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東日本大震災ニュース第12号 文科省交渉 [応援してます 東北・関東]

被災地の子どもと教職員へ、学校と教育の復興へ、全国から支援と激励を!


東日本大震災支援ニュース第12号


全教・教組共闘 東日本大震災対策本部

2011年5月2日(月)



全教が教育活動の再開に向けて文部科学省交渉


宮城高の代表も参加、翌日に被災地への教職員加配424人を措置


全教は、4月14 日に提出した「東日本大震災被災に対する支援と教育活動の再開に向けての要請書」にもとづき、4月27 日、文部科学省との交渉を実施しました。交渉には、全教から加門副委員長(日高教委員長)、長尾副委員長、磯崎副委員長、今谷書記長、中村書記次長、土方中央執行委員、全国私教連から増田副委員長(東京私教連書記長)、宮城高教組から野中書記長が参加しました。


文科省からは、要請の重点事項に設定した項目に対応して、財務課:定数企画係、修学支援室、私学部私学助成課;助成係、文教施設部施設企画課;防災推進室:災害復旧係長、児童生徒課:指導調査係長などの係長等が参加し、説明するとともに質問に答えました。


関係者の奮闘に敬意 -長尾副委員長が被災地状況にふれてあいさつ


冒頭、長尾副委員長があいさつに立ち、「学校と教育活動の再開に向けた不眠不休の奮闘に敬意を表する」と強調するとともに、自らも被災地を訪れて接した現地の状況を語りながら、「子どもたちの最善の利益と学ぶ権利の保障のためにともに知恵と力を尽くしていきたい」との全教の立場を表明しました。

重点課題に設定した5項目について文部科学省が回答


1.子どもたちの安否確認をはじめ、被災した子どもたちを守り、学校の再開に向けた施策を充実させること。
(2)現地の教育行政機能の回復と教育活動再開への支援を具体化させるための人的措置を講じること。被災した子どもと学校を支えるために、被災校、被災児童・生徒の通学校及び兼務発令校に対する教職員加配措置を講じ、その人数および配置時期を早急に示すこと。また、教育行政実務に習熟した各地の教育委員会職員の積極的派遣を促進すること。

⇒【文科省】4月15 日の大臣談話では、「要望内容が具体化した教育委員会について、その要望を踏まえ、4月中にも加配定数の追加内示を行う」としており、最終的な調整作業を行っている。また、市長会や町村会については総務省から、文部科学省からは都道府県教委、政令市教委に対し被災地の情報を提供し、学校の教職員をはじめ、教育委員会事務局職員やカウンセラーなどの派遣を要請している。




(4)被災した生徒への学費の全額減免など、国として特別な措置を講じること。また、返還義務のない特別奨学金(仮称)の創設など就学支援と予算確保に万全を尽くすこと。その際、一過性の支援ではなく継続的な支援によって教育を受ける権利が保障されるよう必要な予算措置を講じること。



⇒【文科省】被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金を第一次補正予算案に計上しているところであり、今回の震災によって、私立学校の生徒等が就学を断念することのないよう引き続き適切に対応していきたい。
また、今回新たな交付金を設けている。この交付金は、幼稚園から高校生、特別支援学校の児童・生徒などすべて含め、段階に応じて支援を行っていくためのもの。その中に奨学金もある。要望の給付型奨学金を盛り込むことはできていないが、被災した方への奨学金については、全額交付税措置をする(国費で対応する)ものである。(高校生への)奨学金については各都道府県の事業であるが、貸与要件の緩和(保証人をなくすなど)、貸与額の増額、返還のしくみなど柔軟に対応していただくなど、より手厚い就学支援となる方向で検討している。



(11)流失校舎など学校施設の復旧に対する財政支援策を国の責任で講じること。全壊・半壊・部分壊したすべての私学の校舎について、再建・修復・補強に対して、阪神・淡路大震災時に適用した実質3分の2の財源補助を今回も適用すること。その際、仮設校舎の建築(リース)についても含めるものとすること。


⇒【文科省】公立学校については、公立学校施設災害復旧費国庫負担法にもとづき3 分の2 を国が負担するしくみとなっている。今回激甚災害指定を受けているので、地方の財政力に応じてさらにかさ上げされることになる。各地方自治体よりの災害復旧の申請にもとづいて、国の現地調査を行うことになるが、早く復旧したいというところにおいては、国の調査を待たずに早期に復旧していただいて、あとで検査をするということもできるようにしている。なるべく早く学校を再開できるように支援をしていきたい。
私立学校について、私立学校施設災害復旧費補助として2分の1 以内補助を行うことができるとなっている。平成23年度の補正予算としては、施設災害復旧費として643億円、教育研究活動復旧費補助212億円、仮設校舎の建設について今回の対象となるよう財務当局と調整中である。



3.自らも被災した教職員の現状を把握し、それぞれの事情に対応した具体的な支援策を講じること。

(1)住居の滅失、家族の被災、原発被災地域居住など甚大な被害を受けた教職員の実態をていねいに把握し、それぞれの個別事情に応じた支援策を講じるとともに、被災状況に応じた人事上の配慮を行うなど具体的、個別的な対処を徹底させること。



⇒【文科省】職種を問わず、自宅の復旧作業などについて公務に支障のない範囲で職務専念義務を免除することを3月15日付で通知している。国家公務員のボランティア休暇について、被災地や被災者を受け入れている地域において物資の配布や復旧等のボランティアをする場合については、7日に延長していることについて、都道府県にも周知している。



6.高校卒業生等に対する内定取り消しについて、労働局等関係機関との連携を強化し、企業、経済団体への強力な要請を行うなど事態の解決に向けた対策を実施すること。


⇒【文科省】文科大臣、厚労大臣の連名で258中央経済団体などに要請。震災の影響を受けた生徒を積極的に採用するよう要請している。厚労省の相談窓口や支援策についても周知している。厚労省と連携して、被災した学生・生徒が首都圏において就職活動を行うための宿泊施設について、無償提供することにしている。


被災地の実情に対応した加配教職員を早急に配置せよ

被災地の実情に対応した加配について、一日も早い措置を求めたのに対し、文科省は「時期や人数などの確認をしているところ。配置も確定していない」と述べました。


宮城高教組・野中書記長は、「被災した学校も連休明けから授業が始まるが、他の施設に1時間以上もかけて移動しなければならない学校もあるが、こういうところに加配がされていない。小中学校では、確定待ちで配置が1ヶ月も2ヶ月も遅れ、先生たちの疲労は限界にきている。文科省が直接被災地の状況を把握して対応していただきたい。このままだと、今年の夏から秋にかけて先生たちの健康状態が心配、こうした事態を見据えて対応すべきだ」と訴えました。


交渉では、被災地においては「学級編成は、3月11 日時点の児童・生徒数にもとづく学級編成と教職員配置が行われている」「被災地から転校したり、避難している児童・生徒については、通常の、例えば81 人になった場合については3学級対応になっている」ことが確認されました。


被災者分は全額国庫、都道府県の制度設計で柔軟対応を

甚大な被害への救援策として実施される奨学金について「被災者に返済を求めるのはおかしいのではないか」と指摘したことに対して、


文科省は「2年連続で給付型奨学金の予算要求を行った」ことにも言及しながら、「都道府県の事業となる、しくみの作り方で、柔軟に対応してもらえればと考えている。被災者の分は、全額国庫負担なので手持ちの資金は必要でないので、そういうしくみは作りやすいのではないか」と回答しました。


返還猶予の拡大などの制度の工夫によって実質的に給付型に踏み出す方向を示したものといえます。被災地を中心に、柔軟な制度設計を求めるとりくみが重要になります。


校舎流失などに対応する施設災害復旧費補助の公私格差の是正を求めたのに対し、

文科省は「激甚法の中で2 分の1と定められている。ただ、教育研究費については、212億円計上しているのでご理解を」と回答。阪神・淡路大震災の際の措置にもふれ、「経常費補助の中でプラス復旧用に措置した」と述べ、校舎復旧などへの活用を示唆しました。


内定取り消しへの対応強化を

被災した教職員の実態に即した具体的な支援策を

宮城高教組から、高校卒業生などに対する就職内定取り消しについて、「学校によっては半数以上が内定取り消しや自宅待機となっている。卒業したけれども路頭に迷っている生徒もたくさんいる。具体的な雇用措置をお願いしたい」と要望したことに対し、


文科省は「各自治体の雇用促進策など今後とも厚労省とも連携して情報提供に努めていきたい」と回答。


さらに、「子どもたちが安心・安全に通学できるようスクールバスなどお願いしたい。また、教職員も多くが車を流出して通勤が困難になっている。40 ㎞、50 ㎞の通勤も1000人を超えており、切実な問題だ。財政的支援を考えて欲しい」と切実な要求を訴えました。



最後に全教・今谷書記長が「避難場所から通勤している教職員など、一人一人が置かれている実態から出発して対策を立てていただきたい。提出した要請書では、今日議論ができた課題のほかにも多
くの要求を出している。ぜひ、検討をお願いしたい」と強調し、交渉を終えました。


交渉翌日に文科省が宮城・岩手など4県の加配措置を発表


文科省は、交渉翌日、被災地となっている岩手、宮城、茨城、新潟の各県に対する加配措置について以下の通り発表しました。


岩手県 小学校78  中学校56  小計134  高校21


宮城県 小学校134(10) 中学校78(12) 特別支援学校4
  小計216(22)     高校20


茨城県 小学校11(1) 中学校12(3)  小計23(4)


新潟県 小学校6     中学校4            小計10



合 計 小学校229(11)  中学校150(15) 特別支援学校4
          小計383(26) 高校41
*( )は、養護教諭の加配で、内数。



【加配措置が必要な事由】
1. 校舎等学校施設の損傷が激しく、当該学校の児童生徒が複数の施設に分散しており、教師による手厚い巡回指導等が必要であること。



2. 家族や住居を失い、厳しい家庭環境に置かれている児童生徒が相当数就学しており、家族(親族)や福祉施設などの関係行政機関との連携・相談・確認等の業務が必要であること。



3. 今回の被災により、心身の健康の回復のための特別の指導を必要とする児童生徒が相当数就学しており、また学習の遅れを取り戻すために個別の指導が必要であること。

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