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10年度文部科学省予算案の閣議決定にあたって [全教の活動]

【全教声明】2010/01/07 
『20』

2010年 1月7日 全日本教職員組合中央執行委員会

1.政府は、2009年12月25日、2010年度政府予算案の閣議決定を行いました。9月の総選挙の結果を受けて発足した民主党を中心とする新政権のもとで注目された予算でした。国民生活をめぐる厳しい状況も反映して、総額92兆2992億円、公債費などを除く一般歳出でも53兆円となり、当初予算案としてはいずれも史上最高規模となっています。

 このもとで、文部科学省予算は、5兆5926億円と前年比5.9%増、伸び率はここ30年間で最大規模になったとされています。「OECD平均並みの教育費確保」の目標からすれば、不十分ですが、教育関係予算の増を求めてきた私たちの運動を一定反映させたものといえます。
 予算の全体をみたとき、子ども手当の創設や公立高校授業料無償化に踏み出すなど積極面とともに、税収減でありながら軍事費や大企業、大資産家への優遇措置には手をつけず、特定扶養控除の縮小など庶民増税で補うなどの弱点を抱えた予算編成となり、歳入の約半分にあたる44兆 3030億円を新規国債の発行に頼るなど大きな課題を残すものとなっています。
 
2.多くの父母・国民、教職員の運動と世論を反映して、政府予算案には、公立高校授業料について「授業料を徴収しない」方法で無償化することが盛り込まれました。また私学に対する就学支援金の創設が盛り込まれたことも、「受益者負担による高校教育」を推し進めてきた自民党政治の流れを大きく切り替える貴重な到達となりました。
 しかし2段階の取得区分を設け、いっそうの事務煩雑化が懸念されるとともに「私学も無償に」の声に応えなかったことは、課題を残しました。

 一方、私学助成に関わっては経常費助成費等補助が、前年度比40億円減額されており、私学経営と授業料関連への影響が懸念されます。文部科学大臣が、国際人権A規約第13条2項(b)(c)の留保撤回を表明している条件を生かし、すべての子どもたちの教育を受ける権利を保障する立場から、学校設置者を問わずに授業料無償化、授業料からさらに学校納付金(学費)・教育費の無償化に向けてのとりくみをいっそう強化する必要があります。
 当面、特定扶養控除の縮小で負担増となる家庭への救済措置を求めるものです。また制度創設が見送られた給付制奨学金については、文部科学省は「09年度補正予算における『高校生就学支援基金』の対象事業に追加する方向」(私立高校の無償化施策パッケージ)としており、高校教育を希望するすべての生徒が経済的理由で学ぶことができない事態をつくらない制度設計が求められます。
 
3.「事業仕分け」で、国と地方の役割をめぐって議論になった義務教育費国庫負担金制度は、経費の国の負担割合3分の1は堅持されましたが、今後も削減を許さないとりくみが重要です。

 教職員定数に関わっては、概算要求における5500人には達しなかったものの4200人増員が予算計上されました。今年度の児童・生徒数の減少に伴う「自然減」3900人に対して、わずか300人とはいえ増員となりました。これは7年ぶりのことです。
 また概算要求で盛り込まれていた主幹教諭の配置による「マネジメント機能強化策」が全面削除されました。
 特別支援教育の充実への1778人は、子どもと学級の急増により現場から強く望まれているものであり、今後も計画的な増員が必要です。
 引き続き、新たな教職員定数改善計画の策定をめざす運動を強化し、国の責任による30人学級、教職員定数増などの実現を迫ることが重要課題になります。
 
4.概算要求でなかった「メリハリある教員給与」を口実にした義務教育等教員特別手当及び給料の調整額のさらなる減額については、予算案では2011年1月からのさらなる減額分が想定され、計上されています。いっそうの教員給与引き下げを予算の圧力によって行おうとする前政権同様の手法であり、断じて容認できません。
 
5.改悪教育基本法の具体化をめざす動きに一定の歯止めがかかるとともに、なお、そのねらいをおしすすめようとする予算案になっているのも特徴です。
 国民的な批判の高まりを受けて、「事業仕分け」でも厳しい批判が集中した全国一斉学力テストについては、概算要求で強調された40%の抽出率がさらに圧縮され約30%とされ、学校ごとの抽出としました。さらに、文科省は「抽出対象外となっても学校の設置者が希望すれば調査を利用できるようにする」とも説明しています。文部科学省は、すでに学校設置者には「希望しない」という選択を事実上できないような調査を強行しており、「限りなく悉皆に近い調査」を志向していることは明らかです。予算を減額しながら、この立場を貫けば、地方に財政転化しながら、非教育的な学力テストを継続することになります。全国の実態を告発しながら、全国一斉学力テストの中止、実施の押しつけを許さないとりくみを強めることが求められます。
 教員免許更新制に関わっては、「免許制度の抜本的な見直しを含め、教員の資質向上策について総合的な調査・検討を行う」予算(2億2300万円)が計上されるとともに、免許更新講習に伴う山間地離島へき地等講習開設事業として2億4600万円が計上されています。これは、初年度の更新講習に対応する予算と比べると1/5に圧縮されています。教員免許更新制は、教員養成や免許制度の見直しと連動させず、ただちに廃止させ、2010年度から少なくとも免許失効に結びつくような講習のあり方は抜本的に見直すことが求められます。
 問題視されていた「心のノート」をWEB掲載などにし、道徳教育推進の予算を前年度予算から6億3000万円削ったことは、父母・教職員の願いに応えるものです。
 
6.全教は、この間のとりくみによって実現した貴重な成果を確信にしつつ、今後の予算審議に国民の要求を反映させ、なお山積する教育課題の解決に向けて全力をあげるとともに、教育政策の抜本的転換をめざす運動をさらに前進させる決意です。
 
以  上

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国家公務員制度改革推進本部に「意見書」を提出して交渉 [全教の活動]

【全教の交渉】2009/12/07

国家公務員制度改革推進本部に「意見書」を提出して交渉

 全教は、12月7日、非現業公務員の労働協約締結権の回復を検討している国家公務員制度改革推進本部に対して、全教常任弁護団が作成した「意見書」を提出し、趣旨を説明するとともに教育公務員における労働協約締結権のあり方について交渉を持ちました。

 対応したのは、国家公務員制度改革推進本部の渕上俊則審議官と駒崎源喜参事官で、全教からは北村佳久書記長と蟹澤昭三中央執行委員、全労連から公務員制度改革闘争本部の黒田健司事務局長が参加しました。

 北村書記長から、「意見書」の内容について、
① 憲法および「教員の地位に関する勧告」からみても教育公務員に対して労働基本権の回復が要請されており、教育にとってもそれが重要であること、

② 交渉事項はすべて協約締結事項とするとともに、管理運営事項は法定せず、教育政策に関わる労使協議を明確に位置づけること、

③ 重層的で複雑な労使関係が介在している教育公務員については、中央交渉、自治体交渉と協約締結、さらに学校管理における多くの権限を持っている学校長との職場交渉と協約締結が保障され、各段階における教育政策に関わる労使協議を明確に位置づけること、

④ 少数組合の排除をおこなわず、それぞれの組合に団体交渉権と協約締結権を保障し、とりわけ団体交渉が不調の場合の調整システムにおいて少数組合の仲裁手続への参加と意見表明の機会を保障すること、などを中心に要請しました。

 渕上審議官は、「意見書」の中身が整理されており参考になる、としたうえで「教育公務員には勤務条件と任命権の錯そうがありきちんと整理すべきと考えており、その点で問題意識は共有している」「過半数組織されていない職場が多い中で、どの組合との合意が全体を決めるのか、どういう仲裁制度かは悩ましいが、先着主義は適当ではない。ほぼ同時に同じような内容で仲裁の結論が得られるように、限られたスケジュールの中で統一的な勤務条件部分をどう決めていくかは大事だと思っている」と回答し、現時点で少数組合を排除する考えのないことを明らかにしました。

 さらに都道府県における予算決定での知事と教育委員会との関係、新政権が「地域主権」といっている中での中央からの義務づけの問題、中央・都道府県・市区町村のそれぞれのレベルでの交渉事項の振り分けの問題などにおいて教育公務員は非常に特殊だとして、今後の検討になることを明らかにしました。国家公務員制度改革推進本部の中にある労使制度検討委員会は、15日ごろ最終的な報告をだすことになっていますが、教育公務員に関する問題については、今後とも全教と誠実に協議を継続していくことを確認しました。
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11・18中央行動 要請に行ってきました [全教の活動]


貧困と格差解消、不況打開、30人学級実現を

 全労連・春闘共闘・全教が中央行動


職場・地域の切実な要求かかげて

 全労連・国民春闘共闘・全労連民間部会・公務部会・交運共闘は11月18日、09秋季年末闘争での切実な要求の実現をめざし、中央行動を実施しました。行動には全国各地から2500人が参加し、中央総決起集会、分野別の集会・行動の実施、省庁・議員要請行動など職場・地域の要求をかかげた精力的な行動が終日展開されました。
09.11.8全教中央行動①.JPG

30人学級実現めざし要請行動-全教・教組共闘-

 午後の行動に先立ち全教・教組共闘は、18日午前、30人学級実現など5大重点要求を掲げて、独自の行動を実施しました。

 5大重点要求は、
①30人学級実現、教職員の定数増、
②高校授業料の無償化、
③給付制奨学金の創設と就学援助制度の拡充、
④教員免許更新制の廃止、
⑤全国一斉学力テストの中止。

 全国教育文化会館で行われた意思統一集会で山口隆全教中央執行委員長・教組共闘代表幹事は、新政権のもとでの5大重点要求の実現をめざす「秋の大運動」の重要性を強調しました。
参加者は校長会、教育委員会連合会、全国知事会、全国町村会や政党などにたいし、教育全国署名の請願項目、5大重点要求の実現への協力を要請し、あわせて懇談をおこないました。対応した団体からは、「要請内容は私たちの思いといっしょだ。それぞれの立場でがんばりましょう」などの意見交換がされました。

09.11.8全教中央行動②.JPG


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横浜市教委の「つくる会」教科書採択に抗議! [全教の活動]

【全教談話】2009/08/05 
『横浜市教育委員会の「つくる会」主導の歴史教科書採択に抗議し、侵略戦争美化の教科書を子どもたちに手渡さないとりくみの強化を』

2009年 8月 5日 全日本教職員組合 教育文化局長 今谷 賢二

1.横浜市教育委員会は、8月4日、市内18区のうち8区の市立中学校で2010年4月から使う歴史教科書について、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーの主導のもとに編集された自由社版の教科書を採択する決定を行いました。
 自由社版教科書は、全国的に展開された「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書採択運動にもかかわらず、きわめて少数の自治体でしか採択されていない扶桑社版教科書の「複写」教科書とさえ称されるものです。この点では、自由社版教科書は扶桑社版の問題点をそのまま引き継いでいるうえに、戦争の美化・正当化という特徴をいっそう色濃くしています。さらに、「複写」教科書の問題は、その著作権をめぐる裁判ともなっており、子どもや教育そっちのけの争いが続けられている点も見逃せません。
 だからこそ、自由社版教科書の採択は全国で初めてのものであり、今回の決定による8区・71校では、学年あたり1万3000人を超える中学生に使用させることを意味し、このような暴挙は許されるものではありません。多くの父母・市民の反対の声、韓国をはじめアジアの人々や団体からの懸念の声が広がる中で、これらの声を聞こうともせずに、採択を強行した横浜市教育委員会の暴挙に、厳重なる抗議の意思を表明し、採択の撤回、やり直しを強く求めます。
 
2.今期の教科書採択は、改訂学習指導要領への移行期にあり、2年間の限定された使用期間ということもあり、自由社版1社の教科書について検定が行われ、いったんは516カ所の欠陥を指摘され、不合格とされた経緯を持っています。
 再提出時も130カ所を超える検定意見が付された教科書であり、基本的な内容への批判とともに、「こんなずさんな教科書を子どもたちに手渡していいのか」といった厳しい声が寄せられてきました。
 教科書は、子どもの発達段階にそって、真理や真実が記述され、どの子にもわかるように十分吟味されて教材化されたものでなければなりません。歴史の真実をゆがめ、侵略戦争を賛美する教科書は、憲法の平和主義・国際協調の原則に背き、教科書として適格性を欠いていると言わなければなりません。
 
 21世紀の未来を生きる子どもたちに求められることは、侵略戦争と植民地支配の歴史に正面から向き合い、こうした過去の過ちを繰り返さず、平和な日本、友好と連帯にあふれた平和な世界をつくっていく主権者として成長していくことです。私たちは、子どもたちが世界に向かって堂々と胸をはって生きていくためにも、歴史の真実をゆがめ、侵略戦争を賛美する教科書の子どもと学校への押しつけを許してはなりません。
 
3.「つくる会」が主導する歴史教科書は、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と記述し、「自存自衛」、「アジア解放の戦争」と記述し、侵略戦争と植民地支配を正当化しています。
 一方、原爆投下による被害の実相やアジア諸国民に与えた多大な加害については、ほとんど記述されていません。戦争を賛美し、「戦争は正しかった」と教えようとしている点がこの教科書の最大の特徴です。
 侵略戦争を肯定、美化するこの教科書の戦争・歴史観は、憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かした学校と教育への願いを踏みにじるものです。私たちは、全国で山場を迎えている今年度の教科書採択において、各教育委員会が、現場教職員の声をふまえ、政治的な圧力に屈することなく、憲法や子どもの権利条約を踏まえた自主的判断にもとづいて決定することを求めます。私たちは、広範な国民のみなさんと共同して、侵略戦争を美化する教科書ではなく、よりよい教科書を子どもたちに手渡すとりくみに全力を尽くす決意です。
 以上


子どもと教科書を考える横浜市民の会 資料より
「戦争賛美」の教科書が2種類も! こんな教科書は選ばないで!

「新しい歴史教科書をつくる会」のもとに作られた2社(「扶桑社」「自由社」)と、その他の中学校歴史教科書を比べてみると・・・。

◆神話の扱い
 実在しない神武天皇の東征神話をたっぷり紹介。神話と歴史を混同してしまいそうな取り上げ方です(扶30、自31)。
 他社は「『古事記』『日本書紀』の神話は、天皇と朝廷がこの国を支配するいわれを説明するための物語である」と正確に記述。

◆民衆の生活や一揆の記述
 幕末~明治の部分で、他社には、開国と民衆生活、世直し、自由民権思想の内容、福島事件や秩父事件などが載っているが2社は無し。

◆史実を歪めてアジアを軽視
 韓国併合は「日本の安全と満州の権益を防衛するために、韓国の併合が必要であると考えた」と正当だったように記述(扶170・自172)。
 「太平洋戦争」を戦前のように「大東亜戦争」と呼称。「自存自衛」ための戦争であり、「アジアの解放」のためでもあったかのように記述。「日本の緒戦の勝利は東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育てた」「日本を解放軍として迎えたインドネシアの人々」と記述するが、アジアへの加害の事実はほとんど触れず(扶204~07・自204~207)。
 他社は「太平洋戦争」の呼称。大東亜共栄圏が虚構であったことやアジアでの被害事実を丁寧に言及。

◆日中戦争
 他社と異なり「盧溝橋で演習していた日本軍に向けて何者かが発砲する事件」と記述しているが、これは日本軍の発表で史実とは確認されていない(扶199、自199)。

◆戦争の悲惨さ
 東京大空襲、沖縄戦、原爆など戦争の悲惨さの記述は希薄。いっぽう「よく働き、よく戦った」と国民の戦争協力は賛美(扶208~211・自208~211)。
 他社は、被害者数をあげるなど加害や被害の事実を記述。

◆昭和天皇
1ページ(自由社は2P)をあてて「国民とともに歩まれた生涯だった」と賛美。開戦の詔勅には触れず。(扶225・自226、227)
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都教委の不当処分取り消し判決!七生養護学校元校長に対しての・・・ [全教の活動]

【全教談話】2009/04/09 
『勝利判決を力に、教育の条理にもとづく子どもたちのための教育を推進しよう!――金崎裁判東京高裁勝利判決について』

2009年 4月 9日 全日本教職員組合 障害児教育部長 杉浦 洋一

1.4月9日、東京高等裁判所第7民事部(大谷裁判長)は、金崎裁判について東京都の控訴を棄却するとの判決を下した。教育への支配・介入が強められる中、教育の条理にもとづき子どもたちのための教育を推進しようと奮闘する全国の教職員を励ます判決である。
 
2.この裁判は、2003年9月、教諭への降任、1カ月の停職という東京都立七生養護学校金崎満元校長への都教委処分の取り消しを求める裁判としてたたかわれた。

 七生養護学校事件は、2003年7月土屋都議の都議会性教育質問に端を発するものである。
 
 2003年3月中教審「教育基本法の見直し」答申、5月「東京都心身障害教育改善検討委員会」の障害児教育の大リストラ方針、それに抗する父母・教職員の大運動が広がり、10月「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」なる都教委10・23通達が出され、このような背景の中で七生養護学校に対する乱暴な攻撃が強行された。
 
3.全教は、七生養護学校への攻撃を教育行政による教育統制、および「特別支援教育」による障害児教育大リストラ推進に向けた意図的処分ととらえ、合同調査団を組織すると共に、金崎裁判、「こころとからだの学習」裁判への全国的支援を続けてきた。
 
4.情緒障害児の実態を踏まえた柔軟な指導体制をとったことを「不適正な学級編制」とし、それを主要な根拠とする金崎元校長への処分であった。

 判決は「被控訴人が不適正な学級編制をしたという事実は認められず、…本件懲戒処分は重きに失し、社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を濫用して発せられた違法なものであり、本件分限処分は、一部根拠のない事実を前提とし、考慮すべきでない事項を考慮して処分事由の有無を判断したもので、重きに失し、裁量権の行使を誤った結果発せられた違法なものである」と明快に断じ、控訴を棄却し、処分の取り消しを求める地裁判決を相当とした。

 さらに判決が、地裁判決を超えて、児童、生徒の実態をふまえた適切な授業形態の工夫や、問題行動や集団不適応が顕著で現行の学級編制や教育課程では教育的対応が十分にできない生徒への柔軟な対応などに対する教育的判断を指摘したことは重要である。
 
5.東京都は今判決を謙虚に受け入れ、上告せずただちに判決に従うよう強く求める。
 
6.今判決を力に、子どもたちの成長・発達のために学校・教職員が責任をもって教育内容と教育課程を創造していくとりくみを一層強めることを、全国の教職員に呼びかける。
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異例の公務員夏季一時金引下げの動きに反対する [全教の活動]

【全教談話】2009/04/06 
*『異例の公務員夏季一時金引下げの動きに反対する』

2009年 4月 6日 全日本教職員組合 書記長 北村 佳久

1.人事院は、本日、突如夏季一時金についての民間調査を4月7日から24日までとりくみ、連休明けにもとりまとめるとの方針を示しました。人事院は、今回の民間調査を、大幅減額が伝えられている民間状況の把握のためであり、一時金引下げを前提にしたものではないとしています。
 しかし、3月29日の日経新聞が「政府・与党は国家公務員の2009年夏のボーナスを減額する方向で検討に入った」と報道し、4月3日には各紙が「自民・公明両党の『国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチーム』(葉梨康弘座長)は2日、国家公務員の6月の期末手当を減らす法律案を了承した」「1割以上は減るのでは」と報道したように、政府・与党による一時金削減の意図が強く働いており、民間調査を実施することが一時金引下げへの第一歩となることは明らかです。異例の民間調査は、ただちに中止すべきです。
 
2.日本の公務員労働者は、労働基本権が制約されているもとで、その代償措置としての人事院勧告制度によって賃金・労働条件が決定されています。このこと自体が国際的には異常なことであり、この間ILOが日本政府に対して公務員の労働基本権を回復するよう勧告してきたことや、昨年ILO・UNESCO共同調査団が日本政府に「管理運営事項」も交渉・協議の対象にすべきとしたのは当然のことです。
 政府・与党の一時金削減の意向を受けた今回の民間調査実施は、人事院が労働基本権制約の代償機関としての自らの役割を否定し、自らつくってきた公務員の賃金決定ルールさえ踏みにじることにつながる重大な問題です。私たちは、政府・与党の動きに無批判に追従する人事院の姿勢を、断じて認めることはできません。
 
3.いま全国でたたかわれている09春闘では、民間企業において大手製造業を中心に一時金の大幅削減が示されていますが、中小企業のほとんどはまだ賃金闘争の真っ最中であり、夏季一時金については連休明けのたたかいになるという状況にあります。
 こうした中で公務員の夏季一時金の引下げ方針が示されるならば、当然、中小企業における夏季一時金闘争は大きな打撃を受け、また、7月に向けて検討される最低賃金の改定作業にも重大な影響を与えることは明らかです。
 
4.公務員の一時金は、前年の冬と当年度の夏における民間支給実態を毎年7月まで調査した上で、8月の人事院勧告に反映されることになっています。したがって、09春闘での結果は、今年の8月の勧告に反映されるべきものです。
 あえて、4月に異例の調査を実施してまで夏季一時金の引下げを強行しようとする政府・与党の思惑は、勧告ルールを無視した公務員賃金引下げの実績づくりという総選挙に向けたきわめて政治的・党略的なものであると同時に、経済不況の結果を労働者に押しつけ、大企業が内部留保を取り崩さずに労働者の雇用破壊と賃下げによって乗り切ろうとしているやり方に手をさしのべるものです。いま必要なのは、子どもたちにも深刻な影響を引き起こしている日本の労働者の貧困問題を改善することです。そのためには、すべての労働者の雇用が守られ、大企業が社会的責任を果たし、内部留保のほんのわずかを取り崩すことで実現できる、すべての労働者の賃上げこそがもとめられています。全教はそのために今後とも奮闘する決意を表明するものです。
 
 
以上

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こころとからだの学習裁判 地裁勝利判決! [全教の活動]

画期的内容を持つ判決受け、教育の自由・創意・責任を守るたたかいを前進させよう 
 「こころとからだの学習」裁判 東京地裁勝利判決について

 2009年 3月12日 全日本教職員組合 障教部部長 杉浦 洋一

1.2003年7月にはじまる、東京都立七生養護学校(当時)の教育内容に対する都議、都教委、産経新聞社などによる不当な介入・支配に対し、29人の教員と2人の保護者が原告となった裁判「こころとからだの学習裁判」(略称、「ここから裁判」)の判決が、3月12日、東京地裁民事第24部において出されました。

2.判決は次のような点で画期的なものとなりました。
 ① 「政治家である(3人の)被告都議らがその政治的な主義、信条に基づき、本件養護学校の性教育に介入・干渉するものであり、本件養護学校における教育の自主性を阻害しこれを歪める危険のある行為として、旧教基法10条1項の『不当な支配』に当たる」

 ② 「被告都議らの視察に同行した被告都教委の職員らには、このような被告都議らによる『不当な支配』から本件養護学校の個々の教員を保護する義務があった」「被告都教委は、上記保護義務に違反したものである」

 ③ 原告らに対する厳重注意の理由とされた授業が、「児童生徒の発達段階を踏まえないものであることが明らかであったとはいえず」 「性教育は、教授法に関する研究の歴史も浅く、創意工夫を重ねながら、実践事例が蓄積されて教授法が発展していく面があり」「いったん、性教育の内容が不適切であるとして教員に対する制裁的取扱いがされれば、それらの教員を萎縮させ、創意工夫による教育実践の開発がされなくなり、性教育の発展が阻害されることにもなりかねない」

 ④ 原告教員らに対して厳重注意をしたなどの、「被告都教委の行為は、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとして、国家賠償法上違法」

3.この判決は、石原都政がこの間すすめてきた乱暴な教育への介入を、司法として断罪するものです。同時に、教育への不当な介入・支配とたたかい子どもと教育を守り続けている教職員、父母、関係者を励ますものです。
  全教は、都教委がこの判決を真摯に受け止め、これまでの教育政策を見直すことを求めます。また都議、都教委らが控訴することなく、 この判決に従うことを要求します。

  七生養護学校への教育介入・教職員攻撃は、都教委の乱暴な教育介入や障害児教育大リストラを推進するための見せしめとしての意図を持って行われました。
  旧教基法10条1項の内容は、日本も批准しているILO・ユネスコ「教員の地位勧告」第63項、第65項にもあたる国際的基準でも あり、教基法が改悪された今日でも今なお生命力を持つものです。また、創意工夫による教育実践の大切さは、障害児教育はもとより、教育全般に言えるものです。
  全教は、日本の教育行政に対してもこの視点の堅持を求めます。

  今回の判決は、一部で原告の訴えを退けたものの、乱暴な教育介入を断罪し、教育の条理に立った教育の創造と、学問の自由・創意・責任にもとづく教員の専門性の確立をすすめるとりくみの武器ともなる画期的なものです。
  全教は、全国の教育関係者がこの判決を生かし、子どもたちが大切にされる教育を推進するために力を合わせることを呼びかけます。
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文科省交渉 全教 [全教の活動]

【全教交渉】2009/03/11 
全教HPより

09春闘要求書にもとづく文科省交渉を実施!
「緊急ホットライン」に寄せられた切実な声を示し、緊急の援助措置を求める!

 全教は、全労連・国民春闘共闘の春闘集中回答指定日にあたる11日、文科省と09春闘要求書にもとづく交渉を行いました。
 
 とりわけ交渉で全教は、昨秋以来の経済悪化から、子どもたちの就・修学は深刻な状況にあり、卒業、入学を目前に控えたいま、「今日中に、これまで滞納している分を払わないと除籍される」「17万円の給料だったが5万円に減った。母子家庭でなんとかやりくりしてきたが、どうしようもない」など、先日開設した「入学金・授業料・教育費 緊急ホットライン」に寄せられた200件を超える切実な相談内容も紹介しながら、財政出動を含めた緊急の対応を強く求めました。
 
 また、4月から施行される教員免許更新制については、地元を含む最寄の会場で受講できなくなる可能性が高いことや、講座を申し込んでも受けられない可能性があることを指摘。多忙な中、多くの時間を費やして講座を探し、手続きをすることは、さらに学校現場の多忙に拍車をかけることになると強調し、「子どもたちの教育に肯定的な影響を与えない」と凍結を強く求めました。
 
 教職員の賃金改善と時間外労働時間の解消などにかかわっては、「超勤縮減の基本は正規教職員の抜本的な定数改善による増員」であり、教職員増を実現するうえで「現行の給与水準を維持しつつ、残業量を明確にして時間外勤務手当制度を導入していくことは大きな意義がある」とし、検討を求めました。変形労働時間制については、「現状のように勤務時間管理がきちんとすすんでいない中で、1年間の変形労働時間制が持ち込まれると、超勤実態を水面下に隠した底抜けの状態になる」とし、「学校現場ではあり得ない制度だ」と撤回するよう強く求めました。
 
 全教からは、米浦委員長、新堰・本田・山口副委員長、東森書記長、北村・吉田書記次長、蟹沢生権局長、中村教財部長が参加。文科省からは、関財務課課長、関崎 児童生徒支援課 課長補佐、山田 教職員課 課長補佐、前谷 健康教育課 課長補佐、藤岡 財務課 課長補佐が対応しました。
 
 以下は、全教の重点要求項目にかかわる文科省の主な回答と全教とのやりとり。
 
 
 
■ 子どもたちの就・修学と、卒業生の就職を保障するために――緊急の援助措置を求める! 
 
 全教は、「子どもたちの就・修学と、卒業生の就職を保障するために」として、「都道府県教委に対し、授業料の減免措置を拡大するよう指導すること。また授業料の滞納については『退学』『出席停止』など行政的処分ではなく、教育的見地から対応するよう指導すること。経済的に困難な家庭の子どもの高校等入学金への緊急補助制度など、こうした家庭を支援する措置を拡充すること」、及び「授業料・給食費・学校納付金などの滞納家庭に対する緊急の公的な援助措置を講じること。また、未納家庭への画一的な対応は行わないこと」を求めました。
 
 このことに対して、文科省(関崎 児童生徒支援課課長補佐)は、「公立高校の授業料減免制度は、管理者である所属県が条例や規則等に定めるもの」であり、内容や基準、授業料や納付手続き、滞納になった場合の措置等についても、設置者である都道府県が定めているものであると述べ、「生徒や保護者に配慮した個別の対応がなされるように期待しているところだ」との消極的な姿勢を示しました。また高校の奨学金についても、平成17年度に地方移管となり、「県の事情を踏まえ、それぞれの判断で適切に実施されている」とし、文科省としての緊急対応については言及しませんでした。
 
 また、給食費に対する援助措置について、文科省(前谷 学校健康教育課課長補佐)は、「学校給食費については、生活困窮者、要保護者へ市町村が補助するものに対して2分の1を国が補助している」とし、準要保護の家庭への対応については、各設置者できちんと対応するよう会議等で周知しているとの回答にとどまりました。
 
 これらの文科省の回答に対し、山口副委員長は、「入学金・授業料・教育費 緊急ホットライン」に「今日、これまで滞納している分を払わないと除籍される」「17万円の給料だったが5万円に減った。母子家庭でなんとかやりくりしてきたが、どうしようもない」という切実な相談が寄せられていることも示し、「緊急の財政出動が必要だと思うがどうか」と文科省に強く迫りました。
 
 文科省(関崎 児童生徒支援課課長補佐)は、奨学金制度の周知と活用を訴えていると述べ、「緊急の財政出動については、2次補正予算では私学の部分で少しはできている」としました。さらに都道府県に対して、奨学金を前倒しで支給したり、納付期限の猶予などの対応や、緊急に相談窓口を設けて対応することなどについて、必要な通知を出すなど、予算措置なしで今すぐにでもできることへの検討を求めたのに対して、文科省は検討する意志を示しました。
 
 中村教財部長は、都道府県での窓口設置の検討を重ねて求めるとともに、就学援助の問題についてもふれ、就学援助の復活と支給内容も含めた全面的な就学援助の実態についての調査を行うよう求めました。
 
 
■ 学校現場にふさわしい時間外勤務手当制度を!超過勤務を解消に必要な教職員定数増を! 
 
 全教は、「教職員の賃金改善について(教員の給与制度等の改変にあたって)」として、「教職員の長時間過密労働の縮減をすすめるとともに、給特法を改正し、教職調整額の現行4%水準を維持しつつ、労働基準法37条にもとづく学校現場にふさわしい時間外勤務手当制度をつくること」、及び「教職員の労働時間、休日、休暇の改善について」として、「文部科学省の責任で行った教職員の勤務実態調査の結果にもとづき、超過勤務を解消するため、必要な教職員定数増を行うこと。また、『1年間の変形労働時間制』を、制度として導入しないこと」を求めました。
 
 文科省(関 財務課課長)は、「子どもたちの学力向上と規範意識を高めていくためには、教員一人ひとりが子どもに向き合う環境をつくっていくことが重要であると考えている」と述べ、21年度の予算案において、1000人の教職員定数の改善を行うとともに、「退職教員等外部人材活用事業」を倍増の1万4000人拡充し、地域の住民がボランティアとして学校の教育活動を支援する「学校支援地域本部事業」の拡充を盛り込んでいることを示しましたが、教職員定数増については言及することを避けました。
 
 また、「教員の勤務負担の軽減という観点から」として、「業務の精選、適正な校務分掌といったことを、組織的な学校運営がたいへん重要だ」と述べ、「各教育委員会においても具体的な目標を立てて、学校現場の負担軽減をすすめるように指導している」など、こういった様々なことを行いながら、「超過勤務の縮減を行うことが重要だ」との姿勢を示しました。
 
 教職調整額の見直しについては、現在、中央教育審議会の初等中等教育分科会に、学校教職員のあり方、及び教職調整額の見直し等にかかわる作業部会を設けて議論がされていることから、単に給与の問題にとどまらず、学校の組織運営などにも大きな影響を与える教職調整額の見直しについては、「その検討等を踏まえて適切にその見直し、あり方について、検討していく」との回答を行いました。
 
 さらに、この作業部会において1年単位の変形労働時間制についても議論しているとし、「そこでの検討を踏まえて、適切に検討していく」との考えを示しました。
 
 蟹沢生権局長は、教職員の賃金改善と時間外労働時間の解消などにかかわって、「超勤縮減の基本は正規教職員の抜本的な定数改善による増員」であり、教職員増を実現するうえで「現行の給与水準を維持しつつ、残業量を明確にして時間外勤務手当制度を導入していくことは大きな意義がある」とし、検討を求めました。変形労働時間制については、「現状のように勤務時間管理がきちんとすすんでいない中で、1年間の変形労働時間制が持ち込まれると、超勤実態を水面下に隠した底抜けの状態になる」とし、「学校現場ではあり得ない制度だ」と撤回するよう求めました。
 
 
■ 教員免許更新制の09年度からの実施凍結を! 
 
 全教は、「憲法に立脚した民主教育を確立するために」として、「教員免許更新制の09年度からの実施を凍結すること」を求めました。
 
 免許更新制について、文科省(山田 教職員課課長補佐)は、「更新制において重要な更新講習の質を高めていくことにより、この制度が意義あるものとなるようにしていくとともに、その円滑な導入に向けてとりくんでまいりたい」と制度の施行に向けて、粛々と準備をすすめていく意向を表明しました。
 
 山口副委員長は、「文科省は2度に渡って開設講座を発表しているが、総枠で言えば対象教員には満ちていない。〝大丈夫だ〟と文科省は言うが、例えば兵庫県では予定講座がすべて開かれたとしても、約1000人分足らない」とし、それらを含めて、「この制度には根本的欠陥がある」と強調。さらに地元を含む最寄の会場で受講できなくなる可能性が高いこと、講座を申し込んでも受けられない可能性があることを指摘。多忙な中、多くの時間を費やして講座を探し、手続きをすることは、さらに学校現場の多忙に拍車をかけることになり、「これは子どもの教育に対して、決して肯定的影響を与えない」と断じ、「教員免許更新制の実施凍結」へ向けての文科省の英断を強く求めました。
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定期大会での中央執行委員長あいさつ [全教の活動]

【全教大会】2009/02/14~15 
全日本教職員組合
全教第26回定期大会【中央執行委員長あいさつ】
 全教第26回定期大会の開会にあたり、ごあいさつを申し上げます。
 まず初めに、ご多用のなか激励にかけつけてくださいました来賓のみなさんに、心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 私は開会にあたり、4点について所信を述べ、みなさんの討論に資したいと思います。
 
 その第1は、深刻化する「貧困と格差」から子どもたちの教育を受ける権利を守り、進路を保障するとりくみについてです。

 小泉内閣以降、特に強められた「構造改革」推進の政治のもとで、貧困と格差の拡大が急速にすすみました。加えて、昨年秋以降の世界的な経済不況のもとで、大企業による「派遣切り」など労働者の大量解雇、大量失業、生活破壊が大問題になっています。

 この事態は「子どもの貧困」が叫ばれる状況をつくり出し、未来を担う子どもや青年に深刻な影響を及ぼしています。貧困で家庭の経済が崩壊し、安心して学ぶことができない子どもたち、正規雇用の道が閉ざされ、低賃金の非正規雇用でしか働くことができない青年たちの状況が急速に広がっています。お金がないため、食事を与えられない、病気になっても医者にかかれないなど、いまでは子どもたちの生命すら脅かすできごとが報告されるようになっています。また、雇用情勢の悪化を理由とした「内定取り消し」や「求人取り消し」の増大で、青年が社会に出て働くことすら困難になるという状況も生まれています。私はこの機会に改めて、大企業は内部留保の一部をとりくずし雇用の確保と労働条件の改善に努めるなど、子どもや青年も安心できるよう社会的責任を果たすこと、政府は有効な緊急施策を直ちに講ずることを強く求めるものです。
 
 いま多くの国民が反撃のたたかいを始めています。大企業の「派遣切り」にあった労働者が組合をつくって団交に臨み解雇撤回を勝ちとるなど、解雇された労働者自身のたたかいが前進しています。そのとりくみは「年越し派遣村」にみられるように、国民の大きな支持と共感を得て広がっています。

 子どもの保険証取り上げ問題では15歳までではありますが、短期保険証の発行を勝ちとっています。高校生も「高校統廃合反対」「私学助成の増額を」「学費の軽減を」「内定取り消しはやめろ」と、学び働く権利の保障を求めて立ち上がっています。学校は間もなく卒業や入学の時期を迎えます。年収500万円以下の家庭の子どもは公私とも授業料を無償とすること、就学援助の国庫負担金を復活すること、「内定取り消し」はやめることなど、子どもの就・修学と進路を保障する運動をいっそう強めましょう。
 
 併せて、この時期、学校に納めるお金、揃える学用品や教材などもたくさんあります。子どもの生活実態に目を向けて正面から受けとめ、困難を抱える子どもの実情に即したきめ細やかな教育実践に努めるとともに、必要な場合には生活保護や就学援助、授業料減免、奨学金などの相談にものりましょう。解雇などによって入学金や授業料が払えない家庭の増加が予想されます。行政に対し緊急の援助措置を求めるとりくみもすすめましょう。これらの課題をしっかりと位置づけながら、教職員も民間労働者とともに今春闘を積極的にとりくもうではありませんか。
 
 第2に述べたいことは、改悪教育基本法の具体化を許さず、教育の条理と憲法にもとづく、どの子も人間として大切にする教育をすすめるとりくみについてです。

 この間の教育をめぐる情勢の最大の特徴は、国民の運動と世論で「教育の構造改革」路線の破綻が始まってきていることです。
 日本が見本としたイギリスで14歳を対象とした学力テストが廃止となったこと、自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」の会合で「全国いっせい学力テストは税金の無駄遣いであり、今のままなら不要」などの声があがっているとの報道、東京都江東区や群馬県前橋市での学校選択制の見直し、和歌山県での高校2段階入試の廃止、教員免許更新制に対する地方教育行政や大学側の批判や反発などが、そのことを物語っています。

 摘発・排除の人事管理政策や教職員評価制度に対しても、日本の教職員組合運動の共有の財産といえる今回のCEART勧告は、見直しを求めるなど厳しい指摘を行っています。私は政府・文科省に対して、全国いっせい学力テストの中止、教員免許更新制の廃止を決断するなど、この間の教育政策を根本的に見直すよう改めて強く要求するものです。
 
 いま職場で関心を集め、全力をあげなければならない課題に教員免許更新制の廃止、当面2009年度からの実施凍結を求めるとりくみがあります。国民世論を高め、文科省や都道府県教委に対するとりくみをさらに強めるなど、残された期間、全力をつくしましょう。それでも文科省が実施を強行する場合には、子どもと教育、教職員に関わって生じる否定的な影響を極力少なくし、一人の教員も失職させないよう条件整備を要求してたたかい抜こうではありませんか。

 改訂学習指導要領の実施に向けてのとりくみも重要です。押しつけを許さず、「参加と共同の学校づくり」と結んで、それぞれの学校で教育課程の民主的な編成にとりくみ、豊かな教育実践をつくりあげていくことが求められています。

 それらのとりくみをすすめていくとき、確かな拠り所となるものが憲法です。佐藤学東京大学教授や槇枝元文元日教組委員長、三上満元全教委員長ら13氏による「教育子育て九条の会」のよびかけに応え、立場を超えて共同をすすめ、「学校九条の会」や「地域九条の会」を広げ、憲法と子育て、教育、学校などについて旺盛に語り合おうではありませんか。
 
 第3に話したいことは、職場活動の活性化と組織の拡大・強化のとりくみについてです。

 青年教職員の中心的要求である「学ぶこと」「つながること」を重視した計画的・意識的なとりくみが広がっています。多くの地域で青年が主体となったとりくみがすすみ、青年が青年に働きかける、青年が職場活動の中心的役割を果たすなどの状況が生まれ始めています。また、孤立した青年や若年退職者を出さない連帯と助け合いの職場づくりも広がっています。臨時の教員、職員、パート、アルバイトの仲間に対するとりくみも大切です。正規化をすすめ、雇用確保、賃金、権利をはじめとする労働条件の改善などのとりくみを、組合への組織化とも結合してとりくみましょう。子どもと教育、働くものの未来をみんなでつくりあげるために、全教のすべての構成組織と組合員が職場活動の活性化と組織の拡大・強化に全力をあげることを心からよびかけるものです。
 
 第4に申し上げたいことは、総選挙のとりくみについてです。

 今日、世界と日本はまさに激動の渦中にあります。世界を席捲していた「新自由主義」は終焉を迎え、日本でもそれにもとづく「構造改革」路線の破綻は誰の目にも明らかです。「教育の構造改革」も破綻に向かっています。いまこそ、国民のくらしを守り、どの子も人間として大切にする教育を、国民みんなの力でつくりあげるために力をつくすときです。間もなく総選挙があります。自公政治を終わらせ、憲法が生きる、国民が主人公で、子どもと教育を大切にする政治へと歩みだす結果をつくりだしましょう。
 
 以上、開会にあたって所信を述べました。代議員のみなさんの豊かな討論で大会方針を練り上げていただくようお願いするものです。

 あいさつを終わるにあたって、本大会の会場を快く貸し、好意的に対応してくださっている社会文化会館のみなさんにお礼を申し上げます。また、大会の成功にむけて要員・警備の仕事に当たっていただいている首都圏の仲間のみなさん、弁護団のみなさんをはじめ多くの方々に支えられて本大会が開催されていることに心から感謝を申し上げます。

 最後になりましたが、代議員のみなさんの積極的で活発な討論を期待し、委員長あいさつといたします。




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「工程表」で、全教が談話を発表 [全教の活動]

【全教談話】2009/02/04 

『労働基本権回復を先送りした公務員制度「改革」は認められない――

公務員制度改革に係る「工程表」決定にあたって――』

       2009年 2月 4日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

■ 政府の国家公務員制度改革推進本部は、2月3日、「公務員制度改革に係る『工程表』」を決定しました。

■ 決定された「工程表」は、公務員の労働基本権を制約したまま、代償機関としての人事院の機能さえも「内閣人事・行政管理局(仮称)」に移管するとしたもので、憲法第28条に規程される労働基本権を踏みにじる横暴であると言わざるを得ません。
※憲法第28条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

■ 全教は、全労連公務員制度闘争本部に結集して、国家公務員制度改革推進本部事務局に対して「工程表」の決定を強行しないよう求めてきた立場から、強く抗議するものです。

■ 全労連公務員制度改革闘争本部は、人事院が主張するように、権限の移管が憲法違反であることを指摘し、政府の労使関係制度検討委員会で議論が進行中の労働協約締結権を含む「自律的労使関係制度」の検討結果を待って、労働基本権の代償措置に係る権限(公務員労働者の労働条件決定に係る事項での権限)の移管について結論を出すことを求めてきました。
 
■ しかし、今回決定された「工程表」は、能力・実績主義の徹底のため「新たな人事制度を平成21年4月から導入する」こととし、また、「内閣人事・行政管理局(仮称)」の機能として、明らかに勤務条件である「級別定数の設定及び改定」を一元的人事管理の要としました。

■ この「工程表」の考え方は、国家公務員のみならず地方公務員・教職員にも連動する可能性を持っており、私たちにとっても看過できない問題です。
 
■ このようなやり方が、国際的にみても極めて異常な事態であることは、ILO・ユネスコ共同専門家委員会が、12月8日付で日本政府と関係団体に対して出した「勧告」からも明らかです。

■ 2008年4月に訪日調査を実施したうえでだされた「勧告」は、業績評価制度などを「管理運営事項」扱いとせず(42項)、有意義な協議・交渉を行うことの重要性を指摘し、労働基本権の回復に向けて「法改正を含む」(43項)抜本的な転換を求めました。これをうけて全労連公務員制度闘争本部は昨年12月22日、国家公務員制度改革推進本部に対して、検討されている公務員制度改革において、今回のILO・ユネスコ共同専門家委員会勧告が十分に反映されるよう申し入れました。
 
■ しかし、今回の「工程表」決定強行のなかでも政府は、私たちの申し入れを無視して、人事の「一元管理」の必要性を主張し、「最終的な合意に至る交渉の対象」でなければならない「級別定数の設定及び改定」を一方的に押しつけてきました。

■ 私たちは、公務員制度改革の前提として、子どもたちの成長・発達を保障する民主的な教育を実現する上でも、権利主体としての公務員・教職員の労働基本権回復にむけた努力がされるべきであることをあらためて要求し、今後とも民主的公務員制度実現のため全力を尽くす決意を表明します。
                              以上
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