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鳥居さんの公務災害認定を求める裁判 最高裁も公務災害認める [教職員の労働安全衛生]

鳥居建仁先生公務災害認定訴訟最高裁勝訴


弁 護 団 声 明


                 2015年3月3日    鳥居建仁先生弁護団 
                        
                        
 2015年2月26日,最高裁判所第一小法廷(山浦善樹裁判長)は,鳥居建仁先生の公務外認定処分取消請求訴訟について,地方公務員災害補償基金の上告を棄却し,上告受理申立を受理しない決定をした。


 2002年9月13日に鳥居先生が公務の最中に倒れてから実に12年半の時を経て,公務災害が認められることとなった。


 一審判決は,鳥居先生のあまりにも過酷な勤務実態を直視した上,公務の質的量的過重性を認め,「もやもや病」についても,たとえ基礎疾患を有しない健康な人であっても脳出血を発症させるおそれのある程度の質的及び量的な過重性があったとして,原告完全勝訴の判決を言い渡した。


 一審判決においては,鳥居先生が従事した職務が公務ではなく「ボランティア」であるとする基金側の主張,鳥居先生の脳出血が「もやもや病」の「自然経過」によるものであるとする基金側の主張は完全に退けられた。


 基金側は,控訴審において,鳥居先生の勤務実態を全く知らない教員たちの陳述書を膨大に提出し,「自分たちが楽をしていたから鳥居先生も楽をしていたはずだ」とでも言わんばかりの立証に明け暮れた。「もやもや」病についても基金側の立証は一審以上に薄弱なものでしかなかった。


 一方で鳥居先生の弁護団は,実際に鳥居先生の仕事をその目で見てきた元同僚,元生徒達,元生徒の母親の生の言葉によって,鳥居先生の過酷な勤務実態を一審の時以上に明らかにしてきた。もやもや病についても,主張と立証を補充し,基金側の主張の誤りを明確にした。
 

 控訴審判決が基金側の控訴を棄却したこと,最高裁が上告を棄却し上告不受理としたことは,極めて常識的な判断である。


 また,第一審判決の「教育職員が所定勤務時間内に職務遂行の時間が得られなかったため,その勤務時間内に職務を終えられず,やむを得ずその職務を勤務時間外に遂行しなければならなかったときは,勤務時間外に勤務を命ずる旨の個別的な指揮命令がなかったとしても,それが社会通念上必要と認められるものである限り,包括的な職務命令に基づいた勤務時間外の職務遂行と認められ」るとした,常識的ではあるが画期的な判示は,高裁で承認され,ついに最高裁においても維持された。


 この判決が社会に対し,教職員の過酷な勤務を是正する一石を投じることを願ってやまない。

                            以上



資料(再掲)

2012年10月26日鳥居裁判 名古屋高裁 勝利判決


 10/26鳥居裁判の高裁判決は基金側の控訴を棄却するという勝利判決でした。名古屋地裁で勝利し、さらに地裁判決を上回る画期的な判決です。時間外の勤務について、校長の「包括的職務命令」をハッキリ言明しています。
 鳥居さんは、豊橋市の中学校教員でしたが、長時間労働のために倒れ、障害を負ってしまいました。地方公務員災害補償基金(基金)は、例によって、現場感覚では考えられない観点で、「公務外」「持病によるもの」などと主張してきました。それに対する痛打です。
 早速、「上告するな」の要請FAX運動を行ってきました。しかし、残念ながらというか、許せないというか、基金本部は上告してしまいました。またこれから裁判のたたかいが続きます。鳥居さんや周りの人たちの苦労、苦しみをどう思っているのでしょうか!

名古屋高裁判決の意義
 判決内容ですが,次のような点で大きな成果がありました。

 「校長の包括的な職務命令」
○ 学校祭のお化け屋敷準備について
  「少なくとも時間外に行った学校祭の準備行為については公務と認めることはできない」という基金の主張に対して

  「被控訴人の学校事務等による負担と陸上部の指導に要する時間からすれば,上記準備のための時間が勤務時間外に及んでいたこともやむを得ない状況にあった」として,「被控訴人の上記準備行為についても校長の包括的な勤務命令の及んでいる物と認められ」としています。つまり,陸上部などの仕事があったら,学校祭の準備が遅くなり,これも包括的な勤務命令だとしています。(判決4ページ)

○ 学校祭における生徒指導や警備について,
  基金側は,「学校長の明示的,黙示的命令によるものではなく,教職員の有志が,慣例もあって,自主的,自発的,創造的な活動として行っていたもの」と主張しています。

  しかし判決は「学校としても,当然,その要否・内容を検討し,それが不要というのであれば本年度は実施しないと認めるべきであり,校長等において夜警の実施を事前に承知しながら,そのような措置を講じた形跡は認められないのであるから,なお実施の必要性のある職務と判断していたものと解される」「夜警とそのための泊まり込みについても校長の包括的な職務命令の及んでいるものとして認められ」として,職務命令がなくとも,例年実施されていた夜警などについてやめろと言わなかったのだから包括的な職務命令だと認めています。(判決4ページ)

○ 時間外労働について地域クラブでの活動時間(陸上部顧問として関わらざるを得なかった)を含めないものの( )を使って表示していて,影響を認めていること。
 つまり、校長から直接「命令」(明示的命令)がなくても、実施の必要性のある職務であれば、「黙示の命令」として判断できる=公務・校務に就いていると判断できるということです。これを「包括的な職務命令」としています。
 「先生たちが、好きで遅くまで残ってるんだ」なんて言えない、少なくとも、災害があったら、補償すべきだと結論づけているのです。


 たとえ持病があっても、大変な職務で悪化させたのだ
○ もやもや病(鳥居さんの持病)についても,基金側の医師の意見を採用せず,「認定基準を超える労働時間の労働をしていた場合にもやもや血管が破綻しやすくなる」などと認めています。(判決12ページ)

○ 京都の超勤裁判最高裁判決(敗訴)については「教育職員が従事した勤務時間外の勤務が校務と言えるか否かを判断したものではないから,控訴の主張はその前提において採用できない」と,採用していません。(判決3ページ)京都超勤 裁判は、教職員の時間外労働に対し、働かせすぎで京都市教委や校長に「安全配慮義務」の違反があったことを追求したものです。京都地裁、大阪高裁で勝訴したものの、最高裁は2011年7月「校長が知らなかった。」「教職員が自主的・自発的に仕事をしていた」「実際に健康壊していない」などの理由で、却下しました。これ自体不当な判決です。ただこの場合の争点は、管理職に「安全配慮義務違反」があったかどうかが問われたものです。逆に言うと、今回の名古屋高裁判決は、事実上一般的にも、「教育職員が従事した勤務時間外の勤務」が校務と言えることがあると言っているのと同じです。

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