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お母さん、弁護士さんらが、静岡県教委に要請 [木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判]

 静岡市内、インフルエンザが蔓延しています。
 
 子どもたち、ご家庭のみなさん、気を付けてください。

 また、教職員のみなさん、教室など逃れられない場にいます。ご注意、ご自愛を。

 特に、濃厚感染の場で「患者」と接触し、連絡し、報告し、対応を協議し、普段の仕事もこなさなければならない養護教諭(保健室の先生)のみなさん、無理をなされないように。



 さて、1月23日、百合子さんのお母さんや弁護士のみなさんと、静岡県教委に下記の「要望書」をわたしながら、要請に行ってきました。マスコミも数社来て、当日のニュースや翌日の新聞で報道していました。

 「要望書」と「やりとり」をお伝えします。長いですが、読んでください。

要望書

平成24年 1月23日

静岡県教育委員会 御中

原告 木村憲二 木村和子

原告弁護団

故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会

 平成23年12月15日、静岡地方裁判所は、新規採用教諭であった木村百合子先生が、多動性・衝動性の顕著な指導困難児への対応と担任学級の運営に苦悩して精神疾患に罹患し、着任後わずか6ヶ月で自死した事件において、木村先生の死は公務が原因であると判断し、公務外の原因による死亡であるとした地方公務員災害補償基金静岡県支部の認定を取り消す判決を下しました。

 静岡県において二度とこのような痛ましい事件が起きることのないよう、貴委員会においても本件事件が発生した原因を把握し、対策を講じられるよう、強く要望いたします。

1.本件で木村先生が担任したN君のように発達障害が疑われる児童や指導困難児について、学級担任一人に責任を負わせるのではなく、教職員が協力して柔軟で専門的な対処ができるような体制を各学校がきちんと組んでいるかどうか確認してください。

 「学級がうまく機能しない状況」が発生した場合にも、学級担任一人が責任を負うことのないよう、教職員が協力して柔軟で専門的な対処ができるような体制を各学校がきちんと組んでいるかどうか確認してぐださい。

2.各学校において上記1のような体制が無理なく組みうるように、人員を確保してください。

3.教職員の精神的・肉体的負荷を軽減するよう、教職員定数を増大してください。

4.新採教諭からのSOSにきちんと対処できるよう、初任者研修制度の改善をしてください。

5.全ての管理職が、発達障害をもつ児童あるいは発達障害が疑われる児童に対する学校教育のあり方について正しい知識を備えていることを確認してください。

6.全ての管理職が、教職員の心身の健康への配慮を怠っていないことを確認してください。

要請するお母さんと小笠原弁護士
12.1.23木村裁判県教委要請.JPG



県教委要請のやりとり


□塩沢弁護士 

 木村さんの自死は2004年、東京でも2006年にあった。12/15の判決は、木村さんの困難さを十分考慮したもの。

 ご遺族は、金銭的な要求ではなく、真相を明らかにしてほしい、そして同じようなことのないようにという思いで提訴している。弁護団も同じ思いである。

 この判決を機会に県教委も対策をたててほしい。

□木村さんのお母さん・和子さん

 娘は念願の教師になって喜んでいた。子ども一人ひとりを大事にしようと教師生活をスタートさせた。今、残念とか悲しいを通り越した思いでいる。

 それぞれの子どものお母さんは、大事に大事に子どもさんを育てている。そのような学校で、二度と娘のようなことがないような対策をたててほしいと願っている。

 しかし、その後、教育委員会の対策がたてられたということを聞いていない。どのような対策がたてられているのか、教えてほしい。


□小笠原弁護士

 基金と県教委との関わりがよくわからない。県教委は、木村さんの事例をどう把握しているのか。


■県教委学校人事課長

 基本的に、県教育長も私たちも、概要は承知している。


□小笠原弁護士

 1.採用選考試験で、ふさわしいとされた新採教員が、半年後に自殺していることをどう捉えるか。

 2.NくんなどAD/HDが疑われるような子の指導や苦労、新採教員が担当していることをどう考えているか。

 3.そのサポートは、本来どうあるべきと考えているのか。

 4.初任者研が機能している、あるいは機能していない、改善の余地は、などをどうとらえているのか。

 5.管理職の指導や対応の問題について。(平成15年3月「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」が出され)平成16年に文科省が「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン」を示した。

 にもかかわらず、木村さんの所属した小学校の校長は、ADHDの認識すらなかった。当時「木村さんは、いたずらっ子に手を焼いていた。」と答えている。

 また、教頭は、証人尋問でも明らかになったように、支援体制に問題があったという認識がない。

 さらに、7年たったにもかかわらず、学校の中で支援体制など改善されていないのではと、強い懸念を感じている。学級がうまく機能しないことを「担任が悪い」でなく、柔軟に専門的に支援していくことが必要だと感じている。


■県教委学校人事課長

 他の課も対応しているが、学校人事課としては、二度と起きないようゆるぎない対策を考えている。

 1年目に退職される方でメンタル面での退職者がいる。特に若い女性が多いと感じている。ケア必要だ。

 特別支援学級は毎年増えている。人材や設備など課題。

 発達障害についても、教育の必要性、量的質的に充実させたい。ADHDなどの知識や技法(記録者?)

 初任者研の負担については違う課で扱っている。初任者に身に付けてほしいことがある。ただ、1年目に必要なことか、もう少したってからやってもいい内容なのか、検討している。

 精神疾患について、管理職の知識や理解が必要。そういう目で目配りしてほしいと、研修会等で伝えている。もっと進めていきたい。


□ 小笠原弁護士

 浜松市では、担任と特別支援教育コーディネーターとで進められている。必要な場合、加配があると。

 そうでないと特定の先生に負担がかかる。専門の人を置くための予算確保が急務だ。人が増えない限りできない。

 初任者研について、木村さんは記録をずっと付けていた。しかし、指導担当の教務主任は、校長しか伝えておらず、他の教員は知らない状態だった。また、初任者指導員が週1回来て木村さんを指導していた。従って磐田市教委も、木村さんの学級の状況はつかんでいたはずだ。でも、必要な指導・支援が入らなかった。学級の状況を把握するツールをつくってほしい。

 磐田市は8千万円の予算で人を増やした。


□ 塩沢弁護士

 以前は、共通意識でみんなでサポートできた。今は一人で抱え込むことが多いと。

 教職員の不祥事が言われるが、出方は違うが、同じ状況で起きていると思う。


■ 学校人事課

 多忙化の解消は大きな課題だ。

 人的な保障として、県でも支援員制度などを行っている。


□ 小笠原弁護士

 県独自でも、人を増やしてほしい。


□ 支援する会

 磐田市の地元から、木村さんについての情報が入ってこない。どうしてなのか。 

N君の、木村さんが持った4年以外の担任が、基金側で意見書を出している。「大変な子ではなかった」という内容だ。しかし、それは教育的課題の問題であって、公務災害、つまり誰かの責任を追求するような損害賠償ではない裁判に、同僚が立場を相手側に寄せるのは、おかしい。そういう状況も県教委としてとらえていてほしい。

 木村さんのいた学校が、ソフィア研究指定校(磐周教育研究所)と文部科学省指定 教育の国際化推進地域指定事業センター校を同時に受けていた。学校現場を知る者から見ると、大変忙しく自分のクラスや発表のことで、教職員に余裕がなかったのではと想像できる。

 今回の判決に対する県教委の姿勢からすれば、基金の控訴を取り下げるように言ってもいいのではないか。控訴当事者の基金支部の副支部長が、前教育次長であることも解せない。再三学校現場や初任者の実状について話してきていたのに。

 高校や中学校と違って、小学校は、人数面からも、新採が担任を持たざるを得ない。新採が学級運営で苦悩しないよう、必要な人的保障が必要だ。





県教組要請について

 県教委要請の後、お母さんと小笠原弁護士が、木村さんの所属していた静岡県教職員組合(静教組)の役員に対し、支援の要請に行かれました。

  応対した役員の返事は、おおよそ下記のようだったということです。

 「組合は,裁判闘争には関わらないことにしている。事件のことを会報に載せるだけでも『関わる』ことになるので,応じられない。」

 「裁判闘争に関わらないことになっているが,現場からの声が上がってくれば,別です。」
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