SSブログ

君が代起立強制条例案は 学校教育にそぐわない [みんなの声を]

【全教談話】

大阪「『君が代』起立強制条例(案)」の撤回を求めます

2011年5月31日          


全日本教職員組合 教育文化局長 得丸 浩一


1. 「大阪維新の会」(代表 橋下徹大阪府知事)府議団は、公立学校の入学式や卒業式などでの「国歌斉唱」の際、教職員に起立を強制する条例案を府議会に提出しました。


その内容は、民主主義と教育の条理に反するもので、断じて許されるものではありません。


2. 「条例案」では、「国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする」ことの「目的」は「府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態 度を養うこと」と「学校における服務規律の厳格化を図ること」とされています。


しかし、「踏まえ」るとされた「国旗・国歌法」・教育基本法・学習指導要領のどこにも「意識の高揚」との文言はありません。
このような踏み込んだ表現は看過できません。
しかも教職員だけではなく「府民、次代を担う子ども」にまで「意識」「態度」を強制しようとしています。
教職員の服務規律についても、とりたてて「厳格化」を言わなければならないような状態だという事実もありません。


  4月の地方選挙で「維新の会」は、この条例案の内容にはふれず、マニフェストにも記述がありませんでした。選挙後の、まさに数を笠に着た暴挙です。


  さらに橋下知事は、教職員が「不起立」を繰り返せば懲戒免職処分にできる条例案も9月議会に提出することを表明しています。



3. 「『君が代』起立強制条例案」には、何の法的根拠もないばかりか、日本国憲法が保障する「思想及び良心の自由」を侵害するものであり、憲法94条が条例制定権を「法律の範囲内」に限定していることにも反しています。
したがって、すべての公務員に「憲法尊重・擁護義務」があるとする99条に抵触し、また、教育基本法がその排除を定めている「教育に対する不当な支配」にもあたる内容です。


  さらにユネスコ「教員の地位に関する勧告」が 「教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利を行使する自由をもち、かつ、公職につく権利をもたなければならない」「 教員団体は、懲戒問題を扱う機関の設置にあたって、協議にあずからなければならない」と明示していることとも相容れません。



  そして何よりも重要なのは、教育のいとなみの中で、処分を振りかざした強制・恫喝を行おうとしていることです。



4. 「日の丸」「君が代」は、日本の侵略戦争遂行の象徴として扱われ、憲法の「主権在民」の原則と矛盾することから、国民の間に意見の対立があります。にもかかわらず一方的に「押しつけ反対」の声を押し切って、学校行事への導入が強行されてきました。その中でも子どもを主人公とするとりくみがねばり強く行われれてきましたが、一部には、卒業式や入学式において、会場を飾る子どもたちの作品が「厳粛さを欠く」との理由から撤去される、「対面式」の取り組みができなくなる、障害のある子どもにも壇上に上がっての卒業証書授与が強要されるなど、「日の丸」「君が代」の押しつけにより、子どもを主人公にした教育の場を変質させる、学校教育への行政の介入が強められるようになりました。



  しかし、1999年に「国旗・国歌法」が強行成立した時にも、

「強制的ではなく、自然に哲学的にはぐくまれていく努力が必要」


「人によって、式典等において、起立する自由もあれば、また、起 立しない自由もあろうかと思うし、また、斉唱する自由もあれば、斉唱しない自由もあろうかと思うわけで、この法制化はそれを画一的にしようというわけではない」(野中広務官房長官・当時)、


「これによって、国旗・国歌の指導に関わる教員の職務上の責務について変更を加えるものではない」
「教育公務員として…その人が最終的に内心の自由でしないということは、それはやむを得ないと思います」(有馬朗人文部大臣・当時)


など、政府は教職員に義務づけするものではないと繰り返し言明してきていました。


学習指導要領にも「入学式や卒業式などにおいては、国旗を揚げると共に国歌を斉唱するよう指導するものとする」との文言が入れられたものの、斉唱の際の具体的な方法が示されているわけではなく、学校の判断によるとされています。



5. すでに大阪弁護士会は会長声明で「条例案」の問題点を指摘し、自由法曹団大阪支部の呼びかけに応じて全国の500人の弁護士が「条例案」の撤回と廃止を求める共同アピールを発表しています。


また、多くの分野の団体が合同で「『君が代』起立強制条例の撤回を求める府民集会」を開催するなど、怒りの声は大きくなっています。



全教も大阪教職員組合の依頼を受けて全国の構成組織に呼びかけ、条例案撤回を求める要請ファックスを大阪府議会の各会派に集中しています。
  全教は、民主主義と教育の条理に反する「条例案」の提案に強く抗議するとともに、「条例案」の問題点を幅広く知らせ、その撤回のために全力をつくす決意です。
                                      以上


大阪弁護士会の会長声明は、以下で読むことができます。
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/02_seimei.php
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。