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実効ある措置を 教職員の長時間過密労働解消のため [教職員の勤務時間]

【全教談話】


教員勤務実態調査の集計の発表にあたって


教職員のいのちと健康を守り、子どもたちの笑顔輝く学校づくりのために
実効ある長時間過密労働解消策を求めます


2017年5月8日
全日本教職員組合(全教)
書記長小畑雅子


 文部科学省は、2016年10月~11月に実施した教員勤務実態調査の集計結果(速報値)(以下「調査」)を公表しました。全国から抽出した小学校397校、中学校399校の10,687人からの回答を集計したものです。


教諭の1日当たりの学内総労働時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分であり、所定内労働時間を大きく上回っています。2006年の前回調査と比べて、小学校の平日で43分、土日で49分、中学校の平日で32分、土日で1時間49分も増加していることが分かりました。


1週間当たりの学内総勤務時間数が60時間以上と答えた人は、小学校で33.5%、中学校で57.6%にのぼります。週60時間以上の勤務は、1か月あたりに換算すると、厚労省の過労死ライン80時間を超える時間外勤務をしていることを示しています。


この間、文科省は、業務改善や「チーム学校」による改善を言ってきましたが、そうした政策では、長時間労働の解消につながらないことは、明確です。「調査」を実施した文科省は、給特法や労働安全衛生法に照らして違法な教員の勤務実態を真摯に受け止めるべきです。教職員のいのちと健康を守るべき文部行政の責任官庁として、実効ある改善策を早急に実施することを強く要求するものです。


 加速化する長時間労働の背景には、安倍「教育再生」のもとですすむ、学力テスト体制による過度な競争主義や、管理と統制の教育があります。


「調査」では、業務ごとの勤務時間について調査をしています。


1日の学内勤務時間で、この10年間で増加が顕著なのは、小学校では授業27分、学年・学級経営10分、中学校では授業15分、授業準備15分、成績処理13分、学年・学級経営11分となっています。


2008年の学習指導要領の改訂で、1週当たりの授業時数が増えたにもかかわらず、教職員定数改善が行われなかったことが反映しています。


また、臨時・非常勤教職員の多用化でこの間広がっている「教育に穴があく」状況も、拍車をかけています。35人学級の拡充を含めて教職員定数の抜本的改善、必要な教職員を正規で配置することなしには、問題の解決にはなりません。


 さらに、土日については、中学校で部活動にあたる時間が1時間4分も増加しています。長時間労働の大きな要因となっている過熱する部活動について、抜本的に見直すことが求められています。


 教職員の労働条件は、子どもたちにとっての学習権の保障につながる重要な問題です。


ILO/UNESCO「教員の地位に関する勧告」は、「教員の労働条件は、効果的な学習を最もよく促進し、教員がその職業的任務に専念できるものでなければならない」(8項)、「教員は価値ある専門家であるから、教員の仕事は、教員の時間と労力が浪費されないように組織され援助されなければならない」(85項)と謳っています。


全教は、2012年度に実施した勤務実態調査の結果から、この観点にもとづいて、「日本における『教員の労働問題』」について、2014年1月にCEARTに申し立てをおこないました。


「教員の専門職性を担保するために、子どもたちと向き合う時間の確保」を求めた全教に対して、文科省は、「教員の過度に多忙なスケジュールを廃止し、子どもたちと触れ合うことが重要であると考えている」としながら、給特法を根拠に教員に対する残業命令は限定されており、地方教育委員会もこの基準を守っているので、「全教の主張は誤解や事実誤認が含まれている」とした反論をCEARTに提出しました。しかし、今回の調査によって、教職員の過酷な勤務実態に向き合わないこうした文科省の姿勢こそが改められるべきであることが明らかになりました。


 子どもたちの笑顔輝く学校づくりのためには、教職員が笑顔で教育活動をすすめられる職場環境が重要です。全教は、長時間過密労働の解消のために、小・中・高すべての学年での35人学級の実現を含めた教職員定数の抜本的改善、教員1人当たりの授業時数の上限設定、長時間労働の歯止めとなっていない給特法の改正などを求めて、教職員、父母・保護者、国民の皆さんとともに、さらに運動を広げていきます。

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