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鳥居裁判 基金が控訴 なんてこった!しかし地裁判決の意義は大きい! [教職員の労働安全衛生]

基金の不当な「控訴」に抗議!

 地方公務員災害補償基金(基金)愛知県支部(なんと支部長は県知事)は、7月13日、鳥居裁判の名古屋地裁判決を不服として、控訴しました。何とも思いやりも状況判断も何もない、やり切れない判断であることか!

 中学校教員であった鳥居建仁さんが倒れたのは、過重な労働があったことによるものであることは、明らかです。同じような「過重労働」は、全国の教職員、とりわけ中学校の先生の少なくない方たちが、日常的に行っていることです。

 静岡市でも、昨年9月の1ヶ月間で100時間以上時間外勤務(時間外手当はないのでサービス残業)をされた方は2千数百人の教員の中で、112人もおられました。9~11月の3ヶ月連続で45時間超の残業をした方も442人もおられたのです。これは、静岡市教委が発表した数です。実際にはもっと多くの方が、過労死ラインを超えて仕事をしていると思われます。

 注;「時間外・休日労働時間が45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強まるとの医学的知見が得られている」(厚生労働省)

 
 基金や愛知県・県教委は、この過重労働の解消・改善にこそ力を入れるべきであり、控訴している場合ではないでしょう。


画期的な鳥居裁判名古屋地裁判決

「黙示的な指揮命令」を認める

 基金は、校長が「やれ」と明示して命令したわけではなく、鳥居さんが「自主的に」つまり勝手に仕事をしたのだ、と主張しました。

 しかし判決文は、「その指揮命令は黙示的なものでも足り、指揮命令権者の事実上の拘束力下に置かれたものと評価」しています。

 また、「それは、準備行為などの職務遂行に必要な付随事務についても同様」(1 原告の勤務状況 (1)公務該当性の判断基準)であり、例えば教材研究についても「これらの職務を完遂することは、校長による前記包括的な職務命令において当然に予定されているといえることからすれば、黙示的な職務命令が及んでいると認められ、被告(基金)の前記主張は採用できない。」((3)勤務時間外の教材研究等について)としました。

 当然ですよね。部活やその部活と密接に結びついた地域クラブの指導、生徒指導、教材研究、分掌の仕事など、事細かに校長が命令できるわけがありません。やれるものならやってみろ、と言いたいくらいです。

 授業をするのなら、教材研究をやらざるを得ません。陸上部の顧問となったら、時間外や休日に指導せざるを得ません。生徒指導主事であるなら、報告や方針づくり、学校祭の準備や夜警などに従事せざるを得ません。

 それら時間外にかかる仕事を、校長は「やるな」と止めたのでしょうか。(明示的な命令)健康・安全に関わることを知っていながら、校長は制限していないのです。それこそ問題(反省材料)とされるべきです。

 事実上命令しているのと同じです。=黙示的指揮命令

 この点で、先の京都超勤是正裁判の最高裁判決は、情勢の推移が判断できない古くて不当な判決であることがわかります。


夏休みは暇(「公務は閑散」)ではない

 また、「夏休み期間」「公務は閑散」という基金の主張も退けています。これは、試しに中学校の教員に「夏休みは暇でいいねえ。」と言ってみてください。部活担当の先生には、とても言えない言葉です。


持病があっても、過重労働がなければ倒れなかった

  「もやもや病」「高血圧」についても、「もやもや病及び高血圧という基礎疾患を有していたものの、長期間に及ぶ過重労働という負担がなければ、通常の勤務には支障なく耐えられるだけの心身の状態にあったと推認され、過重労働という負担を抜きにして」脳出血は考えられないとしています。

 基礎疾患があったから、倒れても当たり前などと言われたら、たまったもんではありません。今、高血圧、腰痛、各種内臓疾患などとたたかいながら勤務されている教職員の何と多いことか。最近は、精神的なものも加わります。

厚生労働省の「新認定基準」を採用

 厚生労働省平成13年12月の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(「新認定基準」)を、「司法上の判断にあたっても、一定程度の有用性」をうたっていることも重要です。

 考えてみれば、当たり前のことです。国民・労働者の健康と安全を所管する厚生労働省が、「こんなに働かせては、(働いては)危ないですよ。倒れますよ。」と警告している事を、司法が無視したら、それこそ危ない。

 この点でも、京都超勤是正裁判の最高裁判決のだらしない内容が明らかです。最高裁判決は「外部から認識し得る具体的な健康被害又はその兆候が生じていた事実が認定されて」いないから、校長には「安全配慮義務」はなかったと言います。倒れなければいいんだと言うことでしょうか。倒れてから、あるいは亡くなられてから、どうやって校長は安全の配慮ができるのでしょうか。安全配慮とは、明らかに予防的なものですよね。

 この鳥居裁判の名古屋地裁判決は、今後の働く者の命と健康を守る運動にとって、大変重要なものです。学習し、宣伝し、高裁に向けて大いに協力・共同しましょう。

 で、この判決の学習会が下記のように行われます。是非、参加しましょう。また、ご自身の働く実態を訴えましょう。倒れる前に。


鳥居労災・判決学習会

2011年 7月24日(日)13時30分~

愛教労(愛知県教職員労働組合協議会)事務所

名古屋市中区大須4-14-57

地下鉄鶴舞線「上前津駅」から徒歩3分

「山岸ビル5階」ビルの前に「夏みかんの木」あり。

052-242-4474
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