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春闘要求書 その1 勤務条件 [市教委への要求・申し入れ]

2008年春闘要求書 
 ◎ 静岡市教委に、毎年春に提出している春闘要求書を載せます。
  ご意見をください。

その1 勤務条件

(前文)
県教委・市教委が実施した「勤務状況調査」、文科省の「勤務実態調査」や「病気休職者調査」などから、教職員の過酷とも言える勤務実態が明らかになりました。これは、「教育改革」の名の下に人員も予算も増やさず、無定量に仕事を現場に押しつけてきた結果です。過労死ラインも超える長時間・過密の勤務実態の早期解決は、貴職としても最重要課題として位置づけるべきです。
また、「全国学力テスト」や「授業時間増」など、現場の具体的な声を聞かずに上意下達に下ろされてくる施策に、子どもたちはますます余裕のない生活を強いられ、あるいは「教育格差」の中に放り込まれようとしています。子どもたちが、学力も含め真に豊かに成長するためには、今教育条件整備こそが、求められていると思います。
 私たちは、子どもたちの教育の充実と教職員が働きやすい職場環境をつくるために、各職場の教職員から寄せられた強い声をまとめ、下記の項目を要求書として提出いたします。
 貴職におかれましては、現状を正しく把握され、誠意を持って解決を図られますよう申し入れる次第です。  

1 勤務条件について

(1) 「勤務状況調査」結果に基づき、教職員の長時間・過密勤務解消のための必要な改善措置を講じること。
   ① 調査に基づき、具体的な改善措置を講じること。
   ② 「休憩時間が取れない」、「時間外・休日勤務をせざるを得ない」などの実態に対して使用者責任及び改善方針を明らかにすること。また、「黙示の命令」の存在を認めること。
   ③ 調査の結果を勤務条件の後退に利用しないこと。

            ※静岡市教委は、06年1月と6月に市内教職員全員を対象に「勤務状況調査」を行いました。それによって、時間外勤務・休日出勤が異常に多く、大多数が「持ち帰り」残業をしており、またほとんどの教職員が休憩時間(45分)をほとんど取ることができていないことがわかりました。

(2) 労働安全衛生法、「文科省06年4月3日通知」「同07年12月6日通知」等及びその趣旨にそって、各学校の労働条件・職場環境等を見直し、改善を図ること。
            ※ 同上の通知の概要はは、このブログに掲載されています。

   ① 衛生推進者として、勤務に起因する疾病者や負傷者を出さないための必要な措置を講じるよう校長を指導すること。とりわけ身体的・精神的健康不安を訴える教職員が増加している折、本人の申し出だけにたよるのでなく、校長の管理責任として勤務の軽減や休養・通院治療時間の保障など健康回復のための措置を講じるよう指導すること。
     また、「学校を巡回し、空調設備などの施設・設備、温度・採光などの環境衛生、教職員の勤務実態等を点検し、問題があるときは所要の措置を講ずる」(文科省07年12月6日通知・留意点)という任務の徹底をはかること。
            ※ 静岡市では、「衛生推進者」に校長が任命されています。県内では、保健主事(教員)または
養護教員が任命されているところもあります。10年以上前に、「学校現場でも当然、労働安全衛生法が適用される」という国会答弁があり、その後に任命されるようになりました。しかし、校長はその意味が分からず、「法的責任」である」、任命されたことを教職員に伝えるという任務 すら行っていない場合も多いのです。

   ② 事業者としての市教委の責任で、教職員の勤務実態・健康状況等を十分に把握し、少しでも勤務に起因する過重な勤務や疾病等が認められた場合は、必要な改善の措置を講じること。

   ③ 静岡市立学校教職員労働安全衛生管理規定を制定すること。「規定」作成に当たっては別に当組合から要求している内容(2007年11月13日付『静岡市立学校・園労働安全衛生体制確立の要求書』)を組み入れること。

   ④ 市教委および各学校に管理職以外の教職員代表を含めた労働安全衛生委員会を設け、常に労働安全衛生法の趣旨が徹底できるようにすること。
            ※ 仙台市や堺市では、50人未満の学校でもすべてに「衛生委員会」を設置しました。
    
   ⑤ 各学校毎に産業医を配置すること。当面「支部ごと」ないしは「中学校区ごと」に配置すること。
            ※ 堺市では、すべての学校に「産業医」が置かれました。静岡市では今年ようやく市内でたった3人、配置されるようです。

   ⑥ 教職員の実質上の勤務場所である教室等の労働環境を、労働安全衛生法の観点で把握し不備が認められた場合は早急に改善の措置を講じること。当面、夏季の高温および冬季の低温環境の改善のため、冷暖房設備を完備すること。
   ⑦ 休憩室・男女別職員トイレおよび更衣室の設置・整備充実を図ること。

(3) 「厚生労働省01年4月6日通達」及び「文科省06年4月3日通達」「市教委07年4月27日通知」に基づいて、教職員の勤務時間管理の徹底をはかること。
   ① 「教育職員始業終業時刻等記録簿」についてはその趣旨を校長、教職員に徹底すること。
   ② 校長・教頭に対して「勤務時間の適正な把握」の意義を徹底させること。
   ③ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、実態調査を実施すること。
            ※ 01年4月6日厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」という通達を出しました。そこでこの通達の目的を、「使用者に労働時間を管理する責務があることを改めて明らかに」し、「割増賃金の未払いや過重な長時間労働の問題」の「解消を図る」ことだとしています。そして「自己申告による労働時間の把握については、曖昧な労働時間管理となりがち」と注意を促しています。もう7年前のことなのです!
             
   ④ 事務職員も調査対象に入れること。
   ⑤ 事務職員の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、年間92時間などの上限が、事務職員の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認し、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

(4) 労基法34条等に基づき、休憩時間にまたがる児童・生徒の指導や、会議等の職務を一切行わせないこと。また、休憩時間にまたがる職務が行われている事実が認められた場合、速やかに是正措置を講じること。

(5) 休息時間廃止がされても、必要な休息時間の確保を奨励すること。

(6)  教職員の勤務時間の割振り等に関する基準が徹底されるようにするとともに、管理職への日常的指導を強めること。
(7) 校舎管理業務は本来管理職の仕事であるが、戸締まりを教職員が行う場合、その終了が勤務時間内になるよう十分配慮させること。とりわけ中学校については早急にその旨を徹底すること。

(8) 学校の始業時刻を、教職員の勤務開始時刻後に改める努力をすること。

(9) 中学校教員の部活指導の軽減を図ること。当面勤務時間内に終了するよう各学校を指導すること。また、部活指導についての勤務の位置づけを明確にすること。
            ※ 中学教員の部活指導の勤務の位置づけは、極めて曖昧で、公式な大会の引率でも、最高1日2000円の「手当」が払われるだけです。注;時給ではありませんよ。

(10) 各学校に警備員を配置する等子どもと教職員の安全確保のための措置を講じること。 

(11) 「教職員評価」制度の試行を再検討すること。
   ① 検討を進める場合は、組合代表も検討委員の一員とすること。
   ② 全国及び県の動向からみて、明らかに「賃金への反映」「人事への活用」「新しい職導入」に連動し、給与・勤務条件の変更に関わることなので、組合との交渉の場を持つこと。
   ③ 制度の拙速な導入をやめること。その旨県にも要求すること。
   ④ 地教行法第46条に関わって、県教委の制度移行と静岡市の制度移行について、見解を明らかにすること。 
            ※ 教職員評価制度の静岡市教組の主張については、このブログの「教職員評価制度」を参照してください。
            ※ 地教行法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)第46条 (勤務成績の評定)
「県費負担教職員の勤務成績の評定は、・・・都道府県委員会の計画の下に、市町村委員会が行うものとする。」となっています。静岡市教委は、3年次「静岡市教職員評価制度検討委員会」を立ち上げますが(文科省予算はカットされたのに)、いくら独自性を言ってカモフラージュしても、結局今県教委が試行しているやり方に包含されるのではと、危惧されています。 

(12) 授業持ち時間を小学校で17時間、中学校で15時間以内にするよう努めること。
(13) 多忙を強いられる学級担任の負担を少しでも軽減するため、教頭及び教務主任の授業持ち時間を増やすよう指導すること。そのために、教頭及び教務主任の仕事の軽減と精選を図ること。

(14) 年次休暇や特別休暇を取得しやすい職場にするよう周知徹底すること。とりわけ子等家族に関わる場合や本人の健康に関わる場合について特別休暇を取得しやすい環境づくりに努めること。

(15) 「指導方法工夫改善」をはじめ文部科学省の施策を機械的に導入することで、教材研究・打ち合わせ時間等を時間外に取らざるを得ないなど無定量に業務量が増加していることについて、市教委として実態を把握し、改善を図ること。また、文部科学省および県教委に改善を強く要求すること。
            ※ 政府・文科省は、人員をあてがうことなく、新しい施策を下ろしてきます。そのための準備、実践、そして例外なく事前事後の報告・文書仕事が「もれなく」ついてきます。人をあてがう場合は、「臨時」ではなくこれから「正規に」推し進める業務であるはずなのに、「臨時教職員」なのです。

(16)  市単独で少人数学級を実現し教員を増員すること。国や県に少人数学級実現のための予算要求をすること。
(17) 障害児を普通学級で受け入れる場合には、学級担任の負担増とならないよう、特別支援員等を配属すること。あわせて、当該担任の授業時数や校務分掌が軽減するよう当該校を援助すること。
            ※ 子どもが(送り出す保護者も)安心して学校に行くことができること、学校に合わせるのではなく子どもに合わせた学校づくりのためには、絶対的に人が足りません。
 
(18) 母体保護の観点から、妊娠している小学校女性教員に体育の指導など激しく体を使う業務をさせないために、代替者の派遣をすること。またその旨県に強く要請すること。
            ※ 女性教職員の「切迫流産」は非常に多いといわれています。
 
(19) 夏季休業中は、厚生労働省の方針にもあるように、十分な休養を取ることが求められている時期であり、また教職員が自主的な研修を行うことのできる絶好の時期でもある。従って、休養と自主的研修が保障される勤務とすること。
(20) 教特法21条22条による教職員の自主的研修を積極的に奨励し、その機会が得られやすいように配慮すること。自主研修権行使に対する不当な介入を―切行わないよう各校長を指導すること。
(21) 「指導力不足教員」として恣意的主観的に選別を進める施策をやめ、教職員の身分を尊重しつつ、学校と教職員の指導力を高めるための支援策を拡充すること。

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