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静岡県人事委員会勧告に対する全教静岡の声明 [県人事委員会要請行動]

     静岡県人事委貝会勧告に対する声明

2009年10月10日
全静岡教職員組合

 静岡県人事委貝会は、10月6日、知事と県議会議長に対して県職員の給与等に関する報告及び勧告を行いました。
1. 過去最大の平均年間給与引下げ                                 
あまりに低い県内民間賃金調査結果。年間でマイナス22.2万円!
 09春闘データなどを根拠に、静岡市0.98%、浜松市0.22%と両政令市の結果を踏まえても、公民較差は国家公務員を少し上回る程度のマイナスになるのではと予測していましたが、1.13%という私たちの予測をはるかに超えた驚くべき低い数字が出されました。一時金の0.35月についても同様で、国の引下げ勧告に合わせたと思わざるを得ません。
 私たちの給与は、この3年間ほぼ賃上げゼロでしたから、すでに十分に引き下がられているはずでした。人事委員会は、「政治的に何ら影響を受けていない。ただ、民間との較差を調べ勧告することだ。」と釈明していますが、「公務員総人件費抑制」の「小泉構造改革路線」に沿って、中小の民間企業の低い賃金実態を公務職場により反映させること使命として取り組んできたことは、まぎれもない事実です。こうした結果である今回の勧告を、私たちは容認することはできません。
 その上、教員は、また、義務教育教員等特別手当が、マイナス(平均2500円)            
今回の勧告とあわせて年間でマイナス25万円を超える
私たち教員にとって、たまったものではありません。毎月2万以上の引き下げです。
 
2.  「こんなに働いているのに、なぜ給与が引き下げられるのか」
 「教員の現給与はその専門性にも、勤務実態にも合っていない」、「とりわけ、教員が研究職であるという評価がされていない」ことを、全教静岡は、強く人事委員会に訴えてきました。
08年勧告では、教員の給与について、「国においては、教員の勤務実態等を踏まえた適切な処遇を図るため、義務教育教員等特別手当(「義務特」)の縮減と併せ、諸手当の充実などメリハリのある給与体系の実現に向けた見直しがが進められているところであり、本県においても、・・・・」と「義務特」の縮減と引き換えに、既存の手当を見直しを勧告していました。
 
   「毎日一生懸命にがんばっている普通の先生」に光が当たるような勧告を!
 ところが09年勧告では、手当の見直しが全く宙に浮いてしまった状況から、「国においてメリハリのある給与体系の実現に向けて見直しが進められているところであり、本県についても・・・・」と、新しい職を導入し、評価制度を基にした賃金体系を構築していく(メリハリある給与体系)と見事なまでに後退しています。「毎日一生懸命にがんばっている普通の先生」に光が当たるような内容ではありません。まず全教員の給与水準を大きく引き下げる → 評価制度を活用し、ごく一部の教員の給与を上げる というシナリオを推進せよと勧告したのです。私たちは、こんなことを勧告してくれと要請したのではありません。国の方針をそのまま県におろして、「見直しを図っていく必要がある」などど、何の根拠と権利があってそういうのでしょうか。
 県教委に向けて、「教職員の実態と専門性に見合う給与、手当の改善・創設」に全く触れられない人事委員会は、県職員の約62%をも占める教育関係職員に何ら応える機関になっていないことが明らかになりました。
 
3.  引き下げ要素は、まだある
 障害児学校・学級教員に支給されている給与の調整額と僻地手当です。前者は「義務特」と同じ来年1月1日から廃止される方向です。後者は、「ヘき地等学校の級地指定の見直しを行うことが適当である。」と勧告され、事実上の減額は避けられない状況です。

4.  当然引き上げるべき地域手当を逆に1%引き下げた
 地域手当は、2010年には6%支給することを人事委員会自ら制度設計したものです。県内民間においても地域別の給与格差がない事情等(「一律支給を変える特段の理由がない」と説明)から、県内一律支給は維持したものの、給与構造改革による給料表の水準低下を補う性格を持つ地域手当の考え方を自ら解釈変更するものです。

5. 持ち家に係る住居手当を残したことは当然
 当然のことではありますが、地方の事情・実態を無視した総務省による圧力に耐えきれない地方も少なくない中で、国家公務員の場合と全く異なるこの手当をとりあえず存続させたことは評価します。しかしながら、「支給のあり方について検討していく」と述べているところから、来年度以降が不安です。1年遅らせただけとならないよう強く求めます。

6, 時間外勤務の縮減について
 「喫緊の課題」、「強く認識して」、「適切な人事配置」、「管理職が率先して」
         と言葉を並べたが
 超過勤務縮減の具体化として、労働基準法の改正を受けた時間外勤務手当率の引き上げ等が行政職において実施されることは不十分とはいえ前進です。しかし学校現場における教職員の長時間過密労働に対する改善施策はまったく進んでいません。
 人事委員会は、今回の勧告のポイントとして、見出しのような言葉をあげていましたが、「適切な人事配置」「管理職が率先して」は、昨年の勧告でもほぼ同様の意味で触れられていました。
 任命権者に「喫緊の課題として強く意識すること」を求めたことは一定評価しますが、そのためにこそ、具体的で適切な勧告を行うべきでした。
 「適切な人事配置」が、かえって多忙化を招くといった問題などを含めて、教職員の勤務状況をよりリアルにつかみ、常態化している長時間過密労働の解消に向けて、人事委員会こそが、強い姿勢で臨むべきです。

7. 「メンタル疾患の要因にパワーハラスメント、セクシャルハラスメントも」と勧告 
 今回、パワハラ、セクハラが勧告に登場しました。特にパワハラは、定義が定かでないからと一蹴してきた昨年までと異なり、メンタルヘルスの要因になっていることを認めた上で、対策・対応を求めています。私たちの主張が明確に受け入れられた場面です。


8.  臨時的任用教職員のあり方について本文ではじめて触れる
 臨時及び非常勤の職員の処遇の項で、臨時的任用教職員について特筆したことは注目されます。今回、教員と同様の勤務をしていることを明確に示し、職設置のあり方処遇について検討していく必要を勧告したことは、大きな前進として評価できる一つです。
 同一労働同一待遇の原則で言えば、臨時とは名ばかりの勤務を求められ、その要求に応えてきている臨時的任用教員は当然2級の適用を受けるべきであり、一時金の基準日も廃止されるべきだし、特別休暇も得られて然りであります。

9. 勤務成績の評価の給与ヘの反映と適切な運用
重大な検証が欠けている・・・それは「子どもたちにとってどうであったか」
個人の資質向上、組織の活性化が評価制度の両輪であると、県教委は語ります。それを働きかけ、指示し支援してきたのが人事委員会です。「意欲と誇り」「公平・公正」「客観性・納得性の高い」評価制度を構築し、給与等ヘの適切な反映を推進してい<ことを改めて勧告しました。
 県教委は本年度から試行から新制度への移行を実施しました。私たちは、評価制度の有り様を判断するときに、重大な検証が欠けていることを指摘してきました。それは、「子どもたちにとってどうであったか」という視点です。「子どもは?目指す教育の成果が評価制度と共に上がってきていると言えるのか」という視点抜きにして、教職員の評価制度の有り様を判断してはならないと考えます。そこにまた教育現場の特殊性があります。
 
 
10.  高齢者の雇用問題
「職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく働けるように 」と勧告したが、実際は?
まさにその通りです。しかしながら、人事院が示した定年延長などの高齢者の雇用問題は、
全くその反対の方向へ向かって進んでいます。かけ離れた願いを書くのではなく、現実に目を向け、改善する方向を力強く指摘していくそういう勧告を期待するものであります。


 最後に、全教静岡は、県教育委員会に対し、教職員賃金水準の確保と均等待遇の実現、諸手当の「見直し」改悪反対、差別賃金制度の導入阻止のため、全力でたたかう決意を表明するものです。

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