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全国学テ、これでは悉皆と同じ! [学力テスト]

【全教談話】2010/01/08 
2010年度の「全国一斉学力テスト」に関する実施要領の公表について

全日本教職員組合
教育文化局長 今谷 賢二

1.文部科学省は、年度末ぎりぎりの12月28日、2010年度における「全国一斉学力テスト」(=「全国学力・学習状況調査」)の実施要領を公表するとともに、同日、都道府県教育委員会などに実施要領にかかわる通知を発出しました。今回の実施要領の最大の特徴は、すべての小学校6年生、中学校3年生を対象とする「悉皆調査」として行われてきたものを、30%程度の「抽出調査」に切り替えている点にあります。強行実施から3年、「悉皆調査」に対する国民的な批判の高まりを受けて、「抽出調査」への変更を余儀なくされたのは、全教をはじめとする幅広い運動の貴重な到達です。
 
2.「全国一斉学力テスト」は、改悪教育基本法の具体化として、教育振興基本計画に盛り込まれ、競争的な教育をいっそう強めるねらいをもって実施されてきました。文部科学省は、「測定できるのは学力の特定一部である」「学校における教育活動の一側面に過ぎない」(文部科学省・実施要領)としながら、都道府県ごとの平均正答率を公表し、「○○県が全国△位」などの論調につながっています。知事主導による市町村の平均点公表などの動きも広がり、競争的な教育をいっそう加速させる役割を果たしてきました。また、こうした動きも背景に、「学力テストの点数を上げること」が、教育活動の重要課題のように取り扱われる状況も残念ながら全国に広がっています。今回の「抽出調査への移行」を契機に、学力テストにしばられた教育の在り方を根本的に見直すことが必要です。
 
3.制度的に「抽出調査」に移行させる一方、抽出率は概算要求時の40%から引き下げられたとはいえ、全国平均31.6%と依然として高い抽出率とされています。しかも、学校単位の抽出に変更し、「各都道府県の平均正答率が誤差1%以内となるよう、都道府県ごとに抽出率を設定」とされたために、県によっては7割を超える学校が抽出対象とされ、さらに教育行政を通じた「希望の押しつけ」によって限りなく「悉皆調査」に近い状況さえ生まれようとしています。高い抽出率を維持したままで「抽出作業」が文部科学省に一本化されたことに伴い、「実施するかしないかは市町村教委の判断」とされてきた昨年度よりも、「国による学力テストの実施」の色合いをより濃くしていることも重大な問題です。また、結果公表などの取り扱いもあいまいなままであり、その責任を「学校設置者の判断」に丸投げする姿勢は許されるものではありません。
 
4.さらに、実施要領では、引き続き、「抽出対象校以外でも学校設置者の判断で参加可能」とする仕組みが残されました。文部科学省は、すでに「抽出対象外になった場合に参加を希望するか」と地教委に迫る異常な調査を全国に発出し、各地で厳しい批判を受けましたが、限りなく「悉皆調査」に近い形での実施にこだわる対応を続けているといわなければなりません。しかも、「希望利用」とした場合には、「採点、集計等は、設置者が自らの責任と費用負担で行う」とされており、国の予算減額のしわ寄せを地方に転化することを意味します。少なくとも抽出対象校に限定した調査として実施すべきです。都道府県教育委員会や学校設置者によって、「抽出対象外でも参加」が押しつけられるようなことはあってはなりません。
 
5.悉皆調査の中止は、安倍内閣のもとで押しつけられた「競争の教育」策に対する国民世論の批判を背景にしたものです。全教は、抽出調査に変更された経緯を踏まえ、全国一斉学力テストの中止を要求します。当面、①最小限の抽出調査として実施すること、②そのためにも対象校以外への希望押しつけをやめること、③何よりも、「過去問題の反復練習の押しつけ」など学力テストにしばられた教育のゆがみを正すことなどが重点課題となります。全国での奮闘を心から呼びかけます。
 
以  上

文部科学省全国学テ通知
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1288480.htm
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悉皆(全員)は 必要ない!全国学力テスト [学力テスト]


【全教談話】2009/08/27 

『「悉皆調査」の必要はありません。あらためて、全国一斉学力テストの中止を求めます』

2009年 8月27日 全日本教職員組合 教育文化局長 今谷 賢二

1.文部科学省は、8月27日、今年度の全国学力・学習状況調査(以下、「全国一斉学力テスト」)の結果を公表しました。今年も、各都道府県別の正答率をあわせて公表しています。すでに、この都道府県別公表によって、「○○県が全国△位」など、学力テストによる競争をあおる風潮が広がっており、この動きをさらに助長する危険性を指摘せざるを得ません。なかでも、今年は8月13日に大阪府教委が、2007・2008年度に実施された全国一斉学力テストの結果について、情報公開請求に応じる形で市町村別結果の公表を行った直後であり、その影響が懸念されます。この動きによって、「過度の競争的な教育」(国連・子どもの権利委員会による日本政府への勧告)をさらにすすめるためにこの全国一斉学力テストが使われる事態がつくられてはなりません。情報公開審査会などの答申もあって、市町村別結果の公表などの動きが広がるのであれば、子どもたちと教育への悪影響を避けるためには、学力テストの実施そのものを中止するしかありません。
 
2.今回の結果公表にかかわっても、いくつもの重大な問題点を指摘しなければなりません。それは、第1に、わざわざ「悉皆調査」として実施する必要性がないことがますます明らかになることです。調査結果では「算数・数学の問題のとき方がわからないとき、あきらめずにいろいろな方法を考える児童生徒、算数・数学の授業で、公式や決まりのわけ(根拠)を理解しようとする児童生徒の方が、正答率が高い傾向」などと述べられていますが、日頃から子どもたちに接している現場教師にとっては、わざわざ悉皆調査の結果で分析してもらう必要のないものです。しかも、この分析は昨年と同様のものです。このような結果を導くために、57億円もの巨額の費用をかける必要はありません。第2に、「朝食を毎日食べる児童生徒の方が、正答率が高い」など文部科学省がすすめる施策にかかわる分析が各所に見られることです。この傾向は、教科に関する調査ではさらに顕著です。「『活用』は、平均正答率がおおむね50%台であり、全般的に課題がある」とされていることに象徴されるように、基礎・基本、活用、態度を「学力の要素」と位置づけ、改訂学習指導要領の柱として「活用力」を強調している方向に、子どもたちの学力を誘導する意図を持っていると言わなければなりません。子どもたちが身につける学力はもっと豊かなものであり、文部科学省が実施する全国一斉学力テストによって規制されるものではないことは、8月23日まで開催された「教育のつどい2009」に全国から寄せられたレポートからも明らかです。「朝食を…」というのであれば、貧困と格差の広がりのもとで子どもと教育にその影響が及んでいることが社会問題化している今こそ、教育行政が何をすべきか、真剣に検討すべきです。
 
3.全教は、「全国一斉学力テスト」が実際の学校と教育、子どもたちに影響を与えている事実の把握をめざした全国アンケートを実施し、6月に公表しています。全国からの回答では、「前日夜7時までできない子を集め、補習した学校があった」(関東地方)、「修学旅行と重なったため帰校後に実施した。新聞発表のあとだったので、答えの記号を覚えてきた生徒もいた」(関東地域)、「昨年の問題を見せたり、解くコツを教えたりした」(近畿地方)、「不登校で午後からしか登校できない生徒がいるが、その子は質問用紙しか回答できない。『この子を来させない方法はないのか』と管理職が言っていた」(中国地方)など教育とは無縁の姿が告発されています。これらの事実は、学力テストとその結果公表がもたらす非教育的な姿の反映です。子どもたちの心を傷つけ、教育の営みを壊す全国一斉学力テストに固執する文部科学省の責任は重大です。
 
4.全教は、こうした非教育的な「全国一斉学力テスト」に反対し、子どもの権利・教育・文化全国センターに結集して、「子どもを苦しめる『全国学力・学習状況調査』を中止し、国の責任で30人学級実施などの条件整備を求めます」とのアピール賛同署名などにとりくんできました。小森陽一・東京大学大学院教授など7氏の共同によるアピールには、全国の父母、教職員のみなさんが積極的に賛同の声を寄せ、4月15日、729日の2回にわたって文部科学省に提出され、その総計は6952人に達しています。父母・国民、教職員の声を正面から受け止め、今こそ、全国いっせい学力テストを中止する決断を強く求めます。
 
 
以上
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愛知・尾北教労が犬山市教委へ学テ要請! [学力テスト]

尾北教労の犬山市教委への要請文です。
もっともな内容ではないでしょうか。
3/13(金)17:00~教育委員会議は、図書館(教育委員会所在)にて行われるそうです。
ちなみに 犬山市教委は、 電話  0568-61-1800
             FAX 0568-62-2292
・・・だそうです。

2009年2月
犬山市教育委員 様  

全国学力テスト及び犬山市の教育に関する要請 

 日頃は犬山市の教育向上に向けて尽力されていることに敬意を表します。
 私どもは尾北(犬山市、江南市、岩倉市、大口町、扶桑町)の小中学校に勤める教職員の組合として、子どもが輝き、教職員が健康で働き続けられる学校づくりをめざして活動をすすめています。その点において、犬山市で取り組まれている「学び合いの教育」や「少人数学級」など、すべての子どもたちの人格の完成を目指した教育については、組合の要求とも一致するものとしてさらなる継続と発展を願うものです。
 一方、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)については、私どもは、それが、学校間競争につながり、子どもたちの心を傷つけ、学びを偏重させるものとして反対しています。
 確かに全国学力テストについては、世間一般では、賛否両論があります。しかし、校長先生を始め、教職員の多くは、これに反対の意思を示しています。このことは、日々子どもたちに接し、教育活動を展開している教育の専門家の判断として尊重されるべきだと考えます。
 実際、全国学力テストの結果が悪かった学校の情報が漏洩し、子どもや親たちが、学校に対する誇りが持てなくなってしまったという事例も聞かれています。人間的な成長が大切にされなければならない義務教育段階で、このような排他的な競争は導入すべきでないと私どもは考えています。
 また、犬山市では、少人数学級や学校支援のための教育条件整備の取り組みも進められ、特に、講師や支援員の加配は、学校現場を助ける重要な取り組みになっています。今後も学校現場を支援する立場で継続して取り組まれることを強く望むものです。
 全国学力テスト及び犬山市の教育に関して、以下の内容について要請します。よくご検討いただき、関係機関への働きかけを含め、教育行政へ反映されるようお願いします。


1 全国学力テストは、結果公開が危惧され、学校間競争をあおる恐れがあるため、不参加の姿勢を貫いていただきたい。              
2 犬山市が現在進めている教育条件整備の取り組みが後退しないようにしていただきたい。特に講師や支援員などの人的支援は児童・生徒に授業で直接 関わる支援として重要であり、さらに充実させる方向で進めていただきたい。

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全教の談話 学力テスト結果公表で [学力テスト]

全教【談話】2007/10/24 

『「平成19年度 全国学力・学習状況調査結果」について』

2007年10月24日 全日本教職員組合 教文局長 山口 隆

 2007年10月24日、文部科学省は「平成19年度全国学力・学習状況調査」(以下、全国一斉学力テスト)の結果を公表しました。私たちは、この全国一斉学力テストがいっそうの競争強化と子どもと学校の序列化をすすめるものであり、実施そのものに反対である立場を明らかにしてきました。まず、あらためて、文部科学省に対し、全国一斉学力テストの中止を強く求めるものです。

 そのことを前提に、問題そのものが果たして妥当であったのかという検証が行われていないことや、採点の過程においてその基準があいまいで、途中で見直しや是正が行われたことが新聞報道されたこともあり、この調査結果が本当に信頼できるのかという根本問題をはらんでいることも指摘しつつ、とりあえず公表された結果から、いくつかの問題点を指摘したいと思います。
 
 公表された資料を見てまず第1に思うのは、この程度の結果を得るために、全国230万人の小学校6年生、中学校3年生の全員を強制参加させることが必要であったのか、ということです。

 「調査結果のポイント」では、「家で学校の宿題をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」「読書が好きな児童生徒、家や図書館で普段から読書をする児童生徒の方が、国語の正答率が高い傾向が見られる」「学習塾で『学校の勉強より進んだ内容や、難しい内容を勉強している』児童生徒…が正答率が高い傾向が見られる」「朝食を毎日食べる児童生徒の方が正答率が高い傾向が見られる」などと調査結果を「分析」していますが、これらのことは、日々子どもたちと接している教職員ならだれでも実感していることです。

 貧困と格差拡大をすすめる「構造改革」路線が子どもたちの家庭を直撃しています。また、準要保護家庭にかかわる就学援助予算が国庫負担からはずされ、一般財源化されたために、就学援助基準が生活保護家庭とほぼ同様の水準まで引き下げられている自治体も急増しています。さらに、異常な働かされ方が広がり、長時間・過密労働を余儀なくされている父母も増加しています。このもとで、毎朝朝食を食べられない環境におかれている子どもたちや、家で宿題ができない状態におかれている子どもたちが激増していることが各地から報告されています。問題は、そうした子どもたちに行政がどのような手を差し伸べるべきかということにあります。「調査結果のポイント」では、一方で「就学援助を受けている児童生徒の割合が高い学校の方が、その割合が低い学校よりも平均正答率が低い傾向が見られる」と述べているのですから、経済的格差が学力格差を生み出す重大な要因となっていることは、明らかではないでしょうか。

 朝食を毎日とっていない子どもや宿題ができていない子どもの学力に問題があるというのならば、政府・文部科学省の責任として、そうした家庭に対する手厚い手立てをとることが求められています。「調査結果のポイント」では、そうしたことには一切言及されていません。一体何のための調査なのか、強い怒りを禁じえません。
 
 第2は、文部科学省がすすめようとしている施策へ政策誘導しようとする危険を強く感じることです。「調査結果のポイント」では、「自尊意識・規範意識等」として、「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」、「学校調査」においては「児童生徒が礼儀正しいと思っている学校の方が、平均正答率が高い傾向が見られる」としています。

 先の国会で学校教育法が改悪され、義務教育の目標に「規範意識」が盛り込まれました。子どもたちの実態を無視して、ただ「規範意識」のみを押しつけるやり方は、教育のいとなみの本質に照らして大きな問題を持つものです。しかし、「調査結果のポイント」の使いようによれば、「子どもたちの学力を身につけるために規範意識を」というキャンペーンが行われる危険性を強く感じます。同様のことは、「朝食を毎日とる子は学力が高い」ということを根拠にして、経済的理由で朝食もとることができない子どもたちの実態を捨象して「早寝早起き朝ごはん」運動に流し込もうとする動きに連動させる危険があるといえます。
 「全国学力・学習状況調査」自体、重大な問題をもつものですが、その結果を一方的に政策誘導に利用することは邪道以外の何ものでもなく、断じて起こってはならないことです。

 また、このこととも関連して、文部科学省が、いわば特定の「よい子像」ともいうべきものを描き出していることも気になるところです。調査結果を重ね合わせると、毎日、早起きし、きちんと朝食をとって、登校前には持ち物をきちんと確認し、学校ではきまりを守って礼儀正しく過ごし、私語もせず熱心に授業を受け、帰宅すると読書に励み、夕食も決まった時間にきちんととり、夜は早く寝る、という子どもが「学力」が高い「よい子」であるという子ども像が浮かんできます。

 子どもはそんなにのっぺりとした存在ではありません。子どもたちは、おとなでさえ生きづらい世の中を、さまざまな問題を抱えつつ、ときには屈折しながらも精一杯生きています。現場では、そうした子どもたちとの格闘ともいえる実践が毎日繰り広げられています。おとなたちには、そうした子どもをリアルにとらえ、悩みや喜びを共有し、人間的な働きかけを強めながら、ともに生きていくことが求められているのではないでしょうか。生きる喜びにつながる豊かな学力も、そうしたとりくみの中で、子ども自身が獲得してくるのだと考えます。
 
 第3は、学習指導要領との連動です。「調査結果のポイント」では、小学校の国語・算数においても中学校の国語・数学においても「活用力」に課題があるとしています。基礎的な知識を活用する力そのものは重要であり、現場でも生きて働く学力として重視し、さまざまな実践が行われているところです。それは、具体的な実践をていねいに検証することをとおして、子どもたちに基礎基本の力とそれを使いこなして自然や社会に働きかけ、よりいっそう豊かな学力を身につけさせるためには何が必要か、について教職員はもとより国民的な議論をとおして明らかにすることが求められる課題です。

 いま、中教審教育課程部会では、改訂学習指導要領にむけた議論が行われ、ここでも「活用力」が強調されています。このことは別途検討すべき課題ですが、これを今回の全国一斉学力テストの結果と直線的に結びつけて、学力テストの結果、「活用力」に課題があるということを学習指導要領改訂の根拠にすることは、問題があるといわなければなりません。このことは、今後、全国一斉学力テストが、学習指導要領による学校教育拘束の道具として使われかねない危険があり、それは「学力テスト体制」となって現場をしめつけ、子どもの実態を基礎とした教職員の自由闊達な教育実践、教育活動を困難にするという重大問題をはらんでいるからです。
 
 このように全国一斉学力テストは、公表された調査結果そのものにも大きな問題があるものであり、今後続けるべきではありません。とりわけ今回、都道府県ごとの結果が公表されていることは大きな問題であり、都道府県の格差づくりにつながるものです。今後、市町村ごとや学校ごとの結果公表などが行われれば、冒頭に指摘した子どもと学校の序列化、格差づくりがいっそうすすむという重大問題をもっています。私たちは、各都道府県教育委員会および市町村教育委員会に対して、市町村ごと学校ごとの結果公表は断じて行ってはならないことを強く求めるとともに、序列化をつくるデータそのものの即時廃棄を強く求めます。

 私たちは、父母・国民のみなさんとともに、子どもの学力についての国民的議論を大いに広げるとともに、子どもの学力向上に役立たない全国一斉学力テストの中止を強く求め、とりくみをすすめるものです。


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学テで市町教委に要請FAX [学力テスト]

全国の運動に学んで、静岡県内各市町教育委員会に緊急要請FAXを送ります。
本当は、県内小中校長全員に送りたいのですが。そして小中教職員全員にも。それができないのが残念です。
口コミ、プリントなどで知らせてください。

2007年4月15日
静岡県市町教育委員会
教育委員長 様
教育長 様
                              全静岡教職員組合
                               執行委員長 齋藤 達雄  
西部教職員労働組合
                                中部教職員組合
                                静岡市教職員組合                                   
東部教職員組合

「全国一斉学力テスト」の中止または独自判断することを求める緊急要請

 標記「全国一斉学力テスト(学力・学習状況調査)」の件について、下記の点で緊急に要請します。全国の一割近い自治体が個人番号対照方式採用など独自判断の態度を表明しています。貴職におかれましても、子どもたちの健やかな成長と健全な教育の発展に向けて、誠意ある判断をされることを切に願います。

1.調査実施主体は市町教育委員会であり、貴職に実施責任があることを明らかにすること。
2.悉皆調査は教育的に必要がないので中止すること。
3.実施する場合は氏名の記入をやめ、個人番号対照方式とすること。
4.民間委託業者のベネッセコーポレーション、NTTデータに対する秘密保持・目的外使用 禁止等の契約遵守についての履行監視は、貴職の責任で行うこと。
5.各校の平均点等の公表は行わないことを言明すること。
                                  以上
上記の補説
《1.および4.について》地教行法23条により実施するものであり、実施責任は学校の設置管理者である貴職にあります。「実施主体は国であり、市町教委は協力の立場」といったあいまいな対応は許されません。調査実施によって生じる様々な貴職の責任を明確にするべきです。
《2.について》調査はテストではなく、あくまでも行政調査であり、教育活動ではありません。従って「教育・指導上の改善のため」に行う理由は通用しません。教育課程の編成や評価は各学校や教員にあり、教育活動に関わる調査の権限は貴職にはありません。また「学力調査」であるならば、数%の抽出調査で十分であることは、統計学上も明らかです。
《3.について》既に全国の自治体で検討している問題です。行政が必要以上に個人情報を持つことは、法令違反となります。予定されている調査内容には、個人情報保護に関する法令上重大な疑義があると思われます。貴職として当該「個人情報保護審議会」に判断を問う必要があります。民間業者に委託されていることもあり、また情報の漏洩が社会問題になっている昨今の状況から、個人情報保護については十分すぎるほどの対応が必要です。
《5.について》個別の成績や平均点等を公表することは教育的でなく、調査の趣旨の逸脱でもあります。しかし東京都のいくつかの例もあり、危惧されることです。是非事前に言明し、態度を公表してください。  


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2007-04-14 [学力テスト]

全教(全日本教職員組合)憲法・教育闘争ニュース №5

■文科省・学力テストのやり方 「最終的には市町村の判断」と回答
◆ 全教、文科省交渉で賃金・定数・学力テストについて追及
 4月12日、議員会館前で、11時から座り込み、議員要請行動が続くなか、全教本部は春闘要求に基づく文部科学交渉を行いました。交渉には、全教本部から米浦委員長、新堰・本田・山口副委員長、東森書記長、北村・吉田書記次長が出席、文部科学省からは、財務課・尾崎春樹課長、学力調査室・原裕室長補佐ほか2名が対応しました。

 交渉の冒頭米浦委員長は、教育関連3法案が子どもと教育をよくするとは思えないことに触れ、廃案にするよう求めました。交渉では、教職員の賃金改善、教職員定数贈、全国学力テスト中止を求めました。

◆ 旭川学テ判決を尊重することは「変わらない」と回答
 交渉のなかで、「全国学力テスト」中止を求めたことに対して、「学力テストは、すべての子どもの学力が身に付いているのか把握し、指導の改善を図るために実施する」とし、「個々の学校の結果は公表しない」「過度の競争をあおらないようにする」と回答しました。また、個人情報保護の点では、「配慮するのは当然」だとし「委託業者に対して、流出しないよう契約している。やっている間のセキュリティはもちろんのこと、終わった後も処分する」こととしました。また、「希望する市町村には、個人番号方式もある」ことを、自ら市町村教委の圧力をかけたことを棚に上げ強調しました。

   全教は、「悉皆で調査をおこなう限り、競争強化と学校の序列化は避けられない。あらためて中止を求める。」と述べた上で、「前回確認した旭川学テ最高裁判決の立場に立つこと」を、再度確認すると、「変わりはない」ことを回答しました。さらに「それでは、実施するかどうか、問題となっている個人情報保護のために、どのようなやり方をするのかは市町村判断ではないか」と追及したことに対して、あれこれのやりとりの末「最終的には市町村の判断だ」と回答しました。

   また、文部科学省は、「氏名・個人番号対照方式」を採用する市町村に対して、4月10日、文部科学省まで来させて説明会を開いた際に、「検討し、4月13日、無理なら16日までに回答」を、求めていることも明らかになりました。

◆ ただちに取り組みを強めよう

文部科学省の交渉の回答を受けて、ただちに各市町村へ申し入れにいきましょう。各地で、父母、民主団体との共同の取り組みで、すでに「個人番号方式」でやることを決定しているところも相次いでいます。まだ検討中のところや、回答のない地域では、父母とともに市町村教委へ申し入れしましょう。

■新婦人静岡・清水支部が市教委に要請書

学力テストを無記名・個人番号方式に

 新婦人静岡および清水支部は、4月12日付で“「『全国一斉学力テスト』を無記名にして個人番号方式にすること」について、貴自治体の検討を求める要請書”を静岡市教委に提出しました。これは、「番号方式を決定している自治体は大阪の全自治体、京都の2626市町村中18自治体が検討中、神奈川、千葉でも複数の自治体が希望している」という新聞報道をもとに、「『全国一斉学力テスト』を無記名にして個人番号方式にしてください。」と要請したものです。

 4月12日に電話で要請したところ、静岡市教委学校教育課の担当者は、「名前を書かせるということで決めている。理由は小学生がわからなくなるから。」という回答だったそうです。

 小学6年生に失礼な話です。それ以上に国が学力や個人の生活情報までつかむことや、民間受験産業が実務を行うこと、個人情報保護などについて市教委は考えていないのではないか、と思われます。

■ベネッセ 学力テストで“商売”
石井議員指摘に “契約違反”と文科省
 全国一斉学力テストを受託した受験産業大手のベネッセが、自社のおこなう業者テスト「総合学力調査」の売り込みに学力テストを利用していることが、4月13日わかりました。衆院文部科学委員会で日本共産党の石井郁子議員が指摘したものです。

 文部科学省の銭谷真美初等中等教育局長は「全国学力調査の中立性・公平性に疑いをもたせかねない。テスト業務委託契約書では、事業を委託したことで宣伝行為を行わないよう求めている。今後行わないよう同社に申し入れている」と述べ、契約違反との認識を示しました。

 同社が各地の小学校長あてに送ったダイレクトメールでは、「小学校6年・中学校3年生を対象とした全国学力調査が本年4月24日に予定されておりますが」と述べた上で、同社の「調査」を購入・実施することで(1)記述式の出題で多面的な学力を正確に測れる(2)全国比較や意識調査とのクロス分析資料が入手できる―などと宣伝しています。同「調査」は今月5日から行われています。

 石井氏は「文科省の行う学力テストに先行して売り込みをはかっている。重大な問題だ。学力テストはいまからでも中止すべきだ」と批判しました。

 質問を聞いていた自民党委員から文科省に対し「重大だ。もっと厳しくあたれ」などの声が上がりました。 07年4月14日「しんぶん赤旗」

全教(全日本教職員組合)憲法・教育闘争ニュース№6

■与党・改憲手続き法案採決強行
◆ ただちに与党に、抗議打電を! 
 4月12日、与党は、18:03分に衆議院憲法調査特別委員会で、国民投票法案の採決を強行しました。これは、国民の「成立させるべきではない」という強い声を踏みにじるものです。各種世論調査でも、国民投票法案の内容は「分からない」「今国会では成立させるべきではない」という回答が過半数を超え、国民的理解が深まっているとは到底いえるものではありません。全教は、怒りを込めて抗議したいと思います。

 各団体・個人で、自民党・公明党に、緊急の抗議FAXの送付をよびかけます。

○自民党総裁 安倍晋三  FAX 03-5511-8855 

○公明党代表 太田昭宏  FAX 03-3353-9746

 また、野党には激励・要請する内容のFAXの送付も呼びかけたいと思います。

○共産党党首 志位和夫   FAX 03-5474-8358

○社民党代表 福島みずほ  FAX 03-3506-9080

○民主党代表  小沢一郎  FAX 03-3595-9991

○国民新党代表 綿貫民輔  FAX 03-5275-2675

http://www.kyodo-center.jp/douhoumail/douhou.htm メールの場合はこちらから!

怒りの「STOP!改憲手続き法案4.12大集会」に5000人
◆ 終日、国会前座り込み、衆議院議員要請行動・集会

 国会前は、全国から続々と集まり、議員会館前座り込み、メイン集会(全労連・国民大運動実行委員会など主催)全教・教組共闘による集会、全衆議員への要請行動などに1700名が行動しました。

 夕刻の強行採決で、18:30分からの「STOP! 改憲手続き法案4.12大集会」は、日比谷野外音楽堂を、怒りの5000名で埋め尽くしました。

 13日も、終日、議員会館前座り込み、議員要請行動を、行います。全国各地からの、宣伝・抗議FAXなど運動を緊急に強める必要があります。


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静岡市教委学校教育課に学力テスト中止・慎重実施を求めて要請 [学力テスト]

■先週の4日(水)に、市教委学校教育課と学力テストについて話し合いの場を持ちました。

□2/27付「学力テスト要求書」に、新たな項目を追加して、折衝してきました。

 学校教育課の主な回答は、→『  』 のところです。左側と…の右側は、組合が要求したり要請したりしたことです。
 
1.静岡市においては全国一斉学力テストを実施しないこと。  → 『実施する。』

2.文部科学省と特定の民間企業が子どもの個人情報をすべて把握するという実施方法を抜本的に見直すよう、文部科学省に申し入れること。
 
3.(もしも全国一斉学力テストを実施するというのなら)個人情報を民間企業に提供することについて児童・生徒とその保護者の了解をとったうえで実施し、了解が得られなかった児童・生徒については参加しない自由を認めること。                     

【4月4日(水)要求項目追加】 4. 「氏名・個人番号対照方式」で対応すること。その旨、静岡県教育委員会を通して文部科学省に伝えること。

5.各校長宛パンフレット等の件でベネッセコーポレーションに対して抗議すること。 →『組合からの連絡2日後文科省に連絡した。』

◆上記2.3.4.の項目に関連して…
 
① 情報漏れの危険は?      → 『漏れないように文科省にお願いする。』

② 各校での公表は?     → 『校長にはしないように指導。』

③ 「学力」競争、格差につながらないか?  →『東京のようにはならないようにしたい。』

④ 現場から意見は?     → 『ない。』  …ん?組合だけ?

⑤ 拒否する保護者には?    → 『校長が説得。それでも拒否なら、無理強いはしない。』

⑥ 結果の通知は?    →『学校へ来る。個人の情報を使わない。契約以外のことには使わない。』

⑦ 番号対照方式は?  →『積み重ねてきた自治体は認めるようだ。』  …と言うが、静岡市は記名。ベネッセに小6の情報をつかまれてしまう。国や行政が、子どもとその家族の情報をつかんでしまうことになる。

⑧ 保護法、条例の範囲は検討したか?   → 『静岡市情報公開・個人情報保護審議会に聞いてもらう。』  これは、市役所の総務局総務部総務課扱いです。

⑨   → 『4/6文科省が説明に来る。4/10文科省で、県・政令市代表者に説明する。』   …実際は、小学校でテストに氏名を書かせろということのようで、脅しです。

※ 4/4同時に静岡市総務局総務部総務課扱い・「静岡市情報公開・個人情報保護審議会」に電話で問い合わせ。「今のところ正式に市教委から問い合わせはない。」

 ついでに「幼保小連絡会」中止についても聞く。保護者または審議会が認める範囲で、行ってもよいと思う。…とのことでした。

 


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4/24の全国一斉の学力テストに、なぜ反対するの? [学力テスト]


□全国一斉の学力テストの実施に反対する署名用紙から…

◆次の所からダウンロードできます。ご協力ください。
 http://www.zenkyo.biz/index.html  全教HP

■署名用紙の内容

2007 年4月2 日
文部科学大臣
伊吹 文明様

★「全国学力・学習状況調査」で子ども全員の個人情報を企業にゆだねることに反対し、個人情報保護法・憲法にもとづく対応を求めます

・ 文部科学省は2007 年4 月24 日に全国のすべての小学6年生、中学3 年生を対象に、「全国学力・学習状況調査」(以下、全国一斉学力テスト)を実施しようとしています。子どもたちをいっそう競わせ、子どもと学校の序列化をすすめる全国一斉学力テストでは、学力向上につながりません。私たちは反対します。

・ 学力テストは悉皆(全員対象)ではなく、抽出調査で充分です。

・ また新たな問題として、この全国一斉学力テストでは教科に関する調査の解答用紙と児童・生徒に対する質問紙調査の回答用紙に学校名、男女、組、出席番号、名前を書かせ、その集計・分析等を小学校はベネッセコーポレーション(進研ゼミなどの)、中学校はNTTデータ(旺文社と関わり)が取り扱うことが明らかになりました。

・ 全国一斉学力テストに先立っておこなわれた「予備調査」では、「朝食を毎日食べているか」「家には本は何冊くらいあるか」「自分は家の人から大切にされているか」「家の人は学校の行事によく来るか」などの、個人の家庭状況に立ち入った質問に加え、「一週間に何日塾に通っているか」「学習塾では学校より難しい勉強をやっているか」等、受験産業が望む情報にかかわる質問もありました。これとほぼ同じ内容の調査が4月にもおこなわれようとしています。

・ こうしたプライバシーに関わる調査を受験産業にゆだねることは、個人情報保護法の第3条2項「行政機関は……特定された利用の目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を所有してはならない」、また第4条で「行政機関は、本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは……あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない」に照らしても違反のおそれがあります。

・ 私たちは、あらためて文部科学省に対し全国一斉学力テストの中止とともに、実施を強行する場合は集計・分析等を受験産業にゆだねるやり方を見直し、個人情報保護法・憲法にもとづいて対応することを求め、下記の点を請願します。

             記

1、4月に予定されている、全国一斉学力テストは中止すること。

1、実施を強行する場合は、せめて、出席番号と氏名は無記名にすることを各県教育委員会に指導すること。

よびかけ人(あいうえお順)

   小森陽一 東京大学大学院教授

   佐藤 学 東京大学教授、日本教育学会会長

   高田公子 新日本婦人の会会長

   高橋昭一 元小学校校長

   津田玄児 弁護士

   堀尾輝久 東京大学名誉教授、元日本教育学会会長

   村田智子 弁護士

   米浦 正 全日本教職員組合(全教)委員長


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学力テスト・個人情報について文科省が通知 [学力テスト]

■ 学力テスト実施反対、個人情報保護などでご協力を!

  全教などの学力テスト批判に関して文科省がやや動きました。児童名を書かせる方式から整理番号を書くだけとする方式への「変更」を例外的に認めるというのです。文科省は各県に対し、県内市町の「変更」がある場合には、4月6日までに連絡せよという連絡を出しました。

 これは、教組や団体だけでなく、個人でも要請できることです。個人で静岡市教委へ要請できる方は、mailto:gakkyo@city.shizuoka.jp へ、メールを!

 署名にご協力ください。連絡あれば、お送りします。大至急です。 尚、小6、中3学力テスト(学力・学習状況調査)の実施日は4/24(火)です。

◆ 大阪では、15を超える行政区で「氏名・個人番号対照方式」へ

昨日全教から発信した、文科省の「個人情報の取扱」の見直し方針を踏まえたとりくみ要請に応え、全国で一斉に緊急のとりくみが広がっています。

大阪では、各単組から行政区の教育委員会への申し入れを一斉に行い、すでに15を超える行政区が、「氏名・個人番号対照方式」を採用する方向で検討することを回答しています。

北海道教組では、各支庁の管内地教委連の幹事長や、市町教育長・担当者などに対し、一斉に懇談の申し入れを行い、「文科省連絡」の内容を伝えながら、「氏名・個人番号対照方式」を採用するように強く申し入るとりくみを広げています。

島根県教組では、3月16日から30日にかけて実施した、県教組本部と支部役員による各教育委員会への「全国学力テストに関する」要請キャラバン訪問のお礼や、PTA会長アンケートの結果を伝えながら、新たな文科省の方針をふまえ、市町村教育委員会として個人情報保護審議会に問題提起し、県教育委員会に意見を上げることなどを検討するよう要請しました。

■全教静岡齋藤委員長と四ノ宮書記長は4日、県教委の義務教西川参事へ要請行動に出向きます。
■静岡市教組佐藤書記次長も、静岡市教委学校教育課へ出向きます。

尚、犬山市の学力テスト拒否の理由が「ともに全教静岡ブログ」に載っています。ごらんください。


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犬山市が学力テストをやらないのは? [学力テスト]

 学力テストについて市教委に要求書を出したことは以前に伝えました。
 今回は、犬山市がなぜ実施しないのか、同市がHPで紹介している『犬山の教育の重要施策2006』の中で、学力テストについて表明(問題提起)している部分をのぞいてみました。今後の参考にしたいと思います。(ついでに「教職員評価」の部分ものぞかせてもらいました。)

「○ 犬山市は、独自の財政支出により、少人数学級や副教本の作成を中心とした様々な教育環境を整備してきた。さらに、教師の内発的な動機づけにより、やる気と責任感を育て、日々の授業実践を積み重ねてきた。全国一律に学力調査を実施して子どもの学力向上を図ろうとする文科省の施策は、これまで積み重ねてきた犬山の教育と大きく異なり、実施にあたって慎重な対応が求められる。犬山の教育改革は、国主導の教育文化に対して、地方の価値観に基づく教育文化を提示するものである。

① ゆとり教育はどこに問題があったのか、教育現場で実際にどんなことが起きているのか検証することなく事が進められ、学力低下問題を引き起こした。そして、今度はその対応策として、全国的な学力調査を実施しようとしている。安易な対応策と言わざるを得ない。さらに、この学力調査は、テストでの得点力ではあっても、将来を切り拓く自ら学ぶ力にはほど遠い。この学力調査では、自ら学ぶ力を測る手だての具体化は極めて困難である。点数化による調査や集計は避けられないと思われ、教育現場では、ゆとり教育に逆行するような弊害が心配される。犬山の教育にとって、学力調査から得られる効果よりも、危惧される弊害の方が大きいと考えられる。

② ゆとり教育の核心にある学力は、「自ら学ぶ力」である。学力をめぐる議論で、テストの正答率は議論の対象になるが、この学力が俎上に上がることはない。自ら学ぶ力を抜きに学力議論は本来成立しないはずである。授業で自ら学ぶ力を育むには、子どもが授業に主体的に取り組む経験が欠かせない。それを可能にする教育条件が少人数学級である。このことは、少人数学級のもとで豊かな人間関係と豊かな社会を形成し、自ら学ぶ力を育み、人格の形成を図ってきた犬山の教育実践から明白である。

③ 犬山では、全国的な学力調査の実施については、さらに次の点から十分な議論が必要だと考えている。

第1に、犬山で子どもに身につけさせたい基礎的な学力は、決して教え込まれるものではなく、自ら獲得するものと考える。教え込まれた知識は単なる知識でしかなく、自ら獲得した知識は、知恵となり、生きる力を育む。犬山の教師は、少人数での授業づくりが基
礎的な学力を育み、学び合いを通して授業が分かるようになったことに自信と誇りをもっている。こうした自信と誇りに裏づけられた教育実践を通して、基礎的な学力は、子ども自らが獲得していくものであることを実証してきた。

第2に、犬山では、学習指導要領が最低基準であるという国の規制緩和を主体的に受け止め、教師の手づくりによる副教本の作成・活用を図ってきた。そこでは、犬山の歴史、文化、自然などを対象に教材づくりを行い、教育課程を編成し授業実践を積み重ねてきた。
この犬山の教育は、犬山の教育目標に即して総合的に評価すべきであり、全国一斉の学力調査によって評価すべきではない。

第3に、犬山は評価を軽視しているわけではなく、教育活動の中に重要なものとして位置づけている。評価は子どもの成長や教師の指導方法の工夫・改善のため、日々の授業実践を通して行われるべきものである。犬山では、日々の授業の中で確認テストや観察など
による継続的な評価を積み重ね、子どもの自己評価や相互評価をもとに指導方法を見直し、基礎的な学力の定着を図っている。学力調査は、本来子どもの学びや教師の指導方法の工夫改善に役立つものでなければならない。

2 教師の自己改革による主体的な授業改善と学校の自立
○ 学校の最も重要な役割は、子どもに「学び」を保障することであり、教師の役割は、子どもに質の高い授業を提供することである。そのために、犬山では、教師自らが日常の授業を振り返り、継続的に授業改善の積み重ねを図る「自己改革」によって教師と
しての資質・能力の向上を図ってきた。
○ 教師の自己改革を促すために最も重要なことは、できるだけ教育現場に近いところに裁量を委ね、教育現場に当事者意識をもたせ、活力と責任感を育てることである。これが「学校の自立」である。学校の自立は、教師の自己改革を制度的に支える。また、
教師の自己改革は、学校を内側から変える原動力となり学校の自立が進む。こうして、教師の自己改革と学校の自立の相互作用が学校に学びの文化を根づかせる。
○ 文部科学省は「、教員の評価に関する調査研究」を各県へ委嘱し、それを受けて県教委は「教職員評価制度」を導入しようとしている。評価にあたっては、「だれが、何を、何のために」評価するのか、まずその仕組みと条件が整備されていなくてはならない。教員評価は、教師自身が子どもの姿を通して指導の結果を振り返り、授業づくりに生かすために行われるものであり、学校の裁量と教師の裁量が仕組みとして整えられていることが大前提である。
○ 犬山では、学校の裁量により、学級編制を実施するとともに、副教本づくりや自主教材づくりを中心とする学校独自の教育課程づくりを積極的に進めてきた。そして、教師の資質・能力の向上を目指し、教師自身の自己評価や「同僚性」に基づく相互評価などにより、日々の授業改善の積み重ねを図ってきた。この犬山の取り組みが、教師の指導力向上に最も有効な手法である。犬山の哲学と覚悟は明快で、市町村教育委員会の学校管理権を
適切に行使することで、学校経営を全面的に支援し、子どもの学びを保障する責任を全うしている。
① 自ら学ぶ子どもを育むには、自ら学ぶ教師でなければならない。時代の趨勢といえ競争と評価で教育を活性化できるか、その妥当性の根拠は全くない。高邁な改革議論も教師の実践を通してしか実現しない。教師の実践が成果を上げるには、「私が教師であったとして通いたい学校」づくりを追い求めることで、自己改革を可能とする教育環境の整備が重要となる。教師は、もともと授業に工夫を凝らし、手応えを感じながら教育課程の充実を図ろうとする意欲と情熱を秘めている。ここにどう火をつけるか、その決め手となるのが学校の自立である。
② 学校の自立は、学校の裁量を拡大し、学校現場に活力と責任感を育てることにより可能となる。学校の自立は教師の自己改革を促し、授業づくりや自己研修などを通して教師相互が刺激し合い、質の高い授業を創造しようとする意識を高める。教職員評価制度の実施にあたっては、まず学級編制と教育課程づくりについて学校に裁量を与え学校の自立を図ることが重要となる。 」
以上です。どうですか?
http://www.inuyama-aic.ed.jp/i-manabi.h.p/index.htm


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