました。要するに、高裁の判決は最高裁の判例にないから取り消せ、と言っていたのです。
 尾崎さんの弁護団は、詳細に最高裁判例を調べ、基金の主張を批判してきましたが、基金の上告棄却によって、まさに最高裁が「平均人基準説」を取っていないことが、最高裁によって示されたと言ってもいいのではないでしょうか。


 尾崎裁判のたたかいのはじめには、率直に言って、許せないからたたかうが、裁判で勝つことができるだろうか、という思いがあったのも事実だと思います。尾崎さん所属の組合や学校からの支援もなく、まして基金の壁の厚さははじめから知らされていましたから。その中で、最高裁勝利まで至ることができたのは、冒頭で記した多くのみなさんのねばり強いたたかいがあり、また運動を広げながら学んでいくことができたからだろうと思います。
 静岡地裁の不当判決にはがっかりしました。やっぱりだめか、という思いも正直ありました。ところが、地元小笠の同僚から「えっ、あれで公務災害にならなかったの。」という驚きの声が聞こえてきました。表だっては支援できない人も、共感と関心を持って見ているのだということに確信を得ました。
 この9年間で、全国の教員の精神疾患罹患が急増し減ることがないという事実を見てきました。実際身近な学校職場でも、他人事ではありません。何とかしなくてはという思いは、日に日に増していきます。このことも私たちの背中を押してくれました。
 ただ、画期的な判決が確定したからと言って、その内容を実際に職場で「確定」させるのは、私たちのこれからのたたかいであることも肝に銘じたいと思っています。

 最後に、この勝利のうらには、当初からこのたたかいの先頭に立ち、支援する会の事務局で対策会議、署名運動、ニュース発行、学習会の開催、支援要請等々事実上の中心として活躍し、この4月19日に亡くなられた齋藤達雄前全教静岡執行委員長という大きな存在があったことも付け加えさせてください。

 まじめで、笑顔が素敵だった尾崎善子さんのご冥福を改めて祈りつつ、ご支援への感謝と報告とさせていただきます。

 2009年10月28日
尾崎善子先生の公務災害認定を支援する会
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尾崎裁判 最高裁上告棄却 つまり 勝った! [尾崎裁判]

尾崎裁判は最高裁でも勝利しました。ご支援ありがとうございました。

やりましたね!正典さん(弟さん)、塩沢さん(弁護士さん)

 本日、担当のはままつ共同法律事務所に最高裁第3小法廷の書記官から電話が入り、
「上告棄却」が知らされました。つまり高裁判決が確定し公務災害認定(公務外認定の取り消し)
が認められることとなります。注:決定書は明日にも届くということです。

 9年に及ぶ弟さんをはじめご遺族、弁護団、全教静岡を中心とした県内教職員、安健センター、静岡県評など多くのみなさんのご奮闘が画期的な成果をあげました。
 政令市教組のみなさんには、大友裁判、鈴木裁判、荻野裁判、東條裁判などの教訓をはじめ、本当にいろいろ教えられ学ぶことができました。
 全教・教組共闘から励ましや多くの署名に、どれだけ力づけられたことか。
「支援する会」の仲間のみなさんはじめ多くの方が、手弁当で地裁や東京高裁に傍聴に出かけてくれたこと、忘れることはできません。
 意見書や署名、支援する会のカンパ活動(お茶、芋切り干し)へご協力くださった方、感謝!

言い足りないですが、とりあえず喜びとお礼の報告をします。


 今後、ご遺族へのきちんとした補償をさせることが課題となります。教育委員会や基金
に、要請をしなければならないと思っています。

 また、既に高裁判決を行かせと、教育委員会に要請していますが、さらにより堂々と強く訴えていきます。

 それにしても、尾崎さんの所属していた組合は、一切関わらなかった・・・それがくやしいです。

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9/23尾崎さんの公務災害認定を支援する会 [尾崎裁判]

尾崎さん支援する会総会が開かれます
 (尾崎善子先生の公務災害認定を支援する会)
 基金の上告理由への反論について学ぼう~職場のたたかいに即通じる!
◆ 9月23日(水)・秋分の日
    13時30分~
◆ 西部教組事務所
浜松市東区神立町119-11
   053-443-7887
  JR浜松駅バスターミナル乗り場 10番より 労災病院下車
    ・蒲線(系統番号71・74・77・78)・労災・篠ヶ瀬線(系統番号85)
    ・笠井線(系統番号75・76)
  →柳通『神立町東』交差点を南に50m、東側に見える5階建てビルの2階


  基金(地方公務員災害補償基金)が上告理由にしている「公務起因性判断の事実認定」および「うつ病に関する医学的知見の認定」、さらに「最高裁判例に相反している」ことについて、この間、塩沢弁護士中心に、重要な反論を最高裁に提出しています。その点について、塩沢弁護士から学びましょう。

 それは、職場での問題やその解決につながることです。
 また、あなたの声をお聞かせください。

 是非ご参加ください!どなたでも自由に参加できます。 

  ~高裁判決とその後

画期的な東京高裁判決  
 2008年4月24日、東京高裁は、尾崎善子さん(小学校養護学級担任・静教組小笠支部組合員)の自殺を「公務災害」として認める判決を出しました!

静岡地裁判決を真っ向から否定
 2007年3月の静岡地裁判決(地方公務員災害補償基金の主張を鵜呑み)は、
① 2週間の養護学級体験入学の受け入れは大変ではなかった。
② 4月に特休に入って3カ月半後の自殺は「職場復帰」へのストレスだった。
③ うつ病による自殺は尾崎さん個人の「脆弱性」の問題(平均的な教員なら罹患しない =平均人基準説)。   
というものでした。
 しかし東京高裁は、事実認定はほとんど地裁判決と同じながら、全く正反対の観点で判決を出しました。

体験入学の過重性(質的な業務の過重性)認める
 異例の2週間の体験入学について「本件体験入学実施により、それまで経験していなかった尋常でない事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、…それまで20年間培ってきた教員としての存立基盤が揺らぎ…精神的に深刻な危機に陥って、気力を使い果たして疲弊、抑うつの状態になった」と、その過重性を認めました。
 そして、「体験入学実施期間中に本件体験入学実施による精神的重圧によりうつ病に罹患し、復職間近になって重症化し、うつ病に基づく自殺企図の発作によって自殺したものとみとめられるのであり、」「本件体験入学の実施の公務としての過重性は優に肯定することができる」としています。
 つまり長時間残業などの時間的な過重性ではなく、質的な業務の過重性を認めた点で画期的な判決です。

うつ病は「普通の体の病気」
 また気分障害(うつ病等)について、最近の医学的知見から「特殊な遺伝疾患ではなく普通の体の病気」「もともと周期性の病気」等、長い解説を加えています。

個人的な「脆弱性」の問題ではない
 基金や地裁判決は、尾崎さんの個人的な「脆弱性」をことさらに強調していたのですが、東京高裁判決は、「うつ病になりやすい性格とは、『問題のある性格傾向』という意味ではなく、むしろ、適応力のある誠実な気質と強く関係する」と明快です。
「几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実という(うつ病に関係の深い)性格傾向を有していても、柔軟性にやや欠ける者であれば教職員として採用するにふさわしくないとは到底いえない」とし、尾崎さんの場合「20年間に及ぶ教員としての十分な勤務実績を上げたことによって裏付けられている」とも言っています。

公務災害認定が法(地方公務員災害補償法)の趣旨
 基金や地裁は、「弱い人のために」税金を使うわけにはいかない(平均人基準説)と主張していました。東京高裁判決はその冷たさに対して、憤っているかのように次のように結んでいます。
 「当該公務員が几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実、柔軟性にやや欠けるという うつ病に関係の深い性格傾向を有していたことを理由に、当該公務員を公務災害の対象 としないことが 法の趣旨であるとは、到底理解することができない。」
まじめにやってきた仕事によって災害(病気)にあったのに、公務災害にならないなんておかしいことです。

基金は不当にも上告
 2007年3月の静岡地裁の不当判決の際、地元の同僚の方が「えっ、公務災害にならなかったの?」とびっくりしておられました。現場感覚では今回の東京高裁判決は当然のことなのです。まじめに働いていた教員が、2週間もの異例・異常な「体験入学」という業務でうつ病を発症したのです。うつ病発症の「引き金になった」ということは、基金も静岡地裁も認めていることです。それなのに、頑なに公務災害として認めようとしない態度です。これで、本当に安心して、士気を高めながら、働くことができるのでしょうか。「過重な業務でも我慢して働け」「うつ病を発症するような弱い奴は助けない」と言っているようなものです。こんなこと許せません。
 支援する会や安健センター、全教静岡などが直接基金支部に要請し、県内・県外の多くの方々が、FAXなどで上告しないよう要請しました。にもかかわらず、地方公務員災害補償基金静岡県支部(支部長 石川県知事=当時)は、最高裁に上告しました。

基金側上告理由は、
 「高裁は『判決理由』を述べていない!」「公務起因性を判断する事実認定については一審判決と同じなのに、結論が正反対になっている。それにもかかわらず、同じ事実認定を前提としながらも、なぜ結論が異なったのか、その理由を述べていない。明らかに理由不備がある。」「また、うつ病に関する医学的知見の認定についても、医学上の事実認定についても根拠を示さず結論を導き出しているのは理由齟齬ないし理由不備である」ということが、基金側の問題にしたいところなのです。
 「高裁判決は、最高裁の判例にないから取り消せ!」もう一つ「上告受理申立理由書」では、「公務起因性について、高裁の判決は最高裁の判例に相反している。今までの公務関係の最高裁判決は、公務に過重性が認められなければ、公務起因性がない、公務が単なる誘因に過ぎない場合には、公務起因性を否定、本人基準説は採用していない」とし、高裁の判決は最高裁判決に相反しているので、取り消しを免れない」と述べています。要するに、高裁の判決は最高裁の判例にないから取り消せ、と言うのです。

尾崎さん側、再三反論
 基金の上告に対して、特に上記2点を中心に弁護士さんが反論をしています。また、全国の過労死弁護団とも連携を始めています。

 9/23総会で塩沢弁護士から詳しいお話を聞くことができます。
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尾崎裁判 最高裁勝利 職場改善に向けて! [尾崎裁判]

尾崎裁判
東京高裁判決を
職場に生かそう      

 2008年4月24日、東京高裁は、尾崎善子さん(小学校養護学級担任・静教組小笠支部組合員)の自殺を「公務災害」として認める判決を出しました!

静岡地裁判決を真っ向から否定

 07年3月の静岡地裁判決(地方公務員災害補償基金=以下「基金」の主張と同じ)は、
① 2週間の養護学級体験入学の受け入れは大変ではなかった。
② 4月に特休に入って3カ月半後の自殺は「職場復帰」へのストレスだった。
③ うつ病による自殺は尾崎さん個人の「脆弱性」の問題(平均的な教員なら罹患しない=平均人基準説)。
というものでした。
 しかし東京高裁は、事実認定はほとんど地裁判決と同じながら、全く正反対の観点で判決を出しました。

体験入学の過重性(質的な業務の過重性)認める

 異例の2週間の体験入学について「本件体験入学実施により、それまで経験していなかった尋常でない事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、…それまで20年間培ってきた教員としての存立基盤が揺らぎ…精神的に深刻な危機に陥って、気力を使い果たして疲弊、抑うつの状態になった」と、その過重性を認めました。
 そして、「体験入学実施期間中に本件体験入学実施による精神的重圧によりうつ病に罹患し、復職間近になって重症化し、うつ病に基づく自殺企図の発作によって自殺したものとみとめられるのであり、」「本件体験入学の実施の公務としての過重性は優に肯定することができる」としています。
 つまり長時間残業などの時間的な過重性ではなく、質的な業務の過重性を認めた点で画期的な判決です。

うつ病は「普通の体の病気」

 また気分障害(うつ病等)について、最近の医学的知見から「特殊な遺伝疾患ではなく普通の体の病気」「もともと周期性の病気」等、長い解説を加えています。

個人的な「脆弱性」の問題ではない

 基金や地裁判決は、尾崎さんの個人的な「脆弱性」をことさらに強調していたのですが、東京高裁判決は、「うつ病になりやすい性格とは、『問題のある性格傾向』という意味ではなく、むしろ、適応力のある誠実な気質と強く関係する」と明快です。
「几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実という(うつ病に関係の深い)性格傾向を有していても、柔軟性にやや欠ける者であれば教職員として採用するにふさわしくないとは到底いえない」とし、尾崎さんの場合「20年間に及ぶ教員としての十分な勤務実績を上げたことによって裏付けられている」とも言っています。

公務災害認定が法(地方公務員災害補償法)の趣旨

 基金や地裁は、「弱い人のために」税金を使うわけにはいかない(平均人基準説)と主張していました。東京高裁判決はその冷たさに対して、憤っているかのように次のように結んでいます。
 「当該公務員が几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実、柔軟性にやや欠けるという うつ病に関係の深い性格傾向を有していたことを理由に、当該公務員を公務災害の対象としないことが 法の趣旨であるとは、到底理解することができない。」
まじめにやってきた仕事によって災害(病気)にあったのに、公務災害にならないなんておかしいことです。

基金は不当にも上告 たたかいは最高裁へ

 一昨年の静岡地裁の不当判決の際、地元の同僚の方が「えっ、公務災害にならなかったの?」とびっくりしておられました。現場感覚では今回の東京高裁判決は当然のことなのに、基金は不当にも上告しました。

 まじめに働いていた教員が、2週間もの異例・異常な「体験入学」という業務でうつ病を発症したのです。うつ病発症の「引き金になった」ということは、基金も静岡地裁も認めていることです。それなのに、頑なに公務災害として認めようとしない態度です。

 これで、本当に安心して、士気を高めながら、働くことができるのでしょうか。「過重な業務でも我慢して働け」「うつ病を発症するような弱い奴は助けない」と言っているようなものです。こんなこと許せません。

高裁判決を職場に生かそう

最高裁がどう判断しようとも、今回の東京高裁の判決は、私たちの力になるものです。

 「それまで経験していなかった尋常でない事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、」…これは教職員なら誰でも「遭遇し」ていることではないでしょうか。定年前退職者の増加、精神疾患罹患者の激増などの数字が如実にあらわしています。けっして尾崎さん個人だけに起きた問題ではありません。

 判決の趣旨を職場の改善に生かすよう教育行政や管理職に求めていきましょう。

 また、個人の問題と片づけず、一人ひとりを守ることは、教職員組合運動の要です。

最高裁での勝利判決に向けて、引き続き署名、意見書運動に取り組んでいます

ご協力をお願いします 

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7・12尾崎裁判・高裁判決を学ぶ集会 ご案内 [尾崎裁判]

「4月24日東京高裁判決」報告集会のご案内

7月12日(土)
  13時~16時

ふしみやビル9階会議室
  (静岡市呉服町通りから青葉公園側に入り口があります)

内容
 *判決の意義と今後の展望  弁護士
 *姉の死を無駄にしないために 尾崎さんの弟さん

 既報のように、4月24日東京高裁は、基金(地方公務員災害補償基金)や静岡地裁の判決を覆し、働くものの側に立った、画期的な判決を出しました。

 しかし、多くの方が「上告するな」の要請を送ってくださったのに、基金は非情にも5月9日に上告しました。今後裁判は、最高裁の場で争われることになります。

 画期的な判決の内容とその背景を学ぶこと、最高裁に向けた運動の課題を学ぶこと、これが大事なこととなっています。

 同時に、この判決をもとに、学校現場をどう変えていくことが必要なのかも、現在問われていることです。

 さらには、「公務災害」「労働災害」の問題は、学校現場だけではなく、多くの職場・現場で考え、改善させていかなければ…、そんな切羽詰った状況ではないでしょうか。

 みなさんの参加をお待ちしています。
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基金支部が不当にも上告! [尾崎裁判]

尾崎裁判 基金支部が不当にも上告

 本日、基金支部に安健センター、全教静岡、支援する会の3者で意向を聞きに行きました。

 なんと不当にも、今日5月9日に上告したとのことでした。

 基金支部は上告の理由として、① 理由の不備 ②法解釈の違い の2点を上げました。

 ① 地裁も高裁も、事実部分はほぼ同じで、その認定の仕方が正反対です。つまり、2週間の体験入学が大変だったのかどうか。うつ病の罹患は、尾崎さんの「脆弱性」という個人の問題なのか。そして自殺したのは職場復帰のストレスだったのか、それともうつ病発症以来の一つの流れの中でとらえることなのか。等の点です。

 ② 法解釈の問題では、基金側が問題にしているのは、一つは尾崎さんのお父さんが公務災害認定を求め、一度は時間切れとなり、再度お母さんの名前で求めたことは認められない、ということです。この点は地裁も高裁も認める判決でした。基金は、最高裁で「認められない」の判決を得て、門前払いにしようという考えのようです。これは危険なことです。

 もう一点は、地方公務員災害補償法に関わって、今回の場合に補償すべきかどうかです。「脆弱性」のある公務員・教職員に税金を使って補償する必要はない、ということでしょう。

 本日上告し、その理由書は50日以内に出すという規定のようです。6月までには、相手の出方が分かります。また、分かったら報告します。

 尚、上告したのは、本部と支部で協議して決めた。当然基金支部長である県知事も了解していることである。ということでした。その下で働いている者としては、到底許せないことです。

 その際の議事録はあるのか?公開されるものなのか?の質問については、あいまいな回答しか得られませんでした。ただ、「ずさんな手続きを踏んでいると思われては困る程度の記録はある。」という返事でした。その辺りについても調べてみます。

 基金が高裁で負けて上告した例は、5、6件あるということも明らかにしました。詳細は分かりません。

 

 とりあえず、怒りの報告です。

 まじめに働いていた教員が、2週間もの異例・異常な「体験入学」という業務でうつ病を発症したのです。うつ病発症の「引き金になった」ということは、基金も静岡地裁も認めていることです。それなのに、頑なに公務災害として認めようとしないのです。これで、本当に安心して、士気を高めながら、働くことができるのでしょうか。「過重な業務でも我慢して働け」「うつ病を発症するような弱い奴は助けない」・・・こんなこと許せません。

 静岡地裁の不当判決の際に、地元の同僚の方々が「えっ、公務災害にならなかったの?」とびっくりしていたのです。

 いずれにしても、今後皆様の引き続くご支援をお願いすることになります。よろしくお願いします。
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再び・尾崎裁判・上告断念の要請をお願いします [尾崎裁判]

 
 4月25日、静岡県働くものの安全と健康を守るセンター(安健センター)、全教静岡(静岡市教組)、支援する会の三者で、直接 地方公務員災害補償基金静岡県支部事務局へ上告しないように要請に行ってきました。

※ 何と基金支部は、県庁東館3階の総務部の中にあった。衝立すらなく、他の部署と区別が付かない。 県の人事委員会でさえ、一応部屋があるのに。こんなんで、客観的な「地方公務員災害補償」の仕事ができるとは思えない!

 基金支部は、

「判決文を受け取ってから上告期限の2週間以内に検討する。」

「上告しない場合は、何の動きもなかったときだ。」

「中央の本部の判断になるだろう。」

「既に要請FAXがいくつか来ている。」…と。← みなさん、ありがとうございます。

 真摯に受けとめ、上告しないように要請してきました。まじめにやってる公務員、教職員を勇気づけ、士気の高揚につながるように、とも。

 また、仙台大友裁判では控訴しないことを、基金支部長である宮城県知事が記者会見で述べた。上告しない場合でも公表してほしいと要請してきました。

 尚、尾崎善子さんは亡くなられるまで、静教組小笠支部の組合員でした。

くり返しのお願いで、恐縮ですが、
上告断念の要請、まだの方は是非お願いします!
要請先・要請例

1)

 静岡県静岡市葵区追手町9番6号

地方公務員災害補償基金静岡県支部長 石川 嘉延 様

        FAX 054-221-3142

 尾崎善子さんの公務災害を認めた東京高裁の判決を真摯に受けとめられ、上告しないよう要請します。

2008年  月  日

氏名(団体名など)                          

住所                              

2) 

 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞ヶ関ビル26F

 地方公務員災害補償基金理事長 成瀬 宣孝 様                   
          FAX  03-3593-8781 (審査課・訟務課内) 

 尾崎善子さんの公務災害を認めた東京高裁の判決を真摯に受けとめられ、上告しないよう要請します。

2008年  月  日

氏名(団体名など)                          

住所                              
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尾崎裁判 逆転勝訴! 上告断念要請をお願いします [尾崎裁判]

尾崎裁判・勝利!東京高裁で逆転判決!

4月24日、東京高裁は、尾崎善子さんの自殺を「公務災害」として認める判決を下しました!

上告断念のFAXを送ってください!

 東京高裁の判決は、極めて明快です。

 不当な静岡地裁の判決、

①2週間の体験入学は大変ではなかった。 

②自殺は「職場復帰」へのストレスだった。 

③うつ病による自殺は尾崎さん個人の問題(平均的な教員なら罹患しない)。

という視点を、全く正反対の視点から論破しています。

 つまり、「本件体験入学実施により、それまで経験していなかった尋常でない

事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、…

それまで20年間培ってきた教員としての存立基盤が揺らぎ…

精神的に深刻な危機に陥って、気力を使い果たして疲弊、抑うつの状態になった」

と認めます。

 またその前提として、気分障害(うつ病など)の最近の医学的知見から

「普通の体の病気で」「もともと周期性の病気」などの解説を加えています。

 従って、尾崎さんは、「体験入学実施期間中に 本件体験入学実施による

精神的重圧により うつ病に罹患し、復職間近になって重症化し、

うつ病に基づく自殺企図の発作によって自殺したものとみとめられるのであり、」

尾崎さんの「自殺と公務との間には相当因果関係がある」

「公務上死亡したものというべき」

「本件体験入学の実施の公務としての過重性は優に肯定することができる」

としています。

 そして何と言っても明快なのは、次!

「几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実という(うつ病に関係の深い)

性格傾向を有していても、柔軟性にやや欠ける者であれば教職員として

採用するにふさわしくないとは到底いえない」 「20年間に及ぶ教員としての

十分な勤務実績を上げたことによって裏付けられている」

「当該公務員が几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実、柔軟性に

やや欠けるという うつ病に関係の深い性格傾向を有していたことを理由に、

当該公務員を公務災害の対象としないことが 法の趣旨であるとは、

到底理解することができない。」と断じているのです。

 ※ 基金や地裁は、「弱い人のために」税金を使うわけにはいかない(平均人基準説)


お忙しいところ恐縮ですが、

上告断念の要請を お願いします!

要請先

1)静岡県静岡市葵区追手町9番6号

地方公務員災害補償基金静岡県支部長   石川 嘉延 様

        FAX 054-221-3142

         すみません。今メール先が分かりません。

2) 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞ヶ関ビル26F

         地方公務員災害補償基金 理事長様       

       FAX  03-3593-8781 (審査課・訟務課内)   

       E-mail  mailto:info@chikousaikikin.jp


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4/24判決を前に、尾崎裁判「準備書面(4)」冒頭部分を読んでください [尾崎裁判]

尾崎裁判
~ 静岡県の養護学級の教員であった尾崎善子さんの自殺を公務災害として認めるよう訴えている裁判(東京高裁)

 最新の訴え ~冒頭部分~

尾崎さん側が、新たに東京高裁に提出した主張(『準備書面(4)』2/28)の冒頭部分を紹介します。(※ 一部固有名詞を省いています。)

 はじめに、「基金」とは…
 若干説明しておきます。地方公務員の場合の「労働災害(労災)」は「公務災害」という名で扱われ、その判断をする機関を、「地方公務員災害補償基金」と言います。略して「基金」と言っています。各県・政令市段階に「基金支部」がありその長は首長、つまり基金静岡県支部の支部長は静岡県知事です。このあたりにも、一般の「労働基準監督署」と違って、基金のガードはかたいと言われる面が見えるのです。
 さて公務災害を申請すると、先ず基金支部で審査されます。不服があれば、支部審査会で審査されます。さらに基金中央本部、同審査会という手順で審査されます。そこで認められない場合に裁判に訴えるということになります。
 尾崎裁判の場合、基金は端から「公務外災害」(公務災害ではない)にしようという姿勢で臨んでいます。学校現場の過酷な実態を、ことさらに過小評価しようとします。静岡地裁は、基金の主張を鵜呑みにして「公務外」(尾崎さん個人の問題)の判決を出しました。尾崎さんの事を知っている教職員が「えっ、公務災害にならなかったの!?」とびっくりしていたくらいです。
 
本訴の意義

1 本件被災職員尾崎善子(『準備書面(4)』では「善子」ですが、ここでは引用以外は「尾崎さん」とします。)は、本件公務災害に遭遇するまでは心身共に健康な小学校教諭であった。几帳面で一つのことにとことん取り組むタイプであり、何事にも最後まで根気強くやり抜こうとする強い意志の持ち主であった。
 その尾崎さんが、もともと教諭という職業自体にストレスが多いうえに、さらに困難な養護教育に自発的に取り組み出し、それから僅か2年後に、自己が受け持つクラスの児童やその保護者に対する教育的責任の高さゆえに苦しみ、葛藤し、志半ばにしてうつ病を発症させて自殺に至った。遺族にとって、その無念な心中は察するに余りある。

2 本訴に先立つ審査段階で、基金支部審査会から依頼を受けて鑑定書を提出した医師は、「体験入学での出来事が被災職員の疾病にどの程度影響したか」の問いに対し、「体験入学がなければ、どうだったかと推測すると、おそらく発病はなかったと思われ、その意味では、影響度はかなり大きいと考える。」とする。
一審判決も、「善子は本件体験入学実施の前後にうつ病に罹患していること、前掲の善子の日記やノートの内容及び善子の症状に関する医師の意見をも合わせ考えれば、善子が本件体験入学の実施に伴い強いストレスを感じ、それがうつ病の誘因になったことは否定できない。」とする(判決)。
即ち、本件体験入学によって尾崎さんが受けた強度の精神的負荷がなければ同女のうつ病発症またはその増悪はなかった、従ってまた自殺もなかった、という意味での因果関係(「条件関係」と言ってもよい)は、間違いなく存在するのである。

3 しかるに被控訴人基金は、尾崎さんが「在籍児童をいかに守るべきかという点が考えの中心であり矛先を常に体験児童にむけていたきらいがある」「自分自身の養護教育に対する思いと実際の指導から来る格差に悩んでいた」「環境要因と本人の持っている性格、素因等を比較した場合、本人の性格、素因等の個体的要因が、本件疾病発症のより大きな要因となっている」として本件公務外認定処分を下し、支部審査会も、いともたやすくこれを肯定している。だが、学級運営に責任を持つ以上、何よりもまず在籍児童のことを大切に思い、在籍児童とともに作り上げてきた学級を守ろうとするのは、責任感ある教師として当然のことである。また、教育にかける熱い思いと厳しい現実の格差に悩むことは、教育に熱心な教師であれば、これまた当然のことである。教育に対する熱意、責任感が人一倍大きいことが、むしろ「公務外」とされる理由になるとは、いったいどういうことなのか。
そして原判決も、控訴人が詳細に主張立証した本件体験入学の異常性、それが尾崎さんにもたらした精神的肉体的負荷の大きさを不当に過小評価し、「本件体験入学が・・・、その期間、目的、事前打ち合わせ、実施態様等に照らし、客観的にみて、社会通念上、当該職務担当者にうつ病を発症させるような負荷を与えるものであったと認めることができない本件にあっては、(善子が受けた)ストレスは当該公務それ自体がもたらしたものであるというより、善子が本件体験入学について過剰なまでの拒否反応を抱き、その事態をうまく受け入れてその気持ちを対処できなかったことから生じたものであったというほかない」として、相当因果関係を否定した。
 理屈の付け方は違っていても、公務上の出来事がもたらす外的ストレスが原因(少なくとも1つの原因)であることは間違いなくとも、それが「相対的に有力」な原因ではないとして、ことさら「本人の性格、素因等の個体的要因」を持ち出して救済の道を閉ざす点で、同じである。

4 今、教育の現場では、教育を巡る極めて困難な諸課題を抱えた教師の精神疾患が増大している。控訴人は、我が子善子はそうした教育現場の実態の中での犠牲者であると考える。高い判断力と専門的知識を有し、多くの者からその存在を喜ばれ、これからも多くの子供たちに幸せと喜びを与え続けることが出来たはずの、社会にとってもかけがえのない一人の命が犠牲になったのである。それだけに、我が子の死を“犬死'”にさせることなく、更なる犠牲者を生み出さないためにも、との思いで本訴を提起し、困難を抱えながらも本件訴訟を遂行してきた。本件公務災害が救済されるか否かは、控訴人及びその家族の問題ではないこと、多くの困難を抱えながら教育現場で悪戦苦闘している我が国の教師全般の「安心して働ける権利」に関わることを声を大にして訴える。

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