SSブログ

学校の統廃合の押しつけは許さない ゾッ! [教育政策・教育「改革」]

【全教談話】
「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」について


国の押しつけによる財源確保のための機械的な統廃合を許さず、
子どもや地域の実態に合わせた教育条件整備を


          2015年2月4日
           全日本教職員組合(全教)
           書記長今谷賢二


 1月27日、文部科学省は「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引(以下、「手引」)の策定について」(通知)を各都道府県・指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、各国公私立大学長あてに通知しました。


1.今回の「手引」は、約60年ぶりに学校の統廃合の指針を改定したものです。公立学校の学級規模で標準(12~18学級)に満たない学校が、小学校で約9400校(46%)、中学校で約5000校(51%)と半数近くあることや、今後の少子化の進行等により学校が「過度に小規模化」することで教育条件への影響が出るとし、小学校で6学級以下、中学校で3学級以下の学校については、統廃合の適否を「速やかに検討する必要がある」としています。


 「手引」は、教育再生実行会議の第五次提言で示された、「統廃合によって生じた財源の活用等」によって「教育環境の充実」にあてようとするもので、「学校規模の適正化」のもと、統廃合をすすめることを前提としているものです。そのことは、過大・過密の学校については、大規模校であることの課題を示しつつも、「過大規模校についてはすみやかにその解消を図るよう設置者に対して促してきており…」とほとんどふれられていないことなどからも、そのねらいが、統廃合による教職員削減と教育予算削減にあることは明らかです。


2.「教育の機会均等を確保する観点からまず検討しなければならないのは、小規模であることのメリットを最大限に生かし、児童生徒への教育を充実させる方策」だとしつつも、学級数が少ないことや教職員数が少なくなることによりクラス替えができないことや多様な意見にふれられないなど集団活動の制約があることをことさらにとりあげ、望ましい学級数(小学校で12学級以上、中学校で9学級以上)になるように統廃合により学級数を確保することを求めています。しかし、小規模校では、子どもたちに目がゆきとどききめ細かな指導ができることや保護者や地域と連携した教育活動がしやすいなどのメリットもあり、現在の小規模校でも十分な教育活動がおこなわれています。


 統廃合をせず小規模校で存続させるためには、小規模校でのデメリットの解消や緩和のために、小中一貫教育の導入、タブレットPCの整備により他校の児童生徒との情報交換、放課後や土曜日等の活用などを求めています。教職員体制についても、複数学校間での兼務発令による免許保持者による指導の確保や学校事務の共同実施などでの効率化などに言及していることも問題です。
 

 本来、国は、教育の機会均等とその水準の維持向上を担うべきで、小規模校の統廃合を押しつけるのではなく、圧倒的な国民世論となっている30人以下学級の推進等により全国のどこにいても同じように教育を受けられる条件整備を行うことが必要です。国の責任を放棄することは許されるものではありません。


3.通学条件についても、「小学校で4㎞以内、中学校で6㎞以内」という通学距離による基準は妥当としつつ、通学時間について「おおむね1時間以内」を一応の目安とし、交通機関の発達によりスクールバス等の交通手段の利用を含めました。これは、広範囲での統廃合を可能にするものです。子どもたちは、通学距離が遠距離になり通学時間が長くなることで、疲労の蓄積やそれにともない学習に対する集中力ややる気がそがれたり、放課後の活動や遊びの時間の制約がされたりするなどよりいっそうの困難が強いられることになります。


4.さらに学校は、教育施設というだけでなく文化・スポーツ、防災の拠点など、地域にとって多様な側面があります。学級数や通学時間などの基準に照らし統廃合を機械的に進めることは、地域から多面的な学校の役割が消え、地域の衰退にもつながります。


 そもそも、学校の設置は地方公共団体の権限です。保護者や地域住民との合意がないまま、行政主導で統廃合が進められることがあってはなりません。2014年の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改悪により、各自治体の首長が、総合教育会議などを利用して統廃合を押しつける危険性にも留意する必要があります。公立小学校・中学校で「手引」により、統廃合が進められていけば、高等学校へ波及することは必至です。子どもや保護者、地域住民、教職員の声が反映される学校づくり、教育条件整備が求められています。


 全教は、国による学校の統廃合の押しつけを許さず、子どもを中心に、子どもの実態や保護者や地域住民の願いをもとに教職員との共同ですすめる学校づくりに奮闘する決意です。

                                   以上
15.2.4静岡市街.jpg

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。