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教育は、全体の奉仕者としての教員が、国民に対し直接責任を負っておこなうもの [学習指導要領]

【全教談話】次期学習指導要領に向けた中教審「答申」について


~国と財界のための人づくりでは子どもたちの未来は開けない~


2016年12月22日

全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子


 中央教育審議会(以下、中教審)は、12月21日総会を開催し、次期学習指導要領の改訂に向け「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策等について(答申)」(以下、「答申」)を文科大臣に提出しました。
「答申」は、2006年に改悪された教育基本法を全面的に具体化するもので、先行実施される義務制での「道徳の教科化」と一体に「公共(仮称)」の新設など高校における道徳教育の具体化をはかること、グローバル人材育成に向けた英語教育の強化、とりわけ小学校での教科化などをめざすものです。
また、個人の尊重、国民主権、基本的人権の保障などを基調とする憲法と子どもの権利条約の理念に反するものです。
「答申」にもとづき学習指導要領が策定され、学校現場での教育活動が具体化されることになれば、子どもたちに多くの困難をもたらすこととなり、その成長・発達をいっそうゆがめるものとなることが懸念されます。
「答申」は、子どもたち一人ひとりの成長・発達を保障する権利としての教育ではなく、「戦争する国」を主体的に支える人材とグローバル大企業の世界戦略を支える人材づくりをめざすものです。
そのために「資質・能力」を国が規定し、そこに向かって教育内容、教育方法、評価のあり方まで管理・統制することをめざしたものです。
それは、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」を目標としていることにも現われているように、国や財界のための人づくり方針にもとづき教育をつくりかえようとするものです。


 国連子どもの権利委員会が「高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する」と指摘するように、学区拡大などによる高校の受験競争の激化、「全国一斉学力テスト」の結果公表など、競争主義的な教育のあり方が子どもたちを苦しめています。「学力テスト」対策のためのドリルや大量の宿題が子どもたちに押しつけられ、「○○県に学べ」などの「学力向上策」のもとで、画一的で子どもたちの実態を無視した指導も押しつけられています。こうした結果、学ぶ喜びを奪われ、学習への意欲を無くしている子どもも少なくありません。さらには、貧困と格差の広がり、子どもや教育を営利の対象とする企業活動なども子どもたちの成長・発達に否定的な影響を与えています。


 こうした現状を踏まえるならば、子どもたちが学ぶ喜びを抱くことができるような学校と教育、社会をどうつくりだしていくのかについての真摯な分析・検討と国民的な議論が求められています。
同時に、過去の学習指導要領をはじめ、国の教育政策についての総括や検証、その上にたった新たな方針が求められます。
しかし、「答申」はこうした課題に向き合わず、国が示す「資質・能力」を身につけさせるために「何をするのか」だけを、子ども、父母・保護者、国民、教職員や学校に押しつけようとするものです。
これでは、「主体的・対話的で深い学び」を実現するどころか、諸困難を解決・軽減できず、いっそう子どもたちを追いつめるものとなってしまいます。
教育は本来、全体の奉仕者としての教員が、国民に対し直接責任を負っておこなうものであり、国や財界に責任を負っておこなうものでありません。


 全教は、学習指導要領の策定作業を中止し、憲法と子どもの権利条約にもとづき、「答申」を抜本的に見直すことを求めます。そして、子ども、父母・国民、教職員との共同の力で、子どもたち一人ひとりの成長・発達をささえる権利としての教育を確立するため、全力で奮闘することを決意するものです。


以上
















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