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奨学金がローンになってる日本で [教育の無償化を]

【全教談話】
「新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について」(第一次まとめ)(案)について

国民的願いである給付制奨学金の創設、すべての貸与奨学金の無利子化への即時転換を強く求める

                                      2016年4月7日
全日本教職員組合(全教)
                                 書記長 小畑 雅子

 3月24日、文部科学省は、「新たな所得連動返還型奨学金制度」の創設に関する「第一次まとめ」(案)を公表しました。2017年度の新規貸与者(現在の高校3年生)からの導入をめざして、急ぎまとめられた今回の「第一次まとめ」(案)は、無利子奨学金制度について部分的改善はありますが、奨学金利用者を苦しめている有利子奨学金制度を抜本的に改善すること、そして何よりも給付制奨学金の創設という国民的願いに背を向けたものとなっています。


 申請時の家計支持者の所得要件を設けず全員に無利子奨学金を適用することについては評価することができますが、年収0円でも月額2000円からの返還を求めることは改悪であり容認できません。返還猶予の期間を10年としていますが、現行の「所得連動変換型奨学金制度」と同様に、年収300万円以下の場合は返還猶予の返還年数に上限を設けないことを最低限の制度として設計すべきです。その上で、返還期間を返還義務が発生して30年で区切って返還免除とするイギリス等の例に倣って、日本においても、一定の期間をもってその後の返還は免除する制度を導入すべきです。


 返還者が被扶養者になった場合には、扶養者のマイナンバーの提出を求めて返還を強化しようとしています。民法の精神に反する「家族主義ローン」への改悪であり、さらには個人情報保護上極めて問題の多い制度であるマイナンバーの提出を前提としていることからも容認できるものではありません。保証制度について、「原則として機関保証」としていますが、貸与して支給される奨学金の金額から毎月2000円から3000円程度の保証料を差し引いたものとなることを強制するものであり、少なくとも現行の「人的保証と機関保証の選択制」を維持し、機関保証の保証料を大幅に下げるべきです。
                      

 高校進学率が98.5%となり、大学等の高等教育機関の進学率(過年度卒業生含む)は79.8%となっています。中等教育のみならず、大学教育を含めた高等教育までの教育の無償化を漸進的にすすめることは国際公約にもなっています。しかしながら、我が国の高等教育に対する公財政支出がOECD諸国の中で最下位レベルであることから、国際的に見ても高い保護者負担となっていること、学生等の保護者収入はこの17年間で年52万円以上減少し、家庭からの給付(仕送り)がこの10年間で年34万円以上減少したこと、大学生がアルバイトや奨学金への依存を高めていること、奨学金を必要としながら返還に対する不安・負担から申請を断念している学生が相当数いることも「第一次まとめ」に指摘されている通りです。                   
 

 そうした現状認識を踏まえた上での検討であるにもかかわらず、「給付制奨学金の創設」については、財源上の問題を理由として将来的な検討課題の一つとしていることは理解することができません。貧困と格差が拡大し、給付制奨学金の創設を求める世論の高まりに押されて、安倍首相は3月29日の記者会見で、返済不要の給付制奨学金制度の創設を表明しましたが、財源や対象基準などについては言及していません。国として責任を持って「OECD諸国の中で、大学の授業料が有償でありながら給付制奨学金がないのは日本だけ」という現状を早急に改善すべきです。


 全教は、すべての生徒・青年が安心して学び・成長する権利を求めるとともに、利子分の国庫負担化によるすべての貸与制奨学金の無利子奨学金への即時転換、給付制奨学金の早期実現に向けて、生徒・父母・教職員・地域住民とともに全力で奮闘していく決意です。
        

                                 以上

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