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全教(全日本教職員組合)の文科省交渉06.8.10報告 [全教の活動]

【全教が文科省と交渉】2006/08/09 
 全教が第8次定数改善計画策定など求め文科省と交渉しました。職場でも、また市教委に対しても活用できる内容です。読んでください。

  文部科学省 「 学テで競争あおらないよう配慮したい 」

 全教は8月9日、第8次教職員定数改善計画の策定、教員給与の現行水準の確保など、2007年度文部科学省予算概算要求に向けての全教要求書にもとづく交渉を実施しました。
 交渉には、全教本部から石元委員長、新堰、長谷川、本田、山口各副委員長、東森書記長、吉田、北村各書記次長、高橋教育財政部長がのぞみ、文部科学省からは尾崎財務課長、安西学校安全係長、教育水準プロジェクトチーム(学力テスト)の河原係長が応対しました。交渉に先立って、「第8次教職員定数改善計画の策定を求める署名」、4万3849筆を提出しました。
 冒頭石元委員長は、「骨太方針2006」で、公務員定数削減など公務員の総額人件費削減攻撃が強化される中でも、父母・子どもの願いにこたえる学校づくりのための教育予算の確保、教育条件の整備めざし、文部科学省としての最大限の努力をもとめました。
 

文部科学省の回答

 全教要求書の重点要求にたいして、尾崎財務課長は以下のとおり文部科学省の姿勢を示しました。
 
  【第8次教職員定数改善計画の策定について】

 2005年10月の中教審答申は、新しい定数改善計画の策定を打ち出した。しかし、「行政改革推進法」により、総人件費削減が政府の方針となり、文部科学省は、法律で枠をはめられた。改善計画案を出そうとやってみたが、2006年度からの改革は見送った。それでも2006年度は、特別支援教育や食の加配などで、今日の教育課題にわずかだが応えて改善した。
 これまでのような数ヵ年の改善計画を打ち立てることは、難しい状況である。どう、今日的教育課題に対応してやっていくのか。「行政改革推進法」により、頭を抑えられているが、将来的に好転するかもしれない。文科省としては財政論だけではなく、教育論に立ってやっていきたい。
 
  【人材確保法の堅持、教員給与の水準確保について】

 「行政改革推進法」で人件費削減は使命として課せられている。教員給与問題では、ワーキンググループで先日、検討を開始した。昭和49年の人材確保法の趣旨を踏まえて、中教審では教育論の観点から議論をお願いしている。第1回目の会議では、初等中等局長から、その旨をお願いしている。
 
  【全国いっせい学力テストの実施経費の予算化について】

 教育の機会均等、教育の質の確保のために検証し、指導改善につながるように現場に返していきたい。いたずらに結果を公表して競争をあおる、誤った運用にならないように、心がけていきたい。
 
  【学校と子どもの安全を確保するための条件整備について】

 学校と子どもの安全・安心のために政府をあげて取り組みたい。方策としては、学校、家庭、地域の連携をどう高めるか。対応として、民間、ボランティア、専門職員の力を借りたり、地域の実情を尊重してすすめたい。
 地域ぐるみの安全対策が重要である。スクール・ガード・リーダーは2005年度の2倍の2400人分の予算をつけている。スクールバスについては、連絡協議会を設けてスムーズな運用をと、様々な態様での具体化をお願いする通知を出している。また、地方交付税で人件費として600万円までを措置している。
 隘路はスクールバスの購入費補助の要望にどう応えるかだ。僻地には僻地教育振興法で対応可能だが、オールジャパンの場合は、補助金の新設は困難な情勢である。子どもたちの安全・安心の確保のために、今後とも努力していきたい。
 

  全教交渉団からの発言

 以上の文部科学省の回答にたいして、全教参加者からは以下のように追加的に要請しました。
 
  【憲法・教育基本法にもとづく学校づくりのための予算確保を】

 小泉「構造改革」のもとで、就学援助の活用率の上昇など、子どもたちの学習権が侵害されている。日本経団連は相次いで「新自由主義」的な「教育改革」提言を発表しており、それは、教育を自己責任に帰するものだ。その枠内で議論しても、教育論にもとづく施策は出てこない。
 憲法と教育基本法の精神に沿った教育論をふまえた予算編成を強く求める。
 
  【安全・安心の地域づくりに逆行する施策は中止せよ】

 犯罪から子どもたちをまもるためには、学区自由化、学校統廃合、さらには、教職員定数削減など、地域に根ざす学校や安全確保に逆行する施策をベースのところで転換しなければ根本的な解決は望めないという声が、地方から上がっていることをふまえて対応されたい。
 
  【学力テストより教職員配置の充実に予算を使え】
  ~ 東京では、競争と学校間格差の拡大につながっている ~

 課長は「学力テストがいたずらに競争にならないように」というが、東京の例をみれば、学校ごとの結果公表と学校選択の自由の拡大で競争が激しくなり、学校間の格差がひろがっているのが実態だ。

  ~ 学力テスト予算で、少人数学級ができる ~

 学力テストを全国的に実施すれば数百億円規模の予算が必要となる。父母に聞けば、学力テストより30人学級実現のための教職員配置の拡充に金を使え、というはずだ。全教は、「義務教育改革提言」で学力調査を実施するうえでの条件を示しているので真剣に検討してほしい。
 仮に実施するとしても、とりわけ、しっかい調査が問題だ。しっかいでやらなければならない必然性はまったくない。
 
  【人材確保法の果たす役割大きい。死守のため奮闘を】
   ~ 行革法はプログラム法 ~

 教職員の定員・賃金をめぐる環境が厳しいことは承知しているが、行革推進法はプログラム法であり、今後の取り組みが重要である。文科省が教員勤務実態調査に踏み切ったことを評価している。ところが、勤務実態調査の結果が出ないうちに、財務省の圧力に文科省が屈して、教員給与の2.76%の削減で合意したことに、職場から落胆の声が寄せられている。調査結果を踏まえ、教育論の立場で、給与だけでなく定数改善でも奮闘してもらいたい。また、教員免許の更新制を検討しながら、給与だけを行政職と機械的に同じにすることは不合理ではないか。
 人材確保法は、教員給与の国準拠制が廃止になったもとでも、大きな役割を果たしている。地方財政は厳しく、教員給与水準を確保するため、人材確保法を死守するために頑張って欲しい。
 
 以上の全教の追求、要請に対し、
 財務課長は、「学力テストに関する懸念は共有する。但し、給与に関する予算と学力テストに関する予算は枠がはめられており、融通がきく話ではない」と再回答しました。交渉の最後に石元委員長は、教職員の切実な諸要求の実現のための文部科学省としての誠実な努力を再度要求し、交渉を終えました。


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