SSブログ

静岡県の高校入試改善に対する全教静岡の意見 [高校入試]

静岡県の高校入試改善に対する全教静岡の意見

 現在静岡県教委は、次回高校入試(現中2から)の制度改善のために、昨年10月から「静岡県高等学校入学者選抜制度協議会」(制度協・中山慶子会長)を立ち上げて検討しています。制度協の中間まとめが昨年12月に報告され、1月5日迄という短期間ですが意見公募(パブリックコメント)もされました。

詳しくは下記県教委高校教育課HP参照
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-05/index.htm

 そして、1月10日には団体意見の聴取の場が設定されました。私たち全教静岡にも短時間でしたが、意見表明をする場が提供されました。その際に、私たちの代表が意見表明した内容は以下の通りです。

 読んでいただいて、是非ご意見をください。
 尚、1月22日(月)に制度協の会合があるようで、一定の結論が出される予定です。みんなで注目しましょう。     

中間まとめについての意見及び考えられる改善案
(事前に制度協に送った発言骨子です。)

 団体名  全静岡教職員組合(全教静岡)

 中間まとめについての意見

 ・ この5年間の前期・後期選抜においては、入試に係る期間が非常に長く、

  3学期になると合格者、不合格者、未受験者が一つの教室の中に層をなして

  いる状態となり、学級の指導が困難な原因ともなっていたので、すみやかな

  改善を期待している。

・ 「前期で落ちた学校に後期で多数が入るというのはおかしい。一回で良いのではないか。」との県教育長のマスコミ発言に期待している。

 ・ 特に今年度は私立高校が一部制度変更したため、システムが複雑になり、

  生徒・保護者・教員共に理解しにくく、不安が広がっている。この点につい

  て、県としても何らかの対策を講じてもらいたい。 

 ・ 中間まとめでは、特色化選抜の具体をはっきり読みとることができない。

 ・ B案の特色化選抜では、一部の生徒だけ恩恵を被ることになり、不公平感

  を否めない。C案にしても、高等学校が学校である以上、特色化選抜を実施

  するとしても、学力検査を実施すべきである。

 ・ 改善案B案、C案については、B案ではなくC案の関連案として、特色化

  選抜を独立した選抜として実施しない方法を支持する。

 考えられる改善案

 ・ どの生徒にとっても不公平感を与えない制度とすべきである。

 ・ 具体的には、C案の関連案として特色化選抜を独立した選抜として実施し

  ない方法で、一般選抜の中で専門性、芸術・運動技能などを判断する選考段

  階を設ける方法を提案したい。当然、学力検査は全員が受け、調査書、面接、作文等を選抜資料とする。

 ・ その他

  ① 学校間格差、地域間格差の拡大を防ぐため、学区は、全県一学区ではな

   く、せめて隣接学区までとしたい。

  ② 学習指導要領を遵守し、学力検査問題は、選択制導入でなく、現在の後

   期選抜と同様、県共通のものとする。

  ③ 選考段階を、生徒・保護者にわかりやすいものにしたい。特に制度変更

   の際は、丁寧な説明をお願いしたい。

  ④ 再募集にあたって、私立高校の入学辞退については見直してほしい。

  ⑤ 中学校の卒業式への影響を少なくするため、一般選抜合格発表の時期

   は、3月10日前後で調整したい。

(1月10日に意見発表した内容です。)

1 はじめに
 全教静岡の山本、長澤です。私たちは、中学校で実際に進路指導を行っている立場から、生徒、保護者、教員共に納得できる入試制度にしていただきたいと思い、意見を述べます。今回の改善によって、高等学校にとっても、中学校にとっても、生徒の学ぶ意欲が高められ、生徒ひとりひとりの豊かな人格形成に役立つ基盤となることを期待しています。

 さて、この5年間の前期・後期選抜においては、入試に係わる期間が長く、3学期になると、合格者、不合格者、未受検者が一つの教室の中に層をなしていく状態となり、学級の指導が困難となる原因になっていましたので、入試期間を短くするよう、すみやかに改善してほしいと思います。現制度では、1月始業式を終えるとすぐに私立、公立願書を手渡し、志願理由書のチェックを行い、入試提出の調査書等の関連書類の準備をする毎日となり、合わせて4回、再募集を含めると5回の出願、入試、発表に備えていかなければなりません。これは生徒にとっても、保護者にとっても、教員にとっても大きな負担となってきました。

 今年度はさらに私立高校が一部制度変更をしたため、システムが複雑になり、不安が広がっています。義務教育の最終段階が進路先の決定に忙殺され、本来の教育活動の妨げになっています。この点からも、県教育長のテレビでの「選抜は1回でよいのではないか。」という発言に同感ですし、早急にわかりやすい制度にしてほしいと思います。

2 中間まとめについて 
 中間まとめに関連して意見を述べます。

 B案、C案ともに、特色化選抜を盛り込んでいますが、中間まとめでは、「総合選抜を用いない選抜」「調査書、面接、作文、実技検査を選抜資料とし、学校独自の選抜方法による選抜」とだけ説明されているだけで、具体がはっきりと示されていません。新聞報道によると「専門学科や部活動の頑張りなど、学力以外を特色化選抜に取り入れ」(中山会長)るとされていますが、これ以上のものは明らかにされていません。(今後の協議内容、県教委による具体化になるものでしょうか)

 ここで説明されるB案の特色化選抜では、部活動や芸術などの技能、専門学科への関心などで、受検生全体から見れば、一部の生徒だけが2校受検可能という恩恵を被ることになり、多くの生徒にとってみれば、不公平感が増してしまうということになります。ある部活動で秀でた技能を持つ生徒は、特色化選抜でA校、一般選抜でB校を受検できる一方、普通科志望で勤勉だがごく平凡な生徒は、一般選抜で1校だけしか受検できないということは、これまで話題とされてきた「受検機会」という点から考えても、不備であると考えます。

 また、B案、C案ともに、学力検査が省かれていますが、高等学校が学校である以上、高校卒業後の進路を切り開いていく学力を備えているかどうかを見るという点でも、入試で学力検査を実施すべきだと思います。本人にとっても、最後まで学習を深めるという姿勢を保つことができ、進学後の学習にとっても有用であると考えます。

 現行の前期選抜においても、総合問題、基礎力検査を行わない学校は、103校中29校であります。区分ⅡやⅢを設けている学校においても、実施する学校は30校、実施しない学校は14校であり、学力検査を実施しない高校の方が少ないのが実状です。つまり、現制度においても、学力検査に相当するものを実施する方が多数なのだということです。この流れは、前期選抜が始まって以来、強まってきています。そこへ、特色化選抜は学力検査を実施しないということをシステムとして持ち込むことは、この流れに逆行することになります。

3 改善案について
 では、私たちの考える改善案について述べます。

 ポイントは、

① 中学校までの教育活動を通して培ってきた「学び」と「生きる力」を大切にする。

② 国連「子どもの権利委員会」の勧告(04年1月30日)に従い、極度に競争的な制度とならないようにする。

③ どの生徒にとっても不公平感を与えない制度とする。

ということです。

 具体的には、中間まとめのひとつとして挙げられている「C案の関連案として、特色化選抜を独立した選抜として実施せず」(しない)方法で、一般選抜の中で専門性、芸術・運動技能などを判断する選考的段階を設ける方法を提案します。当然学力検査は全員が受け、調査書、面接、作文、実技検査などを選抜資料とするものです。イメージとしては、一般選抜の中で、現前期選抜の区分Ⅰ、Ⅱを作って選考するということです。

 その他、今後の協議内容に関連して、5つの要望を述べます。

 まず第1は、学校間格差、地域間格差の拡大を防ぐため、学区は全県一学区ではなく、せめて隣接学区までとしたい。

 第2は、学力検査問題は、難易を変え、学校ごとの選択制を導入するのではなく、現在の後期選抜と同様、県共通のものとする。選択制を導入すれば、そのことで学校間格差の固定化につながる恐れが大きい。

 第3は、選考段階を、生徒、保護者にわかりやすいものにしてほしい。現行の3段階も、具体的には説明しにくい面がある。また、制度変更に当たっては、県教委が責任を持って丁寧に説明してほしい。

 第4は、再募集にあたり、現在併願合格した私立高校の入学辞退をしなくてはならない現状を見直してほしい。

 第5は、中学校の卒業式への影響を少なくするため、一般選抜合格発表の時期は、3月10日前後で調整してほしい。05年は、卒業式前々日が発表となり、不合格者の対応に苦労があった。

 以上5点を要望し、意見陳述を終わります。 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。