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高校改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めます 全教談話 [学習指導要領]

【全教談話】
国・財界の求める「人材」育成をすすめる高校改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めます
〜憲法と子どもの権利条約にもとづき、すべての高校生が学ぶ権利を保障される教育への転換を〜


2018年4月4日
全日本教職員組合
書記長 小畑雅子


 文部科学省は、3月30日、改訂された高等学校学習指導要領(以下、改訂学習指導要領)の官報告示をおこないました。改訂学習指導要領は2022年度から本格実施となります。1年前に改訂された幼稚園教育要領や小・中学校学習指導要領と同様に、改悪教育基本法(2006年)を全面的に具体化し、憲法改悪と一体に安倍「教育再生」を推進させるものです。
 

 改訂学習指導要領は、高校生が身につけるべき「資質・能力」をはじめ指導方法や評価のあり方まで国が定め、高校生や教職員に対する管理統制をいっそう強めるものとなっています。
また、教科の新設や名称変更、科目の大幅な改変等がおこなわれています。
真理・真実にもとづく教育や科学的認識を育む教育を軽視し、国・財界の求める「人材」育成をめざす安倍政権の戦略に沿った教育を押しつけようとするものです。


 改訂学習指導要領と一体ですすめられている「高大接続改革」は、高校生の基礎学力不足・学習意欲低下を強調し、これまでの高校教育に原因があると決めつけ、「改革」を口実にして高校に「全国学テ体制」を押しつけようとしています。


これまでも、高校では子どもたちや保護者、地域のニーズと乖離した再編・統合、多様化がすすめられ、高校生の選別がおこなわれてきました。
「高大接続改革」は、高校版「全国学テ」となる危険性をもつ「高校生のための学びの基礎診断」と、改訂学習指導要領の到達度を測る目的を強調する「大学入学共通テスト」の2つの新テストで、高校生を激しい競争に追い込み、篩にかけるものです。


現在、高校では、各学校が生徒や地域の実態に応じて、教職員が話し合い自主的な教育課程編成をおこなうことができます。
これに対し、改訂学習指導要領は、校長の「リーダーシップ」による上意下達の「カリキュラム・マネジメント」で教職員を管理統制しようとしています。その体制を支えるPDCAサイクルによって、高校生が否応なしに国の定める「資質・能力」を身につけることをねらっています。


 改訂学習指導要領は、主権者教育についてほとんど触れていません。
憲法が位置づけられていた必履修科目「現代社会」がなくされ、それに替わるものとして「公共」がつくられます。
「公共」では、「規律ある生活」「社会の形成に参画する意欲と態度」「義務を果たし責任を重んずる態度」「伝統と文化」「我が国と郷土を愛する」などが強調され、自由・権利は責任・義務とセットで身につけるよう指導することが求められ、憲法の三原則(基本的人権・国民主権・平和主義)が後景に追いやられています。
国民の権利の保障より、愛国心など特定の価値観や規範意識を押しつける道徳教育を、小・中学校から高校まで貫こうとしています。


 改訂学習指導要領が示す方向では、
高校生の成長・発達は歪められ、ごく一部の「グローバル人材」を育成する一方、多くの高校生が置き去りにされ、排除されることにつながります。
こうしたねらいを明らかにし、高校生の実態から出発する教育課程づくり、参加と共同の学校づくりをすすめる合意をつくり出していくことがきわめて重要です。


 全教は、改訂学習指導要領の抜本的見直しを求めるとともに、「戦争する国」「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりのための「人材」育成ではなく、
高校生が自主的・主体的で自由に学ぶ権利を保障するとりくみをすすめます。
高校生とともに全国の父母・保護者、国民、教職員と共同し、
すべての高校生が学ぶ喜びと希望をもつことのできる高校教育への転換に向けて奮闘するものです。

                            
                                       以  上

18.3.31栃沢・米沢家の桜.JPG

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